ガンガン感想46(108話・最終回)

本誌感想(+小考察)のコーナーです。






第108話(最終回)


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ついに来たりし、我らが「約束の日」……最終話発売日!!
お恥ずかしながら、漫画雑誌の発売を前にこれほど緊張したのも、テンションが上
がりすぎて寝付けなかったのも人生初めての体験でした(笑)
これほどまでに我々の日常生活を(そう、日常生活を!)支配し、過去数年間にわ
たって心の健康を左右してきた作品が、目の前でフィナーレを迎える…。
個人的にはそれも人生初の出来事でした。(いい年をして笑)
それなのに、すでに最終話を読了した後だというのにこの実感のなさは何ごとでし
ょう!?物語の伏線は見事に回収され、夜通し遊び回ったおもちゃ達はみなきちん
とおもちゃ箱に戻り、作品はこれ以上なく未来を提示して、すべて大団円のうちに
幕を閉じたというのに…なぜこうまで心がフワフワと掴みどころのない気持ちなん
でしょう!?
それはきっと、物語が本当に終わったわけではないからですよねv
何年も何年もかけて、すでに作中の彼らは私たちの精神世界の中で実在の人物にな
っているんです。会えないけど、実在するんですよ。それはTVの中の芸能人たち
と何ら変わりません。(TV・芸能関係のお仕事の方がいらしたら、その方にはこ
ういう言い方は通じませんけど笑)
そして彼らは永遠に消えない命。だから我々の中では、彼らの物語はずっと生き生
きと新鮮なままなんですよね。「伝説になること」…これが本当の不老不死!

そんなわけで、読了と同時に奇声をあげて頭を抱え、「これからどうやって生きて
ゆけと言うの〜〜〜!!」と泣き叫ぶだろうと思っていた自分が、今はあまりにも
悲しみとは無縁の感情でいることに私自身が驚いています(笑)
むしろこの漬け物石より重い雑誌を抱きしめて祝福したい気分v
後世に残る超名作の完結をリアルタイムで見届けられて、こんな幸せなことはあり
ませんv
おめでとう、そしてありがとう鋼!心の底から愛してる!!
2010年6月11日。時計に掘るべきはこの日付け。(2010/6/11.14:20)




◆冒頭考察「手放したくないものはどれ?(等価交換を超えて)」

詳細感想の前に是が非でも特筆しておきたいことがあるので場所を作ります。
とにもかくにも先月号、いまだ数多くの伏線を残したまま最終回へと突入したこの
物語だったわけですが、ロイアイの未来、多くのキャラの生死、エトセトラ…の中
でも最大の重要性をもって、ストーリーを着地させるために不可欠だったのはもち
ろん、「エドがどのように等価交換の世界を超えるか」という命題でした。
アルの身体を取り戻すために代償は必要なのか?必要でないのか?
いいえ単に代償のことだけではなく、エドと真理との間に有無を言わせぬ説得力で
決着がつかなければ、ここまで緻密なロジックで練り上げてきた物語自体が竜頭蛇
尾になってしまいますし、管理人のような「無垢なジュニア層ではない」読者は納
得できずに終わるでしょう。
「仲間」も「勇気」も心打たれますが、薹の立ったオトナの読者には「ロジック」
もまた必要不可欠な要素なのです(苦笑)
しかし……ああなんという見事さ、なんという華麗な大逆転なのか……!!!!!
最終108話に託された牛先生入魂の「驚愕の結末」とは……文字通り等価交換を超え
た、古代インドの神秘思想「梵我一如」にも通じる宇宙のロジックだったのです!


おまえの肉体を代価に差し出すか?と問う真理に、エドは自分の「扉」を代価に、
と示しました。それはエドの、「錬金術師としての能力そのものを代価にする」と
いうこと…。今まで苦労して得た膨大な知識も、科学を追う者としての矜持も、そ
して禁忌の人体錬成によって失った身体と引き換えに得た真理のかけらも、すべて
無くして普通の人間に戻るということ。
「錬金術の使えないただの人間に成り下がるか?」…真理の問いに、しかしエドは
わずかな悔しさも未練も見せませんでしたね。
そればかりか、「成り下がるも何も最初っからただの人間だ。今まで(真理に)踊
らされたよなぁ」と苦笑すら浮かべる。
そして「……もうこれ(扉)が無くても大丈夫か?」と重ねて問う真理に、エドは
笑って言い切りました。「錬金術がなくてもみんながいるさ」
…その答えにニコリと笑う真理。そう、その答えこそが…!!
「正解だ錬金術師。おまえは真理に買った。持って行け…全てを」……なんと!!
そしてエドの扉は粉砕され、真理は消えてゆきました。
「勝手口」、つまり混線しているアルの扉はすぐとなりに。これが兄弟の「出口」
となって、エドは見事に弟を連れて真理空間を後にする…。
そういう描写でしたね。
しかしこれは一体どういうからくりで、なぜこれが「正解」なのでしょう?
今まで「代償代償」とがめつかった真理は、なぜこれでエドを解放したのでしょう。


ずばり、こ れ は 発 想 の 大 逆 転 な の で す !!
今まで私たちはずっと、エドアルやイズミは真理を垣間見た代わりに肉体を代価と
して支払ったのだと思ってきました。
しかし、それは違いました。逆だったのです!!
彼らはあやまちを犯した代償として、むしろ「真理から遠ざけられていた」のです。
そう、彼らに与えられた罰とは、身体の一部を取り上げられることではなかった…

「それらを取り戻すために等価交換の世界に縛り付けられてしまうこと」
こそが罰だったのです!!


なんてことですか!!なんて……!!もう感激で涙が止まりません……(本当に)
これが牛先生のおっしゃった「驚愕の結末」なのですね!?
ああ「錬金術」こそが、人間が等価交換を超えてゆくための足枷だったというパラ
ドクス!!
だからこそ、むしろ錬金術を使えない人間(今月号で言えばウィンリィ)の方が、
何の苦もなく等価交換を超えてゆけるというパラドクス!!
つまり、作品世界の中で最先端の科学を追究しているはずの錬金術師こそが、真理
を追い求めるあまりに実際には真理から遠ざかっていたのだと……そういうことで
すね!?
そして真理……宇宙の摂理、あるいは人々が神と呼ぶ存在とは、錬金術師でも何で
もない「ただあるがままの人間」の中にこそ、ごくナチュラルに息づいていると…
そういうことですね!?
だからこそ、今月号でエドが辿り着いたファイナルアンサーを「正解だ」と真理は
認めた……そしてその正しさに免じて、仲介役である真理はこの子から奪った「等
価交換を超えた世界」をこの子に返却した。
そういうことだと思います。

ああ……なんという知略……なんという逆転……(もう身体が震えました)
これこそが「全は一、一は全」、梵我一如!!!!
これこそ、ブラフマン(宇宙原理)は我々の中にこそ存在するという、いにしえの
ウパニシャッドで説かれた奥義中の奥義でなくて何だというのでしょう。
ちょっともう私には、この作品が少年漫画とは思えなくなってきました…
れっきとした哲学書ではありませんか!!
そして物語として俯瞰してみるなら、エドは最初の最初にイズミに送り込まれた無
人島で体感した、あの「全は一、一はオレ!」の時に戻ってきたことになるわけで
すね。
遠回りを重ねに重ね、友を巻き込み、悲しみと絶望を乗り越えつつ、歩きに歩いて
辿り着いたもの……それはあの幼い日、弟と一緒に銀河を見上げながら悟った宇宙
の法則だったと、そういうことです。
ああ……なんということ!!
真理はあの時、幼いエドの中に確かに息づいていたはずなのに、どうして彼はこれ
ほどの長い旅をしなくてはならなかったのでしょう!?
あるいはまた読者である私たちも、同じように幼い日に確かに手に入れていたもの
を失いつつ、遠い場所ばかりを探して日々を生きているのでしょうか。
そう思ったら、涙があふれて止まらなくなりました(泣)。
こんなことって…こんな、本当に偉大なる宇宙の摂理を説く世界共通の言葉のよう
な物語が、1人の漫画家さんの筆から生まれることがあるんですね!
これほどまでに深い人間への愛と、宇宙の中でたたずむ「生命」を力強く肯定する
作品を、私はほかに知りません。
このシーンを読むために私たち、ここまでこの物語を追い続けたんですね…!
信じられない……信じられないほど見事なエンディングです。
ありがとうございます牛先生……ありがとうございます!!


いやはや…長い連載を通してずっと感じられた、牛先生の揺るぎなく確信した姿勢
の背景が分かりました。
これは恐らく、結末を決めてからでないと描けない物語なんです。
だからこそ…先生はごく初期に、エドが真理との問答に勝つ今回の場面を考えたに
違いありません。そしてそこから、この物語はまさに「逆さまに」組み立てられて
いったのではないかと思います。
でも…10年近くにも及ぶ執筆の舵取りの中で、ストーリーにあれこれと枝葉が生い
茂り、正しい方向が見えなくなることなどは無かったのでしょうか。
そんな中で北極星のように動かぬ結末を見失わず、ひたすらその地点へと着地すべ
く物語を進めてゆくことの、なんと至難であることでしょう…。
そして膨大にふくれあがった伏線をすべて頭で整理し、緻密につなぎ合わせ、1ミ
リのずれもなく最後の1ピースをはめてのけた、恐ろしい筆の力…。
その中ですべてのキャラクターたちに適材適所、生きる場を与え、それぞれに生を
まっとうさせ、それぞれに異なる輝きを放たせたストーリーテラーの力…。
もうどこを取っても奇跡としか言いようがありません。
正直なところ、牛先生の今後の作品にはもう期待できませんよ!!(苦笑)
だってこの作品を超えるものがこの世に生まれ出るとは思えませんもの。
一つの「極致」というものを、今回まざまざと目の前で感じ取った気がします。

今まで6年と少し、ただ1度の休みもなく、1ヶ月に1度、その描かれたばかりの
作品のにおい、同じ空気、そして粗熱の取れていない原作者のパッションを、こう
して味わうことができて本当に本当に幸せでした……!!!!
荒川先生、本当に心から完結おめでとうございます!!!!
1ファンとして、それから同じく2歳の子供を持つ母親として、心底感服し、尊敬
いたしておりますv(2010/6/11.23:58)



…さてさて。前置きが予想以上に長くなりましたが、ここから感想部分です。
はやる心を落ち着かせ、冷静に、でも熱くいってみます!!




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1:グリード消滅

冒頭はカラーページで先月号の引きの続きから。
エドにボコボコにされ続けるお父様の、ほとんど初めての独白調ですね。曰く、
「何故、神を手に入れた私がこんな事になっている?たかが人間の錬金術師に……
素手で!!!」
というわけで、今まで今ひとつ深みのない、内省の足りない感じのラスボスだった
お父様にも、最後に名誉挽回シーンがあるか?という期待をのぞかせる出だしです。
そして記念すべき最終108話の副題は、『旅路の果て』。
ああ…特に変哲のない普通のタイトルなのに、本当にすべてのキャラに当てはまる
タイトルですね(涙)誰も彼もがあるべき場所へと還っていった……そんな見事な
最終話だったと心から思います。

何度となくエドの鉄拳を喰らい、体内の石をどんどん失い続けるお父様。
もはや体内の「神」を押さえられず、あの巨大眼球が口から飛びだそうかというと
ころまでゆきますが、再び全力で衝撃波を放って持ちこたえます。しぶとい!
そして向かった先はグリリンの元…!やはり何としても石がほしいのですね;
土手っ腹に腕を突っこまれ、今度ばかりはちょっとまずい感じのグリード。
「やっべぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
体内のグリードの魂が思いっきりお父様の方に引きずられてます。
「グリード!!」中にいるリンが彼のしっぽ?をつかんで引き戻そうとしますが、
なんとグリード、そのリンを叱り飛ばしました!
「バッカ野郎!!巻き込まれるぞ!!はなせ!!」
「断ル!!俺が皇帝になるためにおまえにはいてもらわなきゃ困るんだヨ!」
「つってもおめー…俺様は元もと親父殿から生まれてんだ。リン・ヤオの身体より
あっちに引かれる力が強くてどうにもなんねぇ!!」
「あきらめるなグリード!!ふんばレ!!」
渾身の力でグリを引っぱるリン。これは…もうどう見ても「皇帝になるために」は
口実ですよね。助けたい一心としか見えません。グリとリン…2人の奇妙な友情が
ここで最後の見せ場を迎えるのでしょうか!?(2010/6/12.2:58)

しかしリンの気持ちが分かるからこそ、相手を助けたいのはグリもまた同じ。
このままでは共倒れ必至と見て、グリードは最後の手段に出る。あああここからの
2人のやりとりは本っ当に号泣ものでした!!!
「ちっ…世界の王からかなりランクは下がるがシンの皇帝も悪くねぇか…。一緒に
闘おうぜ、相棒」
「(ホッ)そうこなくっちャ!」
…と嬉しそうにリンが力を抜いたスキを突き、グリはリンをどついてその手を逃れ
てしまったのでした。
「!?何ヲ…」
…リンってば(涙)この子はもう本気でグリと一緒にずっと共生する意思を固めて
いたんですね!!それを知っているからこそのグリの作戦だったとは…
「ここでさよならだ」
うそ……潔すぎるよ!先月号で満ち足りたとはいえ、あんた良い人すぎ!(涙)
「おまえまで親父殿に吸収されるこたぁ無ぇ」
「なン……ちょっと待テ!こんな騙し討ちみたいな終わりは認めんぞグリード!!
一緒に闘うって言ったじゃないカ!!おまえはウソをつかないのを信条にしてるん
じゃなかったのカ!?」
「がっはっは!!まんまと騙されやがってションベンガキが!!さっきのは俺様の、

最 初 で 最 後 の ウ ソ だ

ズギューーーン。は…ハートを直撃されました……グリ!!!!!!!
なんですかこの萌えセリフ!?カッコいい……カッコ良すぎるよあんたって!!
「ランファンが賢者の石を持ってる。それ持って国に帰りな、ガキ」
言うが早いか、リンの腹部にめり込んだお父様の腕を伝ってお父様の身体へと自ら
を脱出させるグリード。そしてリンの身体を使った最後の叫びが放たれる!
「来い!!ランファン!!」
駆けつけたランファン、オートメイルでお父様の腕を切断!!
「……あばよ」「グリード!!」
リンの叫びもむなしく、これでグリード本体はお父様の身体に移ってしまいました。
でもリンの身体の傷口は塞がっています。どこまで優しいの…グリ…(涙)
呆然と自分の左手を見つめるリン。手の甲のウロボロスマークが消えてゆくのが、
何とも切ない…(きゅん;)

しかし、ここからがツンデレグリードの反撃でした。そう、お父様の体内からの!
「はっはァ!!!うまくうるさいガキから分離できたぜェ!!!」
「グリィィィド!!!なぜ父に逆らう!!」
「遅めの反抗期だよ親父殿!!あんたのくれたこの炭化能力で…一番もろいボロ炭
に変身してやらぁ!!!」
おおお頭使ってる…!ダイヤモンドから鉛筆の芯まで硬度を変えられるその能力で、
内側からお父様の足をもろい炭に変えたグリード!狙いどおり、お父様の片足はボ
ロボロに崩れ散りました。しかし…
「小賢しい!!!消えよグリード!!!」
父の怒りは息子の魂を噛みちぎりました。ああ…ついにここまでなのかグリ;
エドが、リンが、ランファンが、お父様の外部に漏れ出てきたグリードの魂の残骸
を見守っています。その必死な瞳たち……これがみんな、あんたの手に入れた仲間
なんだよ!
「ちっ…なんて目で見やがるションベンガキが…。ったく、チビもリンもずいぶん
俺様になめた態度とってくれたもんだ……」
グリの回想の中で、リンが「魂の家族」について叱咤してくれたシーン、そしてホ
ム組と決別した彼に「仲間にならねーか?」とエドが声をかけるシーンが浮かんで
は消えてゆく…。もう憎まれ口さえ涙を誘うったらありません(涙)
嬉しかったくせに……最後までツンデレ!!
「……十分だ。ああ……もう十分だ。なんも要らねぇや」…笑ってる?
その最期の視力はお父様にとどめの一撃を与えるべく助走するエドを捕らえたか…
「がっはっは…じゃあな。魂の……友よ」
グリーーーーーーーー……!!!!(号泣)
もうなにも要らない、魂の友よ、という強欲のセリフ、しかと胸に刻むよ!!

ここにグリード、消滅。
もうこのシーンをアニメで観る時はタオル必携です(涙)いえ、最終回はどの場面
を取っても号泣必至ですけどもね!(苦笑)
そしてエドはこの時、ついにお父様の心臓部分に渾身のパンチを放っていました。
(2010/6/12.18:15)


2:お父様消滅

今度こそとどめになるのか否か…!?
もちろんお父様には「心臓」など存在しませんが、エドの拳はお父様のヨロヨロの
身体を貫通して、向こう側がハッキリ見えるほどの大穴を胸に開けました。
グリがせっかく用意してくれたチャンスを生かさずしてどうする!ですよね!
「クセルクセスの皆を解放しろ。そして生まれた場所へ帰れ。フラスコの中の小人」
……。
……おや?
胸に開いた穴から、なにか見慣れた黒い触手が…。あれ?
と思ったら、一気にドオォォっと出てきました!間違いありません!真理の触手!
「ごおっ……(バキバキバキバキ…)ああああああああ」
な……なんと恐ろしい描写……;
真理の黒い手たちはお父様を「内側」へと……まるでドラえもんが自分の四次元ポ
ケットへと無理矢理引きずり込まれてゆくように、お父様の身体を「内側」へと、
彼の真理空間へと力ずくで押し込んでゆき、最後には何も無くなりました。
はい、後に残ったのは「無」…!!!
ここにお父様、完全消滅!!!

そして……こちらは真理の扉の前です。
真っ白な空間に浮かぶ巨大な扉の前で、毛糸玉のような黒いものがぽつんと居ます。
ああ、戻ったのですねフラスコ……元のマリモ姿に!
興味深いことに、フラスコの「扉」は表面に何も文様がありませんね。これは…?
つまり「何も学んでこなかった」、「魂に刻まれた知識が生まれたままの状態」と
でもいうことか?
「なぜだ…なぜ私のものにならぬ、神よ!!」
扉に向かって叫ぶ小さなフラスコ。すると、背後から答えが届きます。
「おまえがおのれを信じぬからだ」
おお、振り向けばそこには球形の白い物体が!これがフラスコの真理君ですね!!
「「神とやら」を自分のものに?笑わせるな。盗んだ高級品を身につけて自分が偉
くなったつもりか?(中略)他人の力を利用し「神とやら」にしがみついていただ
けでおまえ自身が成長しておらん」
……人智を超えた存在2人の会話にしては、ただの人間にも非常に分かりやすいの
が嬉しいところでしょうか(苦笑)フラスコはもっと高邁な理屈をこねると思って
いましたが…
「私は……完全な存在になりたかった!神を完全に理解したかった!この世の全て
を知りたかった!なのになぜおまえは邪魔をする。おまえは何者だ!!」
さぁここで来ました!(笑)
懐かしいセリフに、私たちが読んでは後にしてきたこの作品の過去がどっと甦って
きそうですよ!
「私はおまえ達が「世界」と呼ぶ存在。あるいは宇宙。あるいは神。あるいは真理。
あるいは全。あるいは一。そして……私はおまえだ」
……なんと懐かしい(涙)原点のセリフですね。
そして最終話にこの問答が繰り返される相手がエドではなく、黒幕本人であるフラ
スコだったというところが……もはや牛先生の知略には茫然自失です。
もちろんこのやりとりは、少し後の「エドと真理との最終問答」と対比させてある
シーンなわけですが……何度も読み返してこの重要な2シーンを眺めますと、もう
この最終話がどれだけ練られたものであるか、どれだけ牛先生が描きたくて描きた
くてこの時まであたため続けていらしたものであるかを……痛いくらい理解できる
気がします。確信に満ちていますもの…!!
最終話を一番待っていたのは、他の誰でもない、牛先生ご本人なのでしょうね。

「思い上がらぬよう正しい絶望を与えるのが真理という存在」……とおまえは言っ
たな。だからおまえの言う通り、おまえにも絶望を与えるのだよ」
真理の恐ろしい託宣……言い放つが早いか、目の前の扉が開いてゆきます。
途端に焦りだすフラスコ。
「……やめろ……戻りたくない…いやだ…そこに縛られ続けるのはいやだ……」
おや、自分の真理君に会うのは初めてのようだったフラスコですが、扉の向こうは
やはり知っているのでしょうか?やはり元いた場所?
「やっ……や め ろ お お ぉ お お ぉ お ぉ ぉ」
「思い上がった者に絶望を……おまえが望んだ結末だ」
無数の黒い手はフラスコを連れ去りました。扉の向こうへと…
後には何の余韻も、何の説明も、用意されてはいません。
結局あのマリモの正体は何だったのか…。いいえ、それはもう問わなくていいはず。
分かっています。世界には「名付けられないもの」がたくさんあるんですよ(笑)
(2010/6/13.0:54)


3:どれくらいの代償がいる?手放したくないもんはどれ?

さあ、戦いは終わりました。
廃墟。瓦礫。そして、その場を支配するのは重い沈黙…。
いいえ、その中できっとメイ子が泣きじゃくる声だけは聞こえているのかも…。
「なんだ…どうなった?勝ったのか?」
状況が見えないロイだけが、その身体をささえるリザに問いかける。
「はい。でも、アルフォンス君があちらから戻ってきていません」
……そのアルの残骸のかたわらで、ごめんなさイごめんなさイと泣きじゃくるメイ。
エドはもちろん、「これはアルの判断だ」と…この子を責めたりはしません。
ただ1人、彼はいま必死に頭をめぐらせて、何を代償としてアルを連れ帰ってくる
かを考えて考えて考えて、あらゆる可能性を考え抜いているんですよね!
そこへリンが差し出したのは…
「エド!通行料ならあル!使エ!賢者の石ダ!これでアルを取り戻セ!」
なんてこと!それはランファンが持っていた小瓶ですが…でもリンだって、それが
なければ皇帝になるために国へ帰れないのに!?
しかし、一瞬だけ迷ったけれどやはりエドの決意は揺るぎませんでした。
「…………ダメだ。賢者の石は使わないとアルと約束した…!!」
血のにじむような声(涙)
周囲の皆も、それぞれ必死に方法を考えているのが分かります。だってこのままで
はアルこそがこの戦いの勝利の代償になってしまうじゃないー!

「なんとかならんのですか!?」
号泣しつつ、少佐がロイへと問いかける。ロイはエドの最初の人体錬成の直後を見
ていますから、本人から詳しく聞いてるはずですしね。
でも、ロイだって知っている範囲でしか答えられない。扉を開けるには「通行料」
が必要で、かつてエドは右腕を犠牲にしてアルの魂だけを引っぱり出した。でも…
「人間ひとり分引っぱり出すとなると…」
どれだけの代償が要るのか、というわけですよね。
「まさかエドワード君は自身を犠牲に…」
…リザたんの心配に、しかしロイはここだけは断言する。
「いや、あいつはひとり残される恐怖と絶望を知っている。それをアルフォンスに
味わわせる事はしない」
…そう。まさにいまエドは、賢者の石はもとより、自身を犠牲にもせず、「何の代
償も支払わずに」アルを取り戻す方法を考えているんですね!!
必ず方法はあると…考えろ考えろ、思考を止めるなと自分に言い聞かせて…
(でも、ロイもリザも何てことなの(涙)ロイの視力だって同じくらい取り戻した
いもののはずなのにね!おくびにも出さずに…)

そこへイズミに肩を借りて、瀕死のホーパパがやってくる。
「エドワード。俺の命を使って……アルフォンスを取り戻せ。ちょうどひとり分残
ってる」
…来たーー!!必ず言うと思ってました。読者全員が予想していたシーンですね!
でも、このエドの顔……何とも形容しがたいなぁ…。
まさにそう、予想どころかこれっぽっちも考えたことなかった、みたいな;
「バカ野郎…そんな事できる訳ないだろ!!オレ達兄弟が身体を無くしたのはオレ
達のせいだ!!アルを取り戻すのに人の命は使わねぇってさんざん言ってるだろう
が!!だいたいなんでてめぇが命を懸ける必要がある!!」
…ひどい……あんまりだエド!(涙)
こういう時は「そうだよな、てめーのせいだオヤジ!だから使うぜ!」って言って
くれた方が親は嬉しいんだよ;(ほんとにそうです!子供に遠慮されるほど哀しい
ことはないの。親は。中高生の皆さんはぜひぜひ覚えておいてー笑)
(いえもちろん、ここではエドが正しいんですけどね;)
ああもう、ここからの親子のやりとりにはしばらく読み進められないほど泣かされ
ました。今もまた、ティッシュで鼻をかまないとダメなくらいボロ泣き(泣笑)
月並みな感慨だけど、やっぱり牛先生もお子さまを得たからこそ魂をこめて描けた
のかなぁ…。(5巻の出産シーンとはセリフの重みが雲泥の差だと思う)

なんでてめぇが命を懸ける必要がある、と拒絶されて「父親だからだよ」と即答す
るパパ。
「必要とか理屈じゃないんだ。おまえ達が何より大事なんだ。幸せになってほしい
んだ。二人ぼっちになって寂しくてトリシャを甦らせようとした…おまえ達の身体
がそうなってしまったのは放ったらかしにしてた俺のせいでもある」
うん……分かる…(涙)…理屈じゃないんだよ。親だもの。
肩を貸しているイズミの表情がまたいいですね。パパの言葉が彼女の心にも届いて
いることが分かる。我々の心にもしっかり届いた。そして…
ああ、エドの心にも届いたんだね……!!この顔!!
「すまなかった…。俺はもう十分生きた。最期くらい父親らしい事をさせてくれ」
……エド!!あんたの返事は!?
「バカ言ってんじゃねぇよクソ親父!!二度とそんな事言うな!はったおすぞ!!」
うわぁぁぁ……(号泣)予想してたけど、でもなんて名シーンなんだろう…
エドもだーだー泣いてる…初めてこの子が子供に戻った〜〜(もうボロ泣き;)
「はは…やっと親父と呼んでもらえた」
パパの苦笑がまぶしくて切なくて……!!良かった……良かったねエド!!

涙をぬぐい、少し自分を取り戻して、周囲の皆を見わたすエド。
みんなみんなが、それぞれに彼ら兄弟のことを必死に見守っていてくれることに気
付いたんですね。
「メイ……アルのためにこんなに泣いてくれるのか」
「ゴリさん…ザンパノ…キメラのおっさん達は巻き込まれただけなのに、最後まで
付き合ってくれた」
「ブリッグズのみんな。厳しいけど頼りになったな」
「少佐はまた泣いてら」
「リンとランファン…自分の国の事もあるのに賢者の石を使えだなんてお人良しす
ぎる」
「師匠にはよく叱られたなあ…」
「大佐と中尉…(回想。沢山の人があなた達が元の身体に戻る日を待ってくれてる
はずよ…。)(回想。ただ私は可能性を提示する!決めるのは君たちだ)」
…そしてエドは、最も重要なことに気付くのでした。

誰もオレ達兄弟に「あきらめろ」って言わなかったじゃないか!!!

と…。
大丈夫だ、やれる!!と何かを確信するエド。何?何を代償にするの?
「メイ、ちょっと離れてろ」
そしてエドがそこに描いたものは、再び「人体錬成の陣」……!!!!
パパさえも驚愕した顔で見つめる中で、エドの両手が上がりました。
ああ、祈りにも似たポーズを作り出す両手……アルが取り戻してくれた右手が、ア
ルの身体のように痩せているのが感慨深い。
「ちょっと行ってくるわ……

「鋼の錬金術師、最後の錬成にな!!」

そして両手は合わさる。ええっ!?最後ってどういうことなのエド…!!
この時すでに、この子の頭には「正解」が出されていたんですね。
そう、代償は何も要らない。そして手放したくないものは、「みんな」だと!!!
(2010/6/13.2:56)


4:アルフォンス生還!!

さて、そしてここで冒頭の考察「手放したくないものはどれ?」へと戻るわけです。
考察の中で結論を、手放したくないもの=「みんな」だと明記しなかったのは、こ
こまでそれを引っぱりたかったから(笑)
でも、最終話を飾るこの超神シーンの解説については、ほぼ冒頭考察で言い切った
と思いますので、ここではその補完につとめてみますね。

その前に、海外にいらしてどうしても本誌を御覧になれない方のために、少しだけ
あらすじを追いましょう。
自分を人体錬成して再び扉の前に立ったエドは、またも真理君と対峙します。
「どうやって人間ひとり引っぱり出す?おまえの肉体を代価にするか?」と問う真
理に、エドは「代価ならここにでけぇのがある」と言って自分の「扉」を示す。
「真理の扉は全ての人間の内にある。それは全ての人間に錬金術を使える力がある
ということだ。錬金術の使えないただの人間に成り下がるのか?」
そう問いかける真理に、「最初っからただの人間だ。キメラにされた女の子ひとり
助けられない小さい人間だ。真理とかいう物を見ちまってからそれに頼って過信し
て、失敗の繰り返し……踊らされたよなぁ」…と、しみじみ述懐するエド。
真理の最後の問いは、「もうこれ(扉)が無くても大丈夫か?」
エドは微笑んで断言する。「錬金術がなくてもみんながいるさ」
すると、ついに祝福の笑みを浮かべる真理。
「正解だ錬金術師。おまえは真理に勝った。持ってゆけ。全てを」
自分の扉に手を当て、錬成で分解するエド。
霧散してゆく真理君は「勝手口はあっちだ」と指さし、混線しているアルの扉を教
えてから消えた。微笑んで見つめ合うエドとアル。
「無茶しやがってこんにゃろう!!迎えに来たぞアル」
「うん」……固く握り合わされる兄弟の手と手。出口はもちろん、アルの扉。
「一緒に帰ろう。皆が待ってる」……ああ、まばゆい光!!
…と、これがアルフォンス帰還シーンの顛末ですね。

考察に加えて重ねて言いたいのは、エドは何も「支払ってはいない」ということ。
言葉の上では「錬金術師としての能力を代価にした」と言うしかないのですが、正
確には「返上した」と表現すべきでしょう。
その証拠に、真理はエドから何も得ることなく霧散しました。エドはただ、真理空
間へゆく通路をふさいだにすぎません。そこを間違えてはならないのです。
真理はただエドが、錬金術を使えるようになる前のありのままの人間へと「退化」
するのを認めただけなんですね。
そう、「退化」です。しかし、これは値千金の「退化」なわけです(笑)
ただの人間の中にこそ等価交換を超えた世界が、真理が、神が、息づいていると知
ること。それはエドのように、「一度ただの人間ではなくなってから再びただの人
間へ戻る」という遠回りをした者でなければ理解できないからです。
結局、これは青い鳥の物語ですが、探さないで見つけるのと、足掻いた末に見つけ
るのとではその価値が変わります。その対象は変わりませんが、自分が変わるから
ですね。つまりは「探さなければ猫に小判」ということ(笑)
(そういえばコエリョの「アルケミスト」も、求める宝が実は出発地点に埋まって
いると気付いて終わるお話でしたねv案外牛先生の出発地点もそこかな?)
そう、まさに「鋼の心」は鋼の錬金術師にしか体得できなかった宝物なんですね。

もう一つ、フラスコがなぜ敗北したのかもここで触れるべきでしょう。
フラスコが神を手に入れられなかったのは結局、等価交換の世界しか彼の中には無
かったからです。つまりそれしか発想の方法がなかったためです。
けれど、神はそれぞれの人間の中に「縮図」として自然に備わっているもの。
だからフラスコにはどこまで行っても、自分の内側を理解することが分からなかっ
たんですね。
「完全な存在」の縮図こそが当たり前の人間であることに思い至らなかった。
神を理解したいのならまず人間を理解すべきだという点に思い至らなかった。
それゆえ「一」である人間を軽蔑し、いきなり「全」になろうとして宇宙の摂理に
敗北したのです。
しかしその代わり、元はフラスコの一部であったけれど人間の愛によって魂が変容
したプライドは、おかあさんの無償の愛によっていつしか本当の人間となり、自分
の中に「扉」を宿し……やがて見事に「全の中の一」となるに違いありません。
それはとりもなおさず、フラスコの成し得なかった夢を彼の一部が実現してゆくこ
とに他ならない。皮肉にも、それがフラスコの「救い」なのかも…?
だからこそ、真の意味でのラスボスはプライド……小さなセリムなのですv
(2010/6/13.4:36)

そして、等価交換で真理を求めようとする人々の末路が「錬金術の狂気」ですね。
最終話のあと、改めてホークアイ師匠のことを思い出すと感慨深いです。
15巻の彼のセリフを吟味すると、彼はもしかしたら真理を見た結果、エドと同じこ
とを悟った……のかも知れないと、考えることもできますね。(ただし通常の術師
は「出口」を持っていませんから、理論として扉を壊すことを考えついたとしても
実行できませんけど。というか実行していたら本人は現世にいないし笑)
でも、それならもう少しロイに対して「錬金術の狂気(等価交換の恐さ)」を教え
てくれていたら良かったのに…。あるいはまた、「等価交換を超えた世界は自分で
悟るもの」だと達観していたのでしょうか?それとも単に時間がなかったのか?
ま、すべては推測にすぎませんけれど(苦笑)ただ…。
リザの背中に救いの呪文のように掘られた「libera me」を思い出すと、いつかロイ
とリザが錬金術の苦しみから自由になれるように、という父親の願いをそこに見い
出せる気が、しなくもないというお話です。
問題は、それでも「錬金術をこの世から無くした方がいいのでは?」という方向へ
はゆかない世界であることですね!作中も、リアルワールドも。
(「錬金術の狂気」を科学礼賛の現世界に置き換えるとか、あとは死刑制度とかハ
ンムラビ法典とか、資本主義なんかも等価交換の見地から議論したら面白い論文に
なると思うけど、私はそこまでは突っこまないでおきます。たいへんだから笑)

さて、いつのまにか別の考察になってました;先を急ぎます。

まばゆい光の方へと扉をくぐり抜け、きっとアルは少しの間気を失っていたんでし
ょうね。
エドが自分を呼ぶ声に意識が戻ると、その場の皆がアルをのぞき込んでいました。
担架で運ばれている負傷者まで(苦笑)(運んでる人、急ごうよ;)
「ア……アルフォンス様〜〜〜〜ッ!!!」
怪我と涙でぐしゃぐしゃの顔のメイが抱きついてくる。シャオメイも一緒に。
わんわん泣きじゃくるメイにちょっと驚いたものの、「そっか、ごめん。つらい事
させちゃったね」とすぐに理解を示すアル。けっこう、メイの恋心はちゃんと踏ま
えている…ように見えますねこれは?(笑)むしろメイ子の妄想イメージギャップ
が心配されましたが、幸いギャップはほとんど無かったみたいです。
そこへやって来るホーパパ。「父さん……」「よう」
ああ…ホーパパには何よりアルのこの姿を見てほしかった!!!(涙)
最後に見た姿は1歳くらいの頃でしょうか?ほとんど初対面に近いですよね…
「おかえり」
「うん。ただいま」
ああ、親子の握手がじーんと胸にきます。…と思ったら、本当にホーパパの握力が
アルの腕にじーんとしびれを起こした様子。
「うわすごい。身体の感覚ひさしぶりだ。全身から脳まで電気が走ってるみたい」
なるほど!身体の感覚!うわぁん…アル!(涙)
「……あったかい」
息子のピュアな言葉に、無言でにっこりと微笑むパパ。読んでいる私も胸があった
かくなりました……ぐすん。いいシーンですねぇ。

そこへ、遠くからイズミの旦那君、シグさんが走ってくる。
「イズミ!!無事か!!」「あんた!」
再び熱い熱い抱擁かと思われましたが、イズミの指さす方を見たシグさんは途端に
目から水を出して…
「……アルフォンス…よかったなぁ〜〜〜〜〜よかった〜〜〜」
うおおおんと泣きながら、ぶっとい腕で痛いほどアルを抱きしめるシグさん。
その様子をぽつんと眺めるホーパパ。あれ、この表情は?
ああ……本当はこの人、シグさんのようにアルを抱きしめて泣きたかったのでは…
でも、でも!会えなかった分の年月が邪魔をして、さっきも何も言えなくて、この
イズミ夫妻の感情表現を見たらなおさら、そうだ俺なんかよりよっぽど彼らの方が
アルを抱きしめてやる資格があるよな、などと思ってしまったのでは…
キメラズや少佐も駆けつけ、みんなに頭を撫でられているアル。
その様子を満足げに見ながら、パパはその笑いの輪をそっと後にしたのでした。
どうして……なぜもう行くのパパ?せっかくまだ命が保っているのに!!
せめてもう一度、エドアルの頭を撫でてあげてほしかったよ……!!(涙)
そのチャンスはもう、2度と訪れませんでした。(2010/6/14.2:09)


5:後始末のあれこれ

さて、ここまで来てもこの「約束の日」はまだ日暮れの気配すらありません。
本当に長い長い一日になったものですね;
「アレックス!」「姉上!」
おお、地上戦は終わったかと姉上も地下から駆けつけて来ました。
すぐ病院へ、と勧める弟少佐に、私より大怪我をしている奴が沢山いるからいいと
断る姉上。
「バッカニア大尉にも会ってやらんのですか?」
「死んだのはバッカニアだけではないし、いまだ瓦礫の下に埋まったままの奴もい
る。そいつらを早く助けねばならん」
……正論だけど冷徹;少佐も同じ感想らしい;
「手伝いましょう」…あ、あきらめた。
「あたりまえだ。……ブラッドレイの死体も引き上げねばならんな」
…あのう、すみませんせめて「遺体」か「亡きがら」と言って差し上げて…(涙)
(いえ、アニメ61話を脳がリフレインし始める前に思考を止めますが!)
ああ、でも何だか分かる。先月号で閣下に話しかけてたあれで、姉上の心の整理が
少しついたんですね。だから真っ先にバッカニアさんに会わないのね。
しかし、大問題なのは次の会話ですよ姉上!
「そういえばスカーはどこへ?一緒ではなかったですか」
「知らん。おおかた崩落に巻き込まれたのであろう」
…って言ってるその真横をスカーを乗せた担架が運ばれて行ってるんですが!?
もしもしっ姉上ーっ;;(しかもブリッグズ一般兵の上着を着せられてる;)
いやはや、これが最終回でいちばん意外だった末路です!(苦笑)

そして、ラジオキャピタルからブレダの脚本による正式声明が…
これは大変長いので全文は無理ですが、要約するとこんな筋書きです。
「大総統閣下の留守を狙い、国民に多大な犠牲を強いる錬金術実験を企てた軍上層
部を、アームストロング少将とマスタング大佐率いる部隊が攻撃。議会等を占拠。
大総統閣下とご子息セリム・ブラッドレイは混乱の中に命を落とされた。マスタン
グ大佐は大総統閣下の意思を継ぎ、国の安全と今後の対策を・・・」
というわけで。
先月号107話の考察、「奥さまと国民に何が伝わるのか(後始末考察)」でせっかく
それまでの主張をひるがえしたところだったのに、結局はそれ以前(105話考察「奥
さまに与えられる救いとは(閣下夫人考察)」あたり)の予想で決着してしまいま
したね(苦笑)でも個人的にはそれで万々歳です!
やはり国民には、「ホムンクルス」という存在について寸片たりとも明かされずに
終わったわけですね。そして最後まで「閣下の支持者である」という姿勢を貫いた
マスタン組は、閣下の「王」としての名誉を守ることでまた自分たちの立ち場をも
守りきったということ。ブレダお見事!そしてありがとう、ロイ!(涙)
105話以降の考察で繰り返して主張してきましたが、閣下夫人の未来を守るためには
閣下の名誉を守るしか方法がなかったんです。(あるいは先月号考察で考えたよう
に全てを国民に打ち明けてシンパシーを誘うか、ほんとにどちらかですね)
そしてここまで来たらもう200%断言できますが…
これこそ閣下の意図した筋書きなのです。最終話ですから確信します。

今まで書いてきた考察を執拗に繰り返すのも何ですので、拙宅のFA第53話感想文
中から少しばかり引用してみましょうね。(以下、色違いの部分)


◆でもね、見逃してはならないのは「街じゅうでこの放送を聴ける状態」だと
いうことです。本誌105話の考察で書きましたけど、チャーリーたちと閣下は
ほぼ同時刻に列車事故現場を出発しているわけですよね?それなら、デニーが
こうして街でラジオを聞いている今このときに、閣下もまたすでに中央へ戻っ
てきているはずなんですよ(もっと前にね)。だから…きっと奥さまの声も、
マスタン組がどういう大義名分で閣下を利用しているかも、すべて聞いたはず
なんです。と言いますか…それ以前に、奥さまをロイに託した時点で、閣下は
暗黙に「彼女を守ってくれるのなら君の有利なように利用してもよい」という
了承をロイに与えていたと……考えてもいいのかな、と思うんですね。
◆これは深いですよ〜。閣下はとにかく、帰城した時点で自分の死を決意して
いたわけですから…(中央司令部は彼のピラミッドなのよ…涙)だとすれば、
奥さまの命だけでなく、自分が居なくなった後の彼女の「立場(名誉)」も守
って欲しいとロイに望んで当然だと思うんですよ。でも、彼女のファーストレ
ディとしての名誉を守るには、もちろん夫である閣下の立ち位置の正当性を強
調しなくてはなりません。つまりロイは、「閣下こそがホムンクルス!」とは
国民にバラせないわけです。言ったら奥さまは国民に袋だたきに遭いますから。
けれど、閣下がそのことを含めてロイの行動を見抜いていたとすれば…?
いいえ「見抜いていた」ではなく、信じていたとすれば…?
◆それはすごい信頼ですよね。まるで自分に「人間に戻ることはできないか?」
と言ってくれたロイに、その返事として暗黙に「私はいいから妻を頼む」と言
っている感じです。本誌104話の考察の中で「閣下とロイとの間の見えない信
頼関係」を指摘しましたが、こうなるともうロイは閣下の「人間の心」を信じ
ているとしか思えない部分も…。
◆これはずっと考えていたアイデアだったんですけど、自分でも確証がなくて
はっきり書けませんでした。でも今回のアニメを見ますと、あまりにも「ロイ
たちが大総統一家を「被害者」扱いすることで国民の支持を得た」ことを強調
していましたのでね(笑)「悪者は閣下を陥れた軍上層部だ!」とね。これは
エンディングを知っているアニメ側からの逆ネタバレと考えていいかな、と。
何より閣下の最期の満足には、家族を守りたいというささやかな願いが聞き届
けられる満足も含まれていたのだと信じたいんですv(←結局はそこ)だから
閣下にとってロイは、最高の後継者であり恩人であり、そして「息子」にも近
い存在だったのでしょうね。
◆そんな訳で、ここまで盛り上げておいて「実は閣下こそがホム一味だった」
的な暴露大会はもはやあり得ないのではと予想します。それをやったらロイは
一挙に国民の信頼を失いますもん。だから、全部終わったあとも大総統一家の
名誉は保たれるのだと思いますよv(奥さま……良かったv)

(引用ここまで)


というわけで、結果的にはこれが実際の結末へとつながる考察となりました。
身動きのとれない困難な状況にあっても、閣下は最愛の奥さまだけは最後まで守り
抜いたのだと(未来まで)……そう言って良いのではないでしょうか?
その満足こそが、彼に与えられた何物にも代え難い「救い」なのだと思います。
だから、ありがとうロイ!!(涙)
そして国民には知らされずに終わった「ホムンクルス」という存在について、ただ
1人詳細な説明を受けなければならなかったのは当の奥さまです。
なぜなら、そう。あの豆と化したセリムがエドの手によって届けられたからですね。

ラジオキャピタルからの声明を背景に、チャーリーたちに護衛されてようやく司令
部へと駆けつけた奥さま…。そこへ心底申し訳なさそうな表情で、エドは自分のコ
ートに乗せた豆のような赤ちゃんを差し出しました。
豆セリムたん、まだ「マ、マ」と言ってます。泣き崩れる奥さま…(ぐすん;)
しかしこの話には素敵な後日談があるので、語るのはもう少し後にしましょう!
1コマずつ描かれた他のシーンも重要です。
デニー・ブロッシュはラジオ局から出て、中央兵に事態の説明をしていますが…こ
れはもちろん、アンチマスタングから改心したデニーが、ブレダの戦略に沿って上
層部が首謀者だと触れて回っているんですね。
お縄の准将2人はご愁傷様…いえざまぁみろです(苦笑)
閣下とセリムの「訃報」は国民にとっても衝撃であり、悲しみだった様子。
そして司令部正門でフーさんにぶたれて気絶したままだったシュトルヒさんは、そ
のままチャーリーの部下たちに拘束されてしまいました。(かわいい…v)

…と、それらの状況をレベッカから説明してもらうリザ。
彼女がいるのは軍病院で、今やっと切られた首の手当を受けているところですね。
(血のついた綿が痛々しい;でもごめんなさい、ヘソ出し下着ルックがあまりにも
可愛らしいなぁv)
「どうなった?」
「私たちの勝ち。正門前で気絶してた大総統補佐官のシュトルヒを押さえた。もう
1人の補佐官…あなたもこちら側だし、大総統の後継についてはシュトルヒと取り
引きしてこちらに都合の良い情報を作る。ブラッドレイ夫人がこっちについてるの
も強みね」
「アームストロング少将は?」
「ブリッグズ兵が大総統と直接戦っているから言い訳できない。何よりブリッグズ
兵は中央兵を殺しすぎたわ。中央の連中を味方にするのは難しいでしょうね。」
…うーん。
この状況についてはやはり完全に閣下の思惑通りだと思いますね。
奥さまをロイ側に託したのも、リザを大総統補佐官にしたのも、シュトルヒさんを
演習に連れて行かずに中央へ残しておいたのも、「叛逆者を討つ」と明言してブリ
ッグズ兵と直接戦ったのも、すべて閣下の意思ですから…。
閣下とロイとの間には見えない絆があると言い続けてきましたが、最後にご納得い
ただけた方もいらしたら……嬉しいです(素直に笑)
でも、ロイのためにこれだけの布石を打っておいてその上で地下でロイの成長を見
届けたんですから……彼も嬉しかったでしょうね。あの微笑みは精いっぱいの祝福
だったんですよね(涙)次の世代への…
はっ!いけないいけない。先を急ぎましょう。

「大佐は?後始末で忙しいのかしら?」今度はリザに質問するレベッカ。
「大佐は……目が……」…輸血を受けながら、口を重くするリザ。
ああなんてこと!エドアルの神シーンですっかり有頂天になってましたが、ロイの
目はどうやったら元に戻せるの〜〜〜〜!?(焦)



6:ロイとイシュヴァール

こちらは司令部の中に作られた、仮設救護テントの中。
木箱の上に座り込み、どっぷりとうなだれているロイがいます。両手の傷には包帯
が巻かれていますが、心細そうな様子ありあり;

そこへ偶然やってきたのは白衣を着たノックスさんでした。駆り出されてたのね!
「えらい事になってるな。おまえさんもどっかケガしたのか?」
「目が全く見えなくなった」
「なんだってぇ!?」
「未来を夢見た者に真理が罰を与えた…………だとさ」
かたわらで少佐が心配そうに見ていますが、「真理」がああいうものだった以上、
失った身体はやっぱりそれぞれ個人で取り返しに行かないとダメだと判明しました
からね;いえ、すでにロイはエドから「正解のからくり」についての説明を受けた
ようですが…
「鋼のがやったように自分の扉を通行料にできれば良いのだが、帰りの通路が無く
なる。この目はあちらに持ってゆかれたままもうどうにもならん」
そう、「帰りの通路」だけが大きな問題なんです;
エドがあの「正解」を真理に突きつけて帰って来られたのは、ひとえに「勝手口」
を持っていたおかげ。つまり本人と精神が混線した肉親がいて、自分の扉が消滅し
てもそちらの扉を出口として使える場合にのみ、エドのやり方が成功するんですね。
そうか…どう考えても無理だと知ってうなだれていたのか(涙)
「目が見えん軍人は退役させられる!おまえさんトップになるどころか…」
「うまいところ(大総統)はグラマン中将に譲るさ。あの人なら大丈夫だ」
…!!一応、その若さで本気で大総統職を継ぐ気ではいたのねロイ!
でも悔しいなぁ…結局はあの腹黒おじいちゃんの目論見が叶ってしまうなんて〜;
描かれていませんでしたが、きっといけしゃあしゃあと「遅れてすまんのー」とか
笑いながら中央へ来たんでしょうね;(ギリギリ。歯軋り)
「目が見えんなりに私にできる事を考えようと思う」
…ああ、なんて無念そうな笑顔だろう;あれだけ「ロイは大丈夫v」と断言しまく
った私ですが、さすがにこのあたりを読んだ時には心に暗雲を感じました。
…でも!そこへノックスさんが呼び入れたのは…(2010/6/15.1:29)

「おいちょっと、マルコーさん!」
「マルコー…ドクター・マルコーか!?」彼はロイの中では医療系錬金術の人。
「話は陰でうかがいました」
そう言って彼がふところから取り出したもの、それは…そ、それは〜〜!!!
「ここに賢者の石があります」
あああまだ持ってたんだマルコーさん!!もうこの瞬間、脳内が先読みして万歳を
となえていましたが…(苦笑)でもここで、ちゃんとイシュヴァールを持ってきた
ところが牛先生ですよね。
「これを通行料に視力を取り戻せるのではないですか?」
「ドクター!!」
「ただし!!これを譲るには条件があります!!このたびの作戦はイシュヴァール
人の協力なくして成功はありませんでした。マスタング大佐、貴方には新たなイシ
ュヴァール政策をやっていただきたい」
…その政策とは、イシュ閉鎖地区の解放、スラムに散らばった彼らを聖地に帰すこ
と。そして最後に、マルコーさん自身がイシュヴァールで医者として暮らすことを
認めてほしい、と…!
ああマルコーさんらしい、彼でなければ言えないセリフですね(涙)
この瞬間、スラムでスカーを手当てしていた歯抜けの少年とおじいさんが、嬉しそ
うに故郷へ帰って行く図が浮かびました。うん。それは本当に誰かがやるべき事!

マルコーさんの必死の言葉に、切なげな表情をするロイ。
イシュ戦での自分の思いをリフレインしているんでしょうね。そして今もなお耳に
響くのは、ゾルフの放った容赦ない正論。死から目を背けるな、前を見ろ、そして
忘れるな……。彼らもおまえの顔を忘れない、と続くのでしたか?
「貴方もまたイシュヴァール経験者だったな…。約束しよう。私はイシュヴァール
政策に全力を尽くす」
ロイの手を、両手で握りしめるマルコーさん。ああこれで、この2人…そしてリザ
にもまた、贖罪の具体的な目標ができたのですね。
「少佐!「また忙しくなるぞ、付いて来い」と私の部下達に伝えてくれ」
あら、まだ視力は戻る前なのに、元のするどい眼光がロイの目に戻りました。そう
よね、こうじゃなければロイじゃないですよね!
それにしてもあんたは…(苦笑)いつになったら部下たちにゆっくりさせてあげる
の!?(責任取ってもらいましょって、リザたん以外にはたらふくのご祝儀と休暇
だと思ってましたよ。ジョークですけど笑)

それにしても、「国の未来を夢見た者から視力を」という理由で取り上げられた視
力を取り戻すために、交換条件(=等価交換)でイシュ戦の贖罪をマルコーさんに
提案させるとは……牛先生ってどこまでも練りに練ってますよね;(苦笑)
うーん、これだとちょっと、「ロイの夢見た未来=贖罪」という感じで、私が当初
からロイとリザに切望していた「2人一緒の未来を、2人で望んで」というイメー
ジとは微妙に温度差があるなぁと、初読時は思ったんですけど…。
でも、何度もこの場面を反芻しているうちに、ロイの前向きな様子に少しずつ安心
感が増してきました。うん、大丈夫ですね、きっと。
何より、結局ロイアイ2人の「最終的な相愛確認描写」はあの「ぎゅうv」だった
ということになりますし、描かれている範囲内でのプロポーズ(未来確約?)にあ
たるセリフはあの「君を失うわけにはいかない」になるわけですが、そのどちらも
イシュヴァールの憎しみ代表だったスカーが同席して目撃していた(時に呆れなが
ら笑)、というのがね、ここに来て大きいような気がしてならないんです。

想像してみると分かりますが、「贖罪」という言葉が暗いイメージなのは、罪を犯
した側にとっては被害者からの憎しみが何より重いからなんですよね。
どれだけ贖っても被害者側の怒りは消えず、両者の距離は縮まらないというイメー
ジがあります。
だけど、地下でずっとスカーと行動を共にしたことでロイとリザの内面は変わりま
した。あの復讐劇も、こうなると影響多大だなぁと思います。何よりリザがスカー
に御礼を言ったこと、あれは大きかったですね。(もちろんその時までにスカーの
内面が大きく変わっていたことがすべてなんですけど)
そして「約束の日」には、師父さまや仲間たちまでもが、何の憎しみも負の感情も
持たずにごく自然にロイたちと共闘していました。
そうなると、もう「贖罪」とは言っても、16巻でリザがエドに語ったあの悲壮な覚
悟とは事情が異なってきているんです。何より牛先生は、この最終話で再びスカー
を死の淵から拾い上げて、再びロイアイと合流させていますしねー(笑)
いやはや……これがホントのダイ・ハード!?
ではなくて、スカーの贖罪をロイアイの贖罪と「一緒にやらせる」という発想がね、
すごく心憎いし…また説得力を増すものになっていると思うんです。
何と言うか、16巻の時点よりも果てしなく前向きに、「力を合わせてやろう!」と
笑い合える何かを感じませんか?

ですから、描写としては描かれていませんが、2人の再出発は決して暗いものでは
なかったはずだと確信しています。今後の未来をすべて罪への供物に捧げるとか、
自分たちは幸せを味わう資格などないとか、そういった負の感情よりももっと現実
的な目標を見据えて、前向きに東部へと向かったはずだと思うんです。
そんな中で、また新しくアパートを探さないといけませんねという話などから、ロ
イが一つの提案を…今度こそ一緒に住まないか、などと持ちかけたとしても、それ
はごく自然で正当な、彼らが求めても誰も文句を言わないささやかな幸せではない
でしょうか?
そしてありがたいことには、我々の想像を制限する余計な描写は何もないのですv
それはもしかしたら、牛先生の特大のサービスかも知れませんよ(笑)
(2010/6/15.3:30)



7:シン組の帰国

さて、その後恐らく「やるならすぐ錬成に入った方がいい」「では錬成陣はどうし
ます?」「鋼のを呼んできてくれないか」等のディスカッションに入ったと思われ
る、ロイ、マルコー、ノックス、少佐の4人。
そこへランファンが通りかかり、ノックスさんがいることに気付きました。
すぐに彼女の脳裏に再生されたのは、ノックス宅でメイと喧嘩した時の彼の言葉。
「ケンカすんなよ。おっさんは子供が殺し合うのなんざ見たかねぇんだよ」…
結局声をかけられなかったランファンは、フーさんの亡骸のそばでじっと賢者の石
を見つめているリンを見て、とある進言をしようとひざまずく。
「若…お願いがございます」
うわぁ…すっかり元通りの糸目に戻っているリンが何だか久しぶり(苦笑)
「もし帝位にお就きなったあかつきには、敵対する他家の者達を害さずにいてくだ
さりませんか」
「いいよー」
「…って、え!?そんなあっさり…」
「おまえの言いたい事はわかるよ。ちゃんと」
驚くランファンがかわいいvまさかの即答だったみたい?(笑)でもこれはノック
スさんとの約束もですけど、閣下との「捨てる捨てない」の決着でもあるんですよ
ね。(さらに、もしここで「王の伴侶」の問答が生きているのだとすれば、ランフ
ァンの中で「もっとこの人との絆を強くしたい」とか…(恋愛よりも人間的に)、
そういう心の動きがあると解釈することも、できなくはない…かも知れません)
でも何より見事なのは、そっちの伏線と一緒に「メイの処遇と帰国はどうなる?」
という問題まできれいに回収してしまったことでしょう!

「おいチャン家の」…いまだアルフォンスのそばを離れないメイに、リンは異母兄
らしく?責任感のあるところを見せてくれます。
「おまえもバカだな。よその国のゴタゴタにつきあって結局賢者の石も手に入れら
れずか。次の帝位はヤオ家のものだ」
ぐっすん…唇をかんでしまうメイ。
「でも心配するな。おまえの家はヤオ家が責任持って守ってやる」
…ぽかーんとするメイと、すっごい意外そうな顔のエド。
「人造人間ですら受け入れたこのオレだぞ?チャン家も他の家の奴らも全部まとめ
て受け入れてやるさ」
するとメイ子とシャオメイ、だー泣きしながらうぐぐぐと悔しそうな顔(笑)
「全部まとめてなんて強欲すぎよ!リン・ヤオ!」
「あーー……あいつのがうつったのかもな」
ぽりぽりと頭をかくリン。あははー(笑)でも、ちょっとでもグリのことが魂に残
ってるといいよね。いい奴だったもんね…(しみじみ)
「ほら帰るぞ」
「なっ…」
ひょい、とメイを片手で抱き上げて、「さぁ帰ろう。俺達の国へ」と言うリン。
何するのよ降ろしなさいとかメイに言われてますが、足ケガしてるんだろ無理すん
なとか言い返し、何やらほのぼの兄妹の図ですねーv
そんな様子を見ながら、ランファンは嬉しそうに微笑む。私の意見を容れて下さっ
た…という思いなのかな?きっと「伴侶になりたい」とは畏れ多くて願えないラン
ファンなのでしょうが、それでもリンと心を通わせられる人間ではありたいですも
のね。
彼女もまた、この国では多くの出逢いと別れを経験して、たくさんの大切な言葉を
未来への土産にするんだなぁ。終わってみれば彼女こそが、最も詳しく閣下の真実
を知る人物になっているところが興味深いです。
そしてそれらの秘密を誰にも明かさないまま(結局奥さまには伝わってない;)、
ただ一人、彼女の「王」だけに一生を捧げるのかな?それもまた、贅沢な人生だと
言えなくもないですね…。
「じいさま、帰ろう、シンへ」
フーさんの亡骸の手をとり、涙ぐむランファン。
「帰るのか?」…驚くエド。そうよね、ごはん食べてからの方がいいんじゃ;;
「あァ、俺達不法入国者だから面倒事になる前にナ」
「(拳をグッ)またな!」
「(拳をグッ)おウ!またいつカ!」
こうして、来た時と同じように唐突に(笑)シン組は帰途につきました。
メイはほとんど拉致られてる感じですが、居ればいるほどアルと別れづらくなった
だろうから、湿っぽくなくて良かったかもですね。どうせまた会うんだしv

「あーハラ減った!アル、飯にしよう!」
…エドったらまるで寂しさをごまかすように(苦笑)でもマブダチだったからね。
「あれ?そういやあのクソ親父は?」
「さっきブリッグズの人にお金借りてたよ」
はっ!そういえば少し前、ヘンシェルさんにお金を借りているパパの姿が…。
あの満身創痍の姿でどこへ行ったのでしょうか?(2010/6/16.2:12)



8:ホーエンハイム天に還る

場面はやっと中央を離れ、ここは見わたすかぎりの丘陵地……リゼンブールですね。
遠くから響いてくるカランコロンという履き物の音。
それはピナコがデンを連れてお墓参りにやってきた音でした。
すると、トリシャのお墓の前に誰かが……誰か…が……
ホ ー パ パ ーーーーーーー!!!!!!その姿でここまで来たんですか!?
「ホーエンハイム!帰って来てたのかい…」
ピナコさん、殴ってやるとか言ってたけど実行しませんよね;?
…というかそれ以前に、パパの様子は明らかにおかしい。
そしてあれほどパパを嫌って近づかなかったデンが、今は近づいてにおいを嗅いで
います。犬は賢者の石の中の魂に反応して嫌がるもの……ということは?中に魂が
もう入ってないということ?

「バカたれが。何て幸せそうな顔して死んでんだい」

………………パパ………………(涙)

…不思議なことに、個人的にはこのシーンで号泣する気にはなれませんでした。
ただただ、あまりにも安らかで満ち足りた表情のパパを見て、祝福したい気持ちが
胸の奥からこみ上げて来て…。それぐらい、いい死に顔だと思うんです(涙)
ああやっと辿り着いたんだね、良かった……と、心から言ってあげたい。お疲れさ
まって…。
変ですね、閣下が逝ってしまった時と何だか似た感情だなんて。
でもやっぱり、作中では一度も相まみえなかったけれど、この2人の人生は似た所
だらけだから。どちらもただ1人の人間の女への愛を貫いて、同じ日にその矛盾し
た命から解放された事といい…偶然とは思えませんよね(笑)これも牛先生の意図
なのかも知れません。
天国でパパと閣下が会って話していたら面白いですね。きっとお互いうらやましい
と思うんですよ。パパは閣下に「あなたは何十年も奥さんと一緒に年を取ってこら
れたのだからいい」とか言いそうだし、閣下はパパに「あなた方はこれからずっと
一緒にいられるのだから羨ましい」とか言っていたりしてね。
「いきなり不死!と言われても困ってしまって」「そうそう、選択する権利もなく
いきなりですからな」…等々、話も合いそうだし(笑)
結局、「ヒゲが世界を救う」というのは誰の事だったのか……「ヒゲの人全員」と
いう意味にも取れるな、と今は考えていますが。

そして、パパの中に最後に残ったパパ自身の魂は、白い鳥になって空高く舞い上が
りました。妻へと向けた、最後の独白の中を、高く、高く…

人より長く生きすぎるなんてしんどい事ばかりだと思ってた。
だけど、きみ(トリシャ)や息子達に会えて生きてて良かったと心から思うように
なったよ。
充実した人生だった。そうさ、十分だ…
………………ああくそっ。でもやっぱり死にたくねぇなぁと思っちゃうな。

最後のひとことがとても人間らしいv(笑)
個人的にどうしても、パパに捧げたい言葉が(あ、閣下にも捧げたい!)あるので、
ここに置いておきますね。

あなたが産まれた時、あなたは泣き、世界は喜びに包まれた。
あなたが死ぬ時、世界は泣き、あなたは喜びに包まれる。

出典はチベットの仏教書。学生時代からずっと大好きな言葉です。
産まれた時から化け物の人なんていないんですから。きっとね、この言葉のままに
2人の魂はまた人間に戻って、天へ登ったんですよね。(合掌)
(2010/6/15.3:39)



9:スカー、第3の人生へ

さて、そしてこちらは畏れ多くも、あの国内屈指の名家アームストロング邸で傷の
手当てを受けたスカーさん。可愛いメイドに身体を拭いてもらった様子です。
ひぃぃぃぃ;;;背景にわずかに描かれた家具の文様までもが豪華だ;;
「また生かされた」
…そんな憮然として言わないでほしい。てっきり相打ちだと思ってたのに(苦笑)
「ロックベル夫妻といい貴様といい、何故アメストリス人は己れを死なせんのだ」
すすすすスカーさん;その眼前におわすお方は氷の女王様であらせられますよ;;
というか、申し訳ありません、「アームストロング邸で怪我の治療をしてもらえる
幸運にひざまずいて靴ぐらい舐めよ!!」と言いたくなりました;
だってずるいじゃない!!ロイなんか仮設テントで木箱に座ってるのよ!?(笑)

しかし、姉上は北で「ゾルフと共倒れになればラッキー」と思い、マイルズさんも
「すべて終わったら裁きを受けよ」と諭したはずのスカーなのに…軍法会議にべろ
を出してまで生かしますか。これは本当に意外でした。(重傷だったし…)
でも、マイオリ2人の言い分はこうです。
「我が北方軍に錬丹術という技術が欲しくて貴様を生かしておいたのだが…ちと事
情が変わった。マスタングの奴がイシュヴァール政策にうちのマイルズを寄越せと
言い出してな」
「で、私が貴様を連れて行こうと思った」
(ああなんて久しぶりのマイルズさんvでも遅すぎるよ智将;待ちくたびれたよ;)
「イシュヴァールに戻り、イシュヴァラ教復興に尽力せんか。もちろん過去を全て
消してだが。歴史ある宗教や文化を死なせてはならん。文化の死は民族の死だ。お
まえの手で民族を死から救え」
…そうか…。スカーをもう一度生かそうと思ったのは姉上じゃないですね、これは。
ただ姉上は、生殺与奪の権利をマイルズさんに渡したかっただけなんだと思います。
あの殲滅戦が開始された時、2親等までのイシュヴァール人をすべて虐殺する命令
で、ギリギリ命をつないだマイルズさんを誰よりも近くで見ていた姉上なんですも
のね…(涙)
彼女の最愛の補佐官(夫とも言うv)と同じ肌の色、同じ髪の色をした瀕死の人間
が目の前に倒れているとき、それが過去にどんな殺人鬼であったとしても、明らか
に国を救うために尽力した者を、みすみす死なせる事はできませんよね…。
だからせめてこの男の裁きは同族であるマイルズに任せようと、姉上はスカーをこ
っそり自分の屋敷で治療しつつ、合流再会したマイルズさんに耳打ちしたのでは…。
貴様の一存にゆだねる、と…。
そしてマイルズさんは、もう一度だけこの男の「血の誇り」に賭けてみようと思っ
たのだと思います。(初めの賭けは成功したもんね!)
うん、それなら納得できます。ええ。マイルズさんの決めた事なら!!

新しい未来を突然提示され、じっと自分の手を見るスカー。
「……生かされている…意味…。もう少し生きて探せという事か…兄者…」
ああ、また兄者に聞くの(苦笑)この人が兄に話しかけるシーンは泣けるなぁ…。
「イシュヴァールへ連れて行ってくれるかマイルズ」
ついに決断するスカー。姉上がマイルズさんの反応をうかがっている視線が萌えv
「うむ」…嬉しそうにうなづくマイルズさん。報われたね!(というかスカーって
マイルズさんの命令なら何でも言う通りにしそう;;笑)
うん、これなら私も良かったv生殺与奪をマイルズさんが決めて、それを当人に選
ばせたのなら。
「ふっふ…マスタングめ。スカーが生きていると知ったら肝を冷やすだろうよ」
って姉上〜;そのお顔はヒヤシンスの復讐?もしかしてほんとはロイへの嫌がらせ
のためにスカー助けたの??(汗)(いやそれは冗談ですけど笑)
そしてふと、ある事に気付いて姉上はスカーを振り返る。
「スカー。貴様、本当の名はなんと言う?」
…どうして閣下と同じこと言わせるの〜〜(涙)でも、これが牛先生の仰った「ス
カーの本名は明かされないことに意味がある」という言葉の真意なんですね。よう
やく最後に理解できましたが…まさかこういう意味だったとは!
「…己れは二度死んだ。この世にいない人間だ…

 名は無くていい。好きに呼べ」

こうして、彼は再び新しい名前で呼ばれるようになるわけですね。
結局、彼の本名が明かされなかったことこそ、彼が最終的に生き残るための伏線だ
ったという…。騙されたような、圧巻なような…(苦笑)いえいえ、圧巻だと思い
ます!(もちろん)
正直なところ、初読時は何だか……「少年Aである子が鑑別所を出てひっそり暮ら
すため、両親が離婚して母親の姓を名乗らせる」的なものを感じてしまったんです
が(そこへ「名無し」だなんてご都合主義この上ないでしょう?)……しかしそこ
に上記のようにマイオリ視点を入れることで、これは想像以上に深いシーンなのだ
と理解することができました。
何よりロイのところで書いたように、スカーの贖罪を「ロイアイの贖罪と一緒に」
実行させるという展開には、何か胸が熱くなるものがあります。
あのエンヴィー戦を丸ごと伏線として、なんと超ド級なまでに前向きな未来を提示
してくれるものかと…!素晴らしいですよね…(感涙)
きっと東で再会した3人は気まずいことでしょうね(笑)ロイとリザは「恥ずかし
いセリフも「ぎゅうv」も、全部見られちゃったんだっけ…」と思うでしょうし、
スカーの方は「またこいつらバカップルと一緒か…しかも今度は結婚しただと!?
このイチャ度…やってられんわ;チッ」とか思うことでしょうしv

そして、恐らくは密かに最愛の補佐官の血族の仇を討つために中央を目指していた
のであろう姉上もまた、大総統の地位は断念しつつも、補佐官の精神衛生のために
一役買って暴れられたわけですし…(イシュ戦を計画した腐った上層部将校を、レ
イブンに続き2人も殺ったわけだし、あと2人は軍靴で蹴ったりホムの身代わりに
責任全部なすりつけてやったし)…まずまず、万々歳の成果ですよねv
マイルズさんはマイルズさんで、同族の未来を1人分救うことができたし、彼が為
す術もなく失ったイシュヴァールの記憶や文化や風習を、これから取り戻すための
足がかりを与えられたわけだし……こちらも前向きな収穫です。
バラバラだった伏線を、一つに集約させてさらに明るい未来へとつなげる…
牛先生の筆の力は本当に素晴らしいですね!
マイオリ好きとしてつけ加えるなら、姉上の「うちのマイルズ」という表現(しか
も自分の屋敷で)には、描かれなかった再会描写を補うにじゅうぶんな萌えを感じ
ますvこちらもまぁ、万歳でしょうか?(笑)(2010/6/16.2:10)



10:エドアルの帰宅

そしてやっと順番がまわってきたねーvのエドアル。
エドの顔から絆創膏が消えてますし、アルはまだ頬がこけているものの、でもかな
りふっくらして、髪も切ってさっぱりさわやか美少年vになってますから…これは
1週間後くらいなのでしょうか?
杖をつきながらの道中、アルはまだまだ体力が戻っておらず、すぐに疲れて休んで
しまうみたいですね。
「大丈夫か?」
「こんなに筋肉が衰えてるとは思わなかった…」
うわー…白いシャツに黒いベストが小粋に似合う;アルの美少年っぷりは壮絶です。
いや、それよりも早く2人並んで立ってみて!我々に身長を比べさせてー!(笑)
「負ぶってってやろうか?」
「いや、いい。自分の足で帰る」
きっぱり言い切るアル。かんわいい〜vそうよね、ロゼにあんなこと言って、自分
はおんぶなんて許されないよね!
兄さんこそ先に帰っててというアルに、一緒に帰ろうと言うエド。あら、でもロッ
クベル家はもうすぐそこに見えてますよ。
玄関の階段の下で寝ていたデンがまず、兄弟の帰宅に気付く。
「デン!ボクだよ!」…んー?という表情だったデンですが、すぐにアルだと分か
ったみたい(笑)すごい!
途端に飛びついてワンワン吠え始めるデンの声に、家の中のウィンリィが気付く。
ドアを開けて、息せき切って(笑)そこには…
「おう、ウィンリィ」
「ただいま」…兄弟ハモって言いましたv言ったのに、ウィンリィったら。
「もう!!帰って来る時は電話の一本でも入れろって何度……」
ここで不覚にも涙ぐむウィン子。「何度……」続けようとしたけど、もうダメ(笑)
嬉しすぎて幸せすぎて怒ってなんかいられないよね!!!!!
ダダッと駆け出し、両手を広げ、兄弟に力いっぱい抱きつくウィンリィ。
彼女の耳にはピアスの穴だけ……やっぱり耳もエドを待ってたんだねー!!!!

「 お か え り な さ い 」

勢い余ってみんなで倒れちゃうのもお約束v
ああんもう感涙よ!!(涙)良かったね〜エドアル!!ほんとに良かったvv
見開きのでっっかい3人の、涙ぐんだ笑顔が最高です。
これを見るために私たち、ずっとずっとこの物語を読んできたんですものね!!!
(2010/6/16.2:50)

さて、続くシーンも同じくロックベル家、エドアルの出演シーンではあるのですが、
恐らくここからが約2年後(ラジオ放送の内容、エドアルが少し大人びた顔になっ
ていることから)……ではないかと思われます。
ここからが本当の意味での「後日談」ですね!

仕事中のピナコ、屋根の修理をしているエドを背景に、ラジオが流れています。
ちょっと電波の入りが悪いみたいですが、内容はこんな感じ。
「マスタング准将が本格的にイシュヴァール政策にのり出し…(ザザッ)将来的に
は東方シン国との鉄道交易を開始したいと…イシュヴァールは交易の拠点として…
(ザザッ)すでにリン・ヤオ皇帝との条約を……」
おお、時代は確実に動いていますね!
約2年後……エドは18歳、アルは17歳、リンも17、8歳、ロイは32、3歳、リザは27
歳か28歳……今まで私たちの妄想の中でしか存在しなかった、作中の未来が展開さ
れています。うわードキドキ!

でも、あの時から錬金術を使えなくなったエドは屋根の修理にも一苦労みたい…。
クギを打つのに金槌で指を打っちゃって、じぃっと自分の手を眺めたあげく、もう
一度ほんとに錬成できないかどうか試してみよう、と思い立つエド。
でも、……「やっぱ無理か」……もちろん、術は発動しません。
「錬金術が使えりゃこんなもん、屋根に登らなくてもパッと片付くのに…」
…うん。そうだね。でもそうじゃないんだよね(苦笑)
そのとき、ふと屋根から眺める故郷の風景の素晴らしさに心奪われるエド。
高い高い空。広がる丘陵。緑の中に散らばる、羊、羊、羊、羊…。(イギリスっぽい)
なんと……綺麗ですね……。アニメでこの風景を見る時が楽しみです。
「……まぁ、手間かかるのもいいもんだよな」
そうだよエド。屋根に上がらなければ見られない、気付かない風景もある。どんな
ことだって自分が変わってこそ見えてくるものがあるはず。
そこへアルもやってきました。
「兄さんまだ直らないの?ウィンリィがアップルパイ焼けたからお茶にしようって。
わ……ここってこんなに見晴らしよかったんだ」
あはは、アルも同じことに気付いたんですね(笑)
「…………広いね」「ああ」
兄弟の前にどこまでも広がる世界…。この2人のシルエットがいいなぁ(涙)
何かこう、彼らがそれぞれ「全の中の一」として我が身を感じているような、そん
な雰囲気ではないですか?あの無人島での最初の修行で彼らが「大いなる流れ」に
気付いた夜、あの時の空気によく似ています。
(6巻を見直して驚いたのは、イズミが修行の最後の日を「約束の日」と表現して
いたことです。どこまでも深いこの作品…;)

そして兄弟は、同時に決心をする。
「……兄さん。僕、ずっと考えてたことがある」
「たぶん俺も同じ事考えてる」
それは、新たなる旅立ち…?
同じ風景を前にして、別々の道を見据えている……そんな予感を感じさせる2人の
凛々しい横顔ですね!(2010/6/17.1:05)



11:そして奇跡は起こった!

場面は変わり、ここは見たことのないとあるお屋敷。
某A家ほどではありませんが、前庭もバックヤードも充実した感じのお屋敷です。
その居心地の良さそうな前庭にティーテーブルを出し、歓談しているのは……
グ ラ マ ン 中 将 と 閣 下 夫 人 ! ?
ああ奥さま……奥さま……!(涙)案じておりました…!お元気でいらして本当に
何よりです(涙)おぐしもお召し物もお変わりなくきっちりと…これならきっと、
悲嘆に暮れつつお過ごしになっているわけではないですね!
ということは、もちろんあれから大総統官邸を出たはずの奥さまですから、これは
ご実家のお屋敷なのでしょうか…(じいやも居ますし)。
「早いものですね。あれからもう二年近く…」
「どうですか、仕事の方は」
「いやはや問題が山積みで一気に老け込みましたわい。ご夫人に叱咤していただか
ないとくたばってしまいそうです」
「あらいやだ。わたくしそんなに怖くないですよ?」
…奥さま、ご自覚なさってないかも知れませんが神速ビンタは殿方には恐怖ですv
でもこのおじいさんにはビシバシ叱咤してあげた方がいいか(笑)
「東はマスタング君、北はアームストロング君がしっかりやってくれていますので
この老いぼれもなんとか大総統のイスに座っていられます。ありがたい事です」
…そうでしたか!
やはりお爺ちゃんが取りあえず大総統職を継いだのですね。う〜ん…このタヌキ爺
の野望が叶ってしまったのはちょっと悔しいけど、ロイにはまず新生イシュヴァー
ルでの仕事があるわけだし(さっきラジオで言ってましたしね)、何よりまだ若す
ぎるし、きっちり務めて憂いを無くしてからトップのイスに就いてもぜんぜん遅い
なんてことはありませんよねv

しかし意外な取り合わせです!いや、前大総統夫人と現大総統なら、あれこれと公
では言えないアドバイスなどもあるのでしょうか…。
でもグラマン中将と言えば、射撃練習中のレベッカちゃんのおしりをなでた人だか
らなぁ……心配です(笑)奥さまの美尻に魔の手が迫ったらどうしましょう!
と言うよりほんと、殺気か何かを感じたりはしないんでしょうかお爺ちゃん(笑)
旦那君はこの作品中屈指の愛妻家でいらした人ですよ?
至近距離から見張ってるかも知れませんよー??
(むしろ見張ってて下さい閣下〜笑)

「まだ後進にお譲りにならないの?」
「(にっ)まだまだ若い者には譲りません!」
「あらまぁうちの主人みたいな事言うのね。あの人、仕事一辺倒だったのよ」
「いやいや私はこの上ない不真面目ですよ」
…ほんと不真面目だよね!(笑顔)
しかし、ここで閣下の話題がさらりと出て来るとは思いませんでした。奥さまから
の変わらぬ愛情は当然のことですけど、特に閣下のことがタブーになってもいない
空気というのでしょうか…お爺ちゃんも特に「ホムンクルス」としてではなく、自
然に「彼女の亡くなった夫」として受け止めている様子には、何やらホッと和みま
す。本当はここに彼も居てくれたらね…(涙)
あっでも奥さま!演習の帰りに閣下の乗った列車を爆破させたのってこの人なんで
すよっ!?閣下もこの人嫌いだったんです!!演習の時なんか「ちゃん」付けで呼
んでたんですよ!?んも〜〜〜〜色々告げ口してやりたい(笑)

とその時、歓談する2人のところへよたよたと歩いてくる1人の幼児の姿が…
「ママ!」
……ママ?
あああああああこ、この子は…………!!!

セ リ ム た ん 生 き て い た の ね !!!!!

うわあああ……なんてことですか……!!なんて〜〜〜!!(泣)
信じていました…牛先生!!ありがとうございます!!もう感無量超えてます!!
ああ嬉しさに気が狂いそう……あの106話以来、どんなに願ったことでしょう!?
あの豆セリムが普通の赤ちゃんと同じように育ってくれますようにって!!(涙)
本来この世に存在してはならない「ホムンクルス」……でもその魂に人間の愛情を
受け入れたなら、彼らもまた「全の中の一」になることを許されるはずだと…
その唯一の例外として、この子が奇跡を起こしてくれますようにと、どんなにどん
なに願ったことでしょうか……!!(うわぁぁん)
もう私、本当に心から、この物語で思い残すことは何もありません。
奥さまが未来へと生きてゆくために、この子ほど心強い支えはないですからね…!
でも白状すると、ちょっとだけ確信していました(苦笑)
母親という生き物が、赤ん坊の姿をしたものに未来を与えないはずがないんですv
だからユリイカの対談を知り、106話を読んだ時、私はひそかに「勝った!」と思
ったんですよ(…今だから書きますけど笑)。

でも本当に、一読者の私が言うのは僭越すぎますが……牛先生はお子さまにすごく
助けられたのではないでしょうか。
作品のこの、特に最終章になってからの深み…。もとからこの作品に漂っていたも
のが、さらに揺るぎない形に凝固してきたような印象を受けます。
もともと「百姓貴族」でいらっしゃる牛先生は、そういったことを肌で理解されて
いる方だと思いますが、出産という経験はさらにそれをパワーアップした形で、ナ
マの命の感覚、宇宙とつながっている感覚などを嫌でも女に悟らせますから…
もしもお子さまを得られていなかったら、作品のあちこちの表現がまた違ったもの
になったかも知れませんよね。
そしてこのセリムに託された思いこそまさにその集大成、「母親の願い」そのもの
じゃないかと思えてなりません。(ラブv)

「ママ!」
「あらセリム。どうしたの?」
……か、かわいい……かわいすぎる……ははは犯罪だよセリムたん;;
3頭身!ぱっちりでっかいおめめ!ちっこいあんよ!いっちょまえの革靴!
今すぐ「ほっぺ食べさちてーv」遊びをしたい;(←家でうちの子とやってます)
しかし、特筆すべきはおでこの丸印(笑)この子、まだホムンクルスなんですね!
そして奥さまの背後でちょっとだけ警戒した感じになるグラマン中将。いえ大総統。
この子の正体はもちろん皆の知るところなのでしょう。
でも、セリムたんの後ろから猫がついてきてますが……もしも複数人数の賢者の石
がセリムに入っていれば、パパに吠え立てたデンのように動物は嫌がるはず。
だからこの子の中の魂は一個。それだけは確かですね。
「ことりさんケガしてる。たすけて」
…泣きながら手の中の小鳥を見せるセリム。鼻タレだとまことちゃんに似てるv
「あらあら大変。じいやに包帯を取ってきてもらいましょ」
「なおる?ことりさんなおる?」
「大丈夫よ。そっと持ってね、そっと…」
うーん。外見は以前のセリムが2歳になった感じそのままですが、当然ながら以前
のプライドとは違う人格です。(でも外見が同じということは、以前の容れ物の情
報はプライド本体、つまりこの豆セリムの情報だったということです。だからあと
数年もすれば、以前と寸分変わらないセリムたんになるはずですね!)

「…やさしい子に育ちましたな」
思わず穏和な顔をするグラマン。
「ええ。この子を育てると決めた時、皆に反対されたけど、なんの心配もなくすく
すくと」
「…まだしばらく見守らせてもらいますよ」
席を立つお爺ちゃん。驚愕の会話です。この子の成長にはこんな舞台裏がありまし
たか!
つまりエドから渡された豆赤ちゃんを「育てたい」と言った奥さまは、皆からその
子の真相を……つまり「ホムンクルス」という存在についての詳細な説明を受けた
わけですね。国民に知らされなかった、大事件の闇の部分を…。
その上で、監視付きでセリムを育てることを「許された」という次第でしょう。
当然ながら彼女の夫の真相についてもその時に知ることになったに違いありません。
けれど、この2年後の描写を見る限り、それらの真相は彼女の家族愛に何ら変化を
もたらしてはいない。そうか…そういうことなんですね。
まさにまさに、この人こそ閣下が選んだ女性。彼が命尽きる瞬間まで信じて疑わな
かったのは、魂の最深部で結ばれた絆の強さでしたか…(涙)
そしてもしかしたら、現大総統グラマンみずからがここを何度も訪れている様子な
のは、ホムンクルス・プライドが覚醒しないか否かの監視のため……?

「その子に異変が起きたときは……わかっておりますな?」
軍礼帽をかぶり、少し厳しい調子で言うグラマン大総統。
「私が起こさせませんわ。大丈夫」
ああ、奥さまのなんと確信に満ちた表情…!彼女もまたこの子からの無償の愛によ
って真の母親へと進化したのですね!
この新たな親子の情景を、ぜひとも天国の閣下に見せて差し上げたい…(涙)
(いや見てるかも知れないんだけどね。笑)
イノセントな瞳でグラマンにバイバイをするセリム。うふふ、きゅんきゅんするv
手を振り返しながら、(人造人間と人間……はたして真に心を通わせることができ
るのか……)と自問するおじいちゃん。
「新たな可能性というやつは、いくつになってもわくわくするねぇ」
ほっほっほっ…とタヌキ笑いを残しつつ、SPと共にその場を去ってゆく彼。
食えないけど、この人も楽天家でいいですね(笑)
新たな可能性……本当にその通りです。すべては奥さまの愛がもたらしたこのホム
ンクルス一家の未来に、心から乾杯したい思いです。
閣下が「ラース」となった時には架空の存在だったブラッドレイ家は、いまや立派
にここにあるではありませんか?それこそは、誰から与えられたものでもない、彼
が自分の手で築き上げたもの…
どんなに誇りに思っても良い、最高の遺産ですね。(2010/6/17.11:15)



12:兄弟のめざす場所

一方、こちらは超お久しぶり!のヒューズ家。
三つ揃いのベスト姿がまぶしいアルが、グレイシアとエリシアにお礼と報告に来て
います。
「あら!じゃあエドワード君の左足はあのままなの?」
「ええ。自戒のためにも足は機械鎧のままでいいって。取り戻す気は無かった様で
す」
えええ!?こんなところで2年後に明かされる、またもや驚愕の事実(笑)
そういえば真理との最後の対決の時、確かにエドが足を取り戻した描写はありませ
んでしたが…あえてあのまま戒めとしたわけですね。それもまた、読者の当初の予
想通りではありますが。
「それに「これが無いとウィンリィが嘆くだろ」って」…呆れたようなアル。
「あはは、なにそののろけ」…グレイシアさん鋭ーい!!(笑)
「……本当に元に戻ってよかった。あの人も喜ぶわ」
うん…そうですね。ヒューズが生きていたら我が子のことのように喜んでくれるだ
ろうなぁ。そしてロイアイファンとして1つ指摘するならば、描かれていないけど
ロイとリザもまた、大事件の顛末についてをグレイシアに報告に来たはずなんです
よね。そして「これからあなた達はどうするの?」という質問に、2人が結婚の意
思を打ち明けた可能性もまた、否定する材料は何もないわけですv

旅を終えたいま、ヒューズをはじめ多くの人々に幸せをもらっていたことに気付い
たというアル。だから今度は自分たちが幸せを返す番だと…。殊勝だなぁ(笑)
「錬金術師の言うところの等価交換?」
とグレイシア。それに対するアルの返答がすごくこの作品らしく、かつ重要です。
「いえ、10もらって10返してるだけじゃ同じなので…10もらったら自分の1を上乗せ
して、11にして次の人へ渡す。小さいけど僕たちが辿りついた「等価交換を否定す
る新しい法則」です。これから証明していかなきゃいけないんですけど(苦笑)」
あははは(笑)
姉上の「等価交換を否定する法則」も彼女らしかったけど、エドアルの法則もすご
く「らしい」ですね!きっとまだまだ他にも、色んな方法で等価交換は超えられる
んだと思うなぁ。
「何かやりたい事があるのね?」とグレイシア。
それは図星だったようです。ぐっと表情を改めたアルは、胸に秘めていた計画を…
「僕達が助けられなかった女の子がいます。その子をずっと忘れることができませ
ん」
……ニーナ!!ああ、あのもはやどうにもならない事件までも、伏線として最後に
登場するとは!!兄弟のやりたいこととは一体何なのでしょうか…?

場面は変わり、こちらはカフェで一服しているザンパノとジェルソ。
あわわ〜忘れてた(笑)キメラズはまだ元通りになってませんでしたね!どうやら
今2人が議論しているのも、まさにその「俺たちが元通りになる方法」についてみ
たいですが…?
「だからよぉ!お父様とやらがやらかした感じに、魂は一旦抜いといて別の場所に
避難させておいてから肉体の方をカエルと人に分離させんだよ」
何やらかわいい図を描いてザンパノに力説するジェルソ。
すごいじゃなーい詳しくなったじゃない!(笑)北ではあんな風にあきらめた事を
言ってた時期もあったのに、すっかり前向きになったんだね!
「でも、肉体と魂の間にヒモみたいな精神がつながってないとそのあとで魂が戻っ
てこれないのでは」と反論するザンパノ。こっちも詳しくなってる!
「そこをうまくする方法を探しに行くんじゃねぇか!!」
とジェルソ。……ん?探しに行く?どこに?

その時、カフェのドアが開いてアルが店に入って来ました。
「あ、いたいた。ザンパノさんジェルソさん」「おう!」
なんだ、待ち合わせだったんですね。
「兄貴は一緒じゃないんだな」とジェルソ。
「お世話になった人が多すぎるから、2人で分けてあいさつ回りをしてるんだ」と
答えるアル。
北で「枯れたこと言わないでよ!」と叱咤してキメラズに希望を思い出させ、最終
的に見事に失った身体を取り戻してみせたアルを、キメラ2人はどういう思いで見
てるんだろう。やっぱり教祖?(笑)エドアルは「お世話になった人が多すぎる」
と言うけど、兄弟の言葉で救われた人々だって数えきれませんよね!
「んで僕の分のあいさつ回りは今日で終わり!」
「おっ!!んじゃいよいよ…」
「うん!シンに行くよ
おおおおお……行きますか!シンに!
ちょっともう、この凛々しく言い切る確信に満ちた顔を見てたら、ほんとにこの子
たち大人になっちゃって……もう親の出る幕は無いなと思いました。(いや私、親
じゃないですけど〜笑)
自分の明日を自分で決められるようになったんだね。独り立ちの時なのね…(涙)
「メイの所で本格的に錬丹術を学ぶつもりだ。シンだけじゃない。東方の国々をま
わって様々な学問を身につけたいと思ってる。自分の足で…自分の目で…世界を見
たいんだ」
そうか……それが屋根の上で言っていた「ずっと考えていたこと」なのね。
「……て言うか2人とも本当について来るの?」
「あたりまえよぉ!!」
ええ!?そうだったんだ〜〜(笑)やっぱりアルは教祖様!?三蔵法師!?
ではないけど、でももちろん北でのあの会話が伏線になっているんですよね。
何年かかってもあきらめないと言ったアルを見習って、人任せにせず自分でも動こ
うと…。
ボディガードになろうという2人に、それじゃお言葉に甘えますと笑うアル。
「兄貴はシンに行かねーのか?」
「兄さんは左足が機械鎧だから客熱の砂漠越えはきついよ。世界は広いからさ、僕
が東回り、兄さんは西回りで知識を身につけてくる」
…なるほど。ああ何だか金髪金目の「東の賢者、西の賢者」を彷彿とさせますね!
そしてまた兄弟が再会する時、それはかつての「賢者の再会」とは全く違った、正
しい意味での「賢者の再会」になることでしょう。
「そして2人で東西の知識を持ち寄れば…錬金術によって苦しんでいる人達を助け
られるかもしれない」
アルの真剣な視線の先に見えているもの、それはニーナであり、キメラズであり、
また人体錬成のリバウンドに今もなお苦しむ人々も含まれるのでしょうか…。
「あちら側」に一度は捕らわれて帰還した兄弟だからこそ考えついた視点で、彼ら
はこれから「等価交換の泥沼で苦しむ人々」を解放する仕事に挑戦しようというの
ですね。
なんと…なんと心憎いのか…(涙)もう地団駄を踏みたくなります!
27巻分の物語を通してここまで唱えられ続けてきた「さらなる真理を」ではなく、
真理と等価交換のはざまで犠牲になった人々を救ってこそ、真の錬金術師だと言う
のですね…!!まさにそれこそは「鋼の錬金術師」の最終形態…
現在のエド(とアル)にしか思いつかない、そして成し得ない神業でしょう。
やはりエドの「退化」には値千金の意味があったわけです。
この最後の大逆転、もう脱帽を超えてますね!!



13:最終章。ここより未来へ!!

旅立ちの朝。
リゼンブールの駅で汽車を待ちながら、旅先での機械鎧の手入れについてクドクド
とエドに言い聞かせるウィンリィ。
でもエドの返事は全部「へい」「へいへい」「へーい」…進歩してないな〜(笑)
そこへ汽車がやってきて、エドはもうはしゃぎまくりです。
「楽しみだな!西には何があるのかわくわくするよな!」
そんなに浮かれてると機械鎧を壊してすぐ戻ってくる羽目になると呆れるウィン子。
「その方がおめー儲かるだろ」…お金、今も払ってるの?
「あんたのためを思って言ってるの!」
「へいへいありがたく承っておきますよ」
「整備の時はちゃんと予約の電話入れてね」
「おーう」
……2年前と何ら変わらない、何の変哲もないいつもの旅立ち風景に見えました。
見えたんですが!しかしー!!(笑)
ふと立ち止まり、「予約か……」と不気味につぶやくエド。汽車はもうホームに停
車しています。
「ウィンリィ!」
「?」
「あーーーその…なんだ。えーと。予約つーか約束つーか、なぁ」
「?なによハッキリ言いなさいよ」
「等価交換だ。俺の人生半分やるから、おまえの人生半分くれ!

……えええええええええええええ………………っっ!?!?!?!?

エドワード・エルリック、ここでまさかのプロポーズです!!!!!
ウソでしょー!?信じられない!!ロイアイを差し置いてこっちーー!?!?!?
…しばし分厚い雑誌を閉じて絶叫してしまいました(笑)
そ、そうですか……アメストリスと現代日本との結婚適齢期の差のことを念頭に置
かなかったことが、この不意討ちをこれほどの衝撃へと変えたのかも;
確かにトリシャもイズミも18、9歳で結婚し、20歳そこそこで妊娠を経験していた
のでした……。27、8歳のリザはすでにこの世界では「範疇外」なのかしら(涙)
というわけで、この時点でロイアイプロポーズ図は夢と消えました(苦笑)

まぁ、彼らにとっては結婚そのものが何を今更じゃないかと言われれば、本当にそ
の通りなんですけど。昔からすでに実質夫婦なのだし…(ほんとに)
私がこのサイトでずっと主張してきたことも、確かに2人の「ゴールイン」ではな
くて「相思相愛」でした。そしてそれは皆さんご存知の通り、作中でとっくに確証
を得ていることですよね。
でも、最後はぜひ純粋にサービスとして、プロポーズかウェディングシーンを!
と望んだのはとても自然なファン心理だったと、思うんですけども…(苦笑)
ただし、あのぎゅうvの時点でカップルとしてこれ以上は公認できない形になって
いたのも確かですし…(あれ以上となるともうキスシーンか+αですもんね;)
さらに、今までの膨大なロイアイ伏線がウソだったはずもまたあり得ません。当た
り前すぎて恥ずかしいですが、それはもちろん断言できること。
ということは?
おそらく牛先生の中でロイとリザの件は、「分かりきっているシーンなので描きま
せんでした」という扱いなのです。逆に言えば、たどり着く結末を示しすぎる伏線
はすでに伏線ではなく「予定」だということですね(苦笑)すでにロイアイの結婚
予定は作中のカレンダーに書き込まれ済みだったということです。
だから先生は、「その予定表を見せたんだからもういいでしょう」とおっしゃりた
いんですよね。
うーん…できればワンカットでも先生の絵で見たかった…ですけど。でもいい!
さぁ、ここは大人らしく振るまい、年若いカップルを祝福しましょうv

思いっきりぽかーんとしているウィンリィ。
ついに言ってしまい、彼女の反応を待って頬を紅潮させるエド。
抱きついてくると思ってたのかな(笑)でもウィンリィ、よろよろと汽車の車体に
手をついて呆れちゃいましたよ?
「あーーーーもう、どうして錬金術師ってそうなのよ。等価交換の法則とかって、
バッカじゃないの?」
なんだとぉおおおおおお!!?
「ほんとバカね、半分どころか全部あげるわよ」
「(衝撃すぎて無言のエド)」
か、かわいいぃぃぃっっ(じたばたじたばた)何これエドウィンかわいいぃぃvv
「………………あっ…やっぱ全部は無し。9割…いや8割?かな?7…じゃないな
8.5かも」
やーーーん赤くなって真剣に計算してるウィンリィ、今までで一番かわいいvv
「は…ははははははははははは…わははははははは!!
突然大笑いし始めるエド。
「なによぉ!!」
「いや悪ィ悪ィ。おまえやっぱすげーわ!(だははは)」
ちょっとーーーもう見てるの恥ずかしいんですけど!ムズムズするわよ〜(笑)
「等価交換の法則なんざカンタンにひっくり返しやがる」
「えーーなにそれ。バカにしてんの?」
「ちげーよ」
…おでこをポン。もうすっかりエドの方が背が高いのね。男の子の成長って憎い。
エドの深い深いセリフについては、もちろん冒頭の考察で触れた通りですよv
「元気出た。ありがとな。行ってくる」
「……うん。行ってらっしゃい」
うふふvエドウィンのぎゅうvロイアイファンが先に味わった幸せを、エドウィン
ファンの方々もいま味わっておられることでしょうv

ピリリリリ……と鳴り始める発車ベル。
ウィンリィの姿を見て、リゼンブールの駅のおばちゃんが驚いています。
「あら?アルフォンス君に続いてエドワード君も旅に出るのかい?ちょっとは落ち
着いたらいいのにあの兄弟は」
「あいつらはあれでいいのよ。じっとしてる男なんてつまんないじゃない」
清々しい表情…。ウィンリィの耳にまたきっちりと飾られたピアスに目がゆきます。
この子も大人の女になったのね…
じっとしてる男なんてつまんない、か。待ってるだけなんてイヤだ!と言っていた
少女が、いつのまにか遠洋漁業の母港みたいに広いふところを身につけて!!
主人公3人トリオがこんなに大人になってしまって、何だかもう卒業式を見ている
ように、今まで27巻分の思い出があふれてきて、はらはらと涙が止まりません。
でもウィンリィ!個人的には男はじっとしててくれた方が助かることもあると思う
よ!そのうちきっと分かるよーv(あっはっは笑)


さあ、ついにフィナーレのフィナーレが来ました!!
わああああああ…………見開きページに何枚も散りばめられた、さらに2年後くら
いの未来写真がもう、絢爛豪華で、まぶしくて、それぞれに雄弁すぎて!!!(涙)
どんなに自分がこの作品が好きだったか、どんなに各キャラを愛してたか…
どんなにわずかな描写にまで、その部分の過去の伏線をそらで思い出せることか…
私がこの作品を見守った6年間、どんな状況の中でも必ず私の内宇宙には彼らが住
んでいたことを思いつつ、ただただ、目の前の未来図に見入りました。

我らがロイアイは、ロイの階級章が大将になってます。オールバックのロイはます
ます大人の男の色気を増して、そしてショートヘアに戻ったリザは変わらぬ美貌と
凛々しさを無くさず、2人が変わらず寄り添っていることに満足しましたv
そして何と!エドウィンにはもう子供が2人もできてますね!(笑)
上の坊やはエドにうり二つ、下のお嬢ちゃんはウィン子にうり二つv年子なの!?
後ろで超イケメンっぷりを全開しているアルと、婚約中なのか旅行中なのかは不明
ながらアルとうまくいっている感じの中華美少女メイがほんとにかわいいv
ハボックは何とリハビリ歩行訓練中!監督するブレダとロス少尉の厳しさを見れば、
歩けるようになるまで鞭打たれるのは必至。きっとやり遂げることでしょう!
フュリーは相変わらず通信部門…ハヤテ号より階級は上がったかな?
ファルマンは結局北に居ついたのね!大尉くらいになれたかな?
カーティス精肉店の面々も変わらず元気いっぱいv
パニーニャはまだガーフィールさんのお店ね。
そしてヨキは何とサーカス団のピエロに!?ゴリさんとハインケルサンも付き合い
でサーカス!?いやーいくらあの身体が便利だと言ってもねぇ(笑)
そしてリンはめでたく皇帝にvでもオールバックでますます老け顔になってるよう
な??おそばには変わらずランファンが控えてますねv
少佐と姉上も相変わらず仲良く喧嘩していそうv
トリシャのお墓の隣にはちゃんとパパのお墓が…良かったねvピナコさんの長生き
を祈るばかりです。
マイルズさんは北を離れてスカーとイシュヴァールかな?スカーは髪が伸びている
ものの、顔のバッテンがあるかぎり素性はバレバレじゃないのかなぁ(苦笑)
そしてハヤテ号には子犬が3匹!!こちらも子孫繁栄でけっこうけっこうv

みんなみんな、本当にそれぞれの場所で、それぞれの人生を歩んでいるんですね。
私にとって彼らはもう確固たる実在です。
物語は終わるけど、ずっとずっと、この先も……きっと「年賀状は来なくなっちゃ
ったけど元気でやってるんだろうな。大丈夫だろうな」という知り合いのように、
最後に届いた年賀状を見るような気持ちで、この未来写真を眺めますよ!!!!!


写真の上から入れられた、物語を締めくくる言葉はこんな風です。


痛みを伴わない教訓には意義がない。
人は何かの犠牲なしに何も得ることなどできないのだから。
しかしそれを乗り越え自分のものにした時……
人は何にも代えがたい鋼の心を手に入れるだろう。


そしてラストページは笑顔で汽車に乗り込むエド。
ああ、ここについに……

鋼の錬金術師、完結……!!!
(2010/6/18.5:00)




というわけで、1話分としては最長の感想文となったこの文章を最後まで読んで下
さってありがとうございました!
これをもちまして、全108話、コミックス27巻分の作品感想を完了いたします。
(あと少しだけ、上で触れられなかった部分を考察として書きますが)
初読から1週間経った今でも、まだ実感が沸かないのが正直なところですが…でも
こうして詳細な感想を終えてみますと、やはりもう1ヶ月に一度、不足がちな脳を
ひねりにひねって感想と考察を書く日々は終わったんだ!という…(笑)
寂寥というよりは、最後の最後、ラストの1コマまで吟味して味わい尽くした!
という達成感の方が大きい気がします。

とにもかくにも、この超名作を最終回までリアルタイムで語り尽くすことができて
本当に……本当に満足です!!!!
6年をかけた私の個人的な願いが叶って、今はもう感無量……胸いっぱいです。
牛先生が休載を一度もなさらなかったのが事実なら、私がこの隅っこサイトで6年
間、一度も感想書きを休まなかったのもまた事実(笑)これはちょっとだけ自慢で
きるかな?(あ、出産の時は休んだかな;汗)
雨の日も風の日も、インフルエンザで高熱の時も本誌を買いに行きましたし、妊婦
の時も出産直後も、夜の授乳の合間にも感想を書きました。
でも、大変じゃなかったんです(笑)むしろどんなに大変な時でも、鋼のことを考
えているだけで脳内麻薬が出て出て!いつもパワーをもらってばかりでした。
それでも、この楽しみのためにリアル生活をまったく犠牲にしなかったか?と聞か
れれば、それはやはり家事などをはしょることもままあったわけで…(えへ笑)
ですから、これはここまでの、期間限定の楽しみだったとしみじみ思いますね。
2度とはできないわがまま……そんな感じです。

今まで私のわがままを許してくれたすべての人々、臨月でどうしても本誌を買いに
行けない時に瞬速コピー+速達で送って下さった☆夜さん、そしてサイト活動を支
えて…はくれてないけど見て見ぬフリをしてくれる(ひゃー笑)家族と、私の拙い
感想文をそれでも「楽しみ」と言って下さった皆さま全員に、心からの感謝をささ
げます。
本当に皆さま、最後までお付き合いありがとうございました!!
これからもずっとこの作品を愛でてゆきましょうねv
そして冒頭で書いたことの繰り返しになりますが…
荒川先生、9年間お疲れ様でした!!本当に心から完結おめでとうございます!!
1ファンとして、それから同じ年頃の子供を持つ母親として、心から敬服し、尊敬
いたしております!!
鋼の錬金術師、万歳!







2010/6/18 結城鈴々


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以下、考察コーナーになります。(まだメモ段階です)



感想部分が長くなりましたので、考察コーナー用に別ページを作りました。
こちらからどうぞ☆)





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