ガンガン感想43(105話)

本誌感想(+小考察)のコーナーです。






第105話

(感想部分へのワープはこちらから
(考察コーナーへのワープはこちらから




いま、改めて本誌を前に置いて思いっきり泣いてきたところです。
まだ胃が引きちぎられるような感じですけど…
大好きな人が逝ってしまう、というのは2次元も3次元もあまり変わらないですね。
目の前で起こっていることに自分が何の影響力も持てずに、どうしようもなく指の
すきまから水がこぼれてゆくのを、ただ傍観しているしかない感覚…。
ああ……ダメですね、何を書いてもすぐに涙でキーが見えなくなる(泣)
今月号では本当に私、リアルに心の一部を失ってしまいました。覚悟なんて、何も
できてなかったんだと思い知らされた気分です(涙)
正直なところ、まだ思うように言葉が出て来ないのですが…
でも初読後のイメージを残しておきたくて…
うまく文章にならないかも知れませんが、閣下への精一杯の思いを込めて、考察と
言うよりは私的な日誌のつもりで、綴ってみます。
詳細な感想は、申し訳ありませんがもうしばし時間を下さいませ。もちろん未読の
方々にはこの冒頭の文章は意味不明のものになりますが、ご了承下さい。
どうしてもここから書きたいのです。


◆冒頭考察:夫妻の愛こそは不死

105話。
はるか中空に輝くダイヤモンドの下で、彼は天に召されたのでした。
これはね……自死ですよね。彼の死は結局、彼の意思だったのだと思います。
誰よりも閣下自身にとって、この国の再生には自分の遺骸が必要だったと…そうい
うことだと思うのです。
それは、終わらせるためにですよね。膿を出し切ってホムンクルスの統治を終わら
せるために。そして国民に対する王としてのけじめとして。
そのために、彼が最後に捨てるべきものは自分の命だったということですね。
けれど、それが奥さまの魂が元通りに救われたのを知ってからだった(目の前であ
れだけの魂たちが移動しているのを見れば嫌でもそう分かるはず)…というのが、
偶然でもあり、また偶然ではない、と思いたくなるところですが(苦笑)これは後
日の考察へと。

閣下の最期を看取ってくれたランファンには、とても複雑な感情を感じますが…だ
けどやっぱり、感謝したい思いです。うん。
一息にとどめを刺すこともできたのにね。憎かったでしょう?大事な爺様を目の前
で殺されたんだもの。それでも1人の人間の敵に対して接するのと同等に、閣下の
最期に接してくれてありがとう…叶うならそう言いたい(涙)
でも絶対に理解してほしいです。閣下が彼女を、暗黙に「未来のシン皇帝の伴侶」
として遇したのだということを。閣下は皇子であるリンの代理人として、彼女に最
後の帝王学を説いたのですよね。
それは、自分の肉親の仇でも仮にも一国の王として、人の道にのっとり誰か大切な
者への遺言を聞いてくれたランファンへの、まるで御礼のように見えなくもない。
そしてさりげなく、メガトン級ののろけでもあったかも知れないけど(泣笑)

「言い残す事は無いか?」
「無い!!」
「つくづく悲しい存在だな人造人間。貴様には愛する者はいなかったのか?友は?
仲間は?妻は?」
「……妻か」
「その者に遺す言葉は何もないと言うのか!貴様が人造人間と知ったら…」

「愛だの悲しみだのとくだらぬ言葉を垂れ流すな小娘。」
「なめるなよ。あれは私が選んだ女だ」
「私とあれの間に余計な遺言など要らぬ。王たる者の伴侶とはそういうものだ」

…まるで「おまえに私の妻ほどの「王の伴侶」たる器量があるか!?」と斬りかか
るようですよね。ランファンも生涯、その言葉を決して忘れないことでしょう。
そして後日、彼女と奥さまとの邂逅があったらその時は……閣下の言葉を伝えるの
ではなくて、その代わり「王妃」として彼女を敬ってほしいな。
切に切にそう思いました。


それにしても、です。
「あれは私が選んだ女だ」…これは……ちょっともう不可侵ですよね(涙)
私の今までの人生で2次元3次元をひっくるめて見聞きした中で、最もしびれる、
震えがくるほど最高に漢前な、愛の告白でした。
これはもう誰にも穢すことの出来ない境地だと思う。唯一無二……今後どんな書物
を読もうとも、2度と出会えない言葉だと思います。もう鳥肌が立つどころの話で
はありません。「あり得ない」というレベルです。牛先生、あなた様は……!!
そして閣下のこの矜持ときたら……敗残の惨めさなど1ミクロンも無くて。
誰よりも、他のどんなキャラよりも誇り高く、もう、もう、もう、もう………
叫ばせて下さい。格好いいです……閣下!!(号泣)死ぬほど漢前ですよ!!!!
声を限りに絶叫したいくらい、誰より誰より格好いいですよ……!!(号泣)
ああこれが「王」の姿でなくて何だと言うのか…。正真正銘でしょう!?
「捨てる、捨てない」の結論など、もう何ほどのものかと思います。
真の王がどちらかなんてもうどうだっていいこと。そんな議論は本当に青臭すぎる。
王たる証しはその矜持。
そう全身で語る彼の姿、両腕を失いつつ横たわった姿に、ああこの人は最期まで本
当は何も失っていないのだと……その魂の穢れなき誇り高さに、深く頭を垂れたい
気持ちになりました。
本当は「与えられたレールの上の人生」ではなかったのではありませんか?王であ
ることを、彼はやはり我知らず選びとったのではないかと…今はそう思えてなりま
せん。

しかし、この熱い愛の言葉の真意はどこにあるのでしょう。
「貴様がホムンクルスだと知ったら…」
「なめるなよ。あれは私が選んだ女だ」
まるで「馬鹿にするな!」と吐き捨てるような語気、睨め付ける視線…。
もしやその真意は…奥さまは閣下の正体もすべて承知の上で彼を愛してくれた、と
いうことでしょうか。まさか閣下……結婚する際にすべて真実を話していたという
ことは…?
いいえ、そうとは限りませんねこれは。
個人的には、私は「奥さまはすべて知っている」説を推しますが、もしも知らなく
てもこれは…
「私が人間であろうがなかろうが、我々の絆はそんなことを超えている」と……そ
ういう意味でしょうか?
王たる者はきれい事では務まりませんよね。他国を侵し、理由もなく他人の命を踏
みにじることもままある。そしてその応報として、いつ自分も同じ目に遭うかも分
からない。でも、それが是か非かという視点で見るのではなく、いつ何時別れが来
ようと、それが最後の会話だとしても悔いのないように、もっと深い部分で心を通
わせているという……?
ああ…そんなにも強い愛で結ばれていたんですか……幸せだったのね閣下…(涙)
奥さまを誇らしく思っていたのですね。彼女の心の強さこそ、「私が選んだ女」と
閣下が言い切るに値する女性であることの証しなんでしょうね。
それなら結局、彼らの愛は死によって終わらないということ?
…もはや……もう…もう…「萌え」なんて知りません……!!
そんな軽い言葉で言い表せない……(涙)
心の底からすべて、すべてを持ってゆかれました。
もうこのシーンが私にとっての鋼のすべてになってしまうかも知れないほどに;
できるなら土下座姿で今月号に心を捧げたいと思いました。
いいえ、捧げます!!私の持てるかぎりの思いを捧げたいです。
閣下ありがとう……ありがとうありがとう……(祈)牛先生にも改めて脱帽です。
ちょっと…もうどれだけ……どれだけ萌えを超越した神シーンなんでしょうか…。
何だかもう……他のカプのどんな愛情も閣下夫妻には敵わない気がしてきました;
いやはや……漫画を超えていますね。
私ほんとに、2次元の出来事にここまで莫大な心的エネルギーを費やして、ここま
で莫大な感慨を覚えたのは初めてです。
鋼の錬金術師105話……2010年3月12日。この日を忘れはしません。
(2010/3/12.4:30)



◆冒頭考察2:今後について

ああ……溜息しか出て来ないですね、今は…。
やはり奥さまは完全にトリシャと同じ立ち位置なのだと思います。
個人的には80話の感想内考察で書きました通り、閣下は「自分の秘密は墓まで持っ
てゆく」と思っていても、やはり奥さまは事情を察していて、その上で彼を愛して
くれていたのではないかと思う。(子供を作ろうとはしたわけですし…何十年も何
も気付かないなんて女性としてあり得ないし…(すみません///))
真相が本編の中でそれとなく明かされるかどうかは分かりませんが。
こうなると、閣下とホーパパの会話は叶わなかったので、あとは有り得る線でゆく
と夫人とホーパパの会話があるかどうか。そしてその内容が、「化け物と知った上
で妻に愛された男」と「化け物と知りつつ夫を愛した女」の会話になるのかどうか
…それが興味深いですね。あるいはすべて読者の推測に任せられてしまうのかも知
れませんが。

しかし、こうなってもまだ閣下考察のすべてが潰えたわけではないんです(泣笑)
まだラストまで分からない…彼が遺したかも知れない火種がたくさんあります。そ
れを今は大切に見守りたい気持ちですね。
最大の伏線はもちろん104話の考察(ラスボス新仮説)で書きましたように、奥さま
の愛情がセリム=プライドに及ぼした影響についてですが。
あとは、恐らく生き残るであろうシュトルヒさんが、何か閣下から指示をもらって
いるかも知れません。(人事や制度について…もしかしたらロイの階級などについ
ても、書類が整っている可能性があります。シュトルヒさんはきっと主席補佐官だ
と思うので。)
でも結局、私がこの5年にわたって信じてきた閣下の「人間の心」については、確
証が与えられないままなのかな…。そういう意味では、数えきれない閣下考察を書
いてきた私はやはりピエロ?という気もしますが(笑)
けれど、今月号のセリフの前にはすべてが報われた思いですね。心底から。
はっきりと「裏切る」展開ではなかったのが牛先生の心意気なんだと思いますし、
閣下が「ホムンクルスとして逝く」ことが、閣下自身にとって必要だった、閣下の
意思だったと…そういうことですよね。

そしてさらに新しい考察の可能性も拓けています。
今月の閣下の最期のセリフ、「レールの上の人生ではあったが、人間たちのおかげ
で最後の方はやりごたえのある良い人生であった」というセリフの意味を考えると、
やりごたえのある良い人生だったというその「やりがい」が、人間側との死闘を指
しているとはあまり考えられないですよね。それを「良い人生」と表現するのは明
らかに不自然だし、不毛すぎます。
しかも「人生の最後の方は」と言っています。つまり、イシュ戦でロイを見いだし、
その後のエドたちとの出会いを経て、閣下はやっと生きがいを見いだしたと…人間
の世界に光を見たと、そう考えることができると思います。
つまり奥さまと結ばれた20代半ばの頃からイシュ戦までは、結婚によって心の安ら
ぎを得たとしてもやはり一人の男の生き方としては、「与えられた人生」にやりが
いを見いだせなかったということになりますよね。(国家暗黒計画ですしね;)
さらにもう一つ。
もしも閣下が完全にホムンクルス側の人だったとしたら、今月の「それが王の伴侶
たるもの」いう言葉はあまりにも欺瞞に満ちたものになってしまうんです。
要は、「私は妻を含めて人間たちを殺す方向に行動するが、それをも理解して超越
した愛で結ばれているのが王の伴侶」ということになる…。
そんな稚拙な、自己中心的な愛はないでしょう?
その点を考えても、やはり閣下には人間側のために遺した何らかの遺産があるはず
だと思えるのです。

だとすれば、閣下が「若者たちの時代が迫ってきている」のを知って喜んだ結果、
命尽きるまでに成し遂げた「やりごたえのある事」とは、一体何なのか?
個人的にはやはり、これこそ閣下の死後に明らかになる伏線、「人間のために国王
だからこそできた何か」が、すでに水面下で用意されているのではないかと思いま
すね。個人的にはそう確信しています。
なぜなら、そうでなければ……!!
そうでなければ、たとえ彼が一人の女性から愛され、誇り高く命を全うしたとは言
っても、結局はただ生涯を利用されただけの哀しい存在で終わってしまったことに
なる。未来へと彼が遺したものは何も無かったことになってしまうのです。
そんなことが……あ る は ず あ り ま せ ん よ ね ! !

もちろん、ロイをひそかに支援していたこと(それこそロイの妻、つまり「未来の
王の伴侶」であるリザに大総統補佐の仕事を先に教えたことなどは支援の筆頭です。
そしてロイがあの状況で人体錬成の拒否を貫いたことを見れば、リザに「王の伴侶
としての器量」が備わっていることくらい閣下の目にはたやすく見抜けたはず…。
だからこそのあの笑顔だったと……ロイリザ二人とも彼の厳しい目をクリアできた
ことへの、あれが祝福の笑顔だったとも言えますよね!!)など、すでに読者の目
にも明らかになっている伏線もあります。
ですが、その本当の全容はまだまだこれから…ラスボスとの闘いが終わり、大総統
たる自分の死が国民へと伝わり、新たな政府が歩みを始めてから、そうなってから
明らかになる閣下の「正の遺産」が、必ずや用意されていると信じています。

「ヒゲが世界を救う」という牛先生の言葉…。
以前の考察で書いた、「ホーエンハイムはアメ国の国土と人々を救い、閣下はその
上に乗っている「人間社会」を救うのでは」という予測は、私の中でまだ生き続け
ています。
最後の最後、最終話の最後のコマまで、信じ続けていようと思います。
渾身の思いを込めて。
(2010/3/12.23:50)

(たいへん長い考察、いえ追悼文?を読んで下さってありがとうございました。
ここからは普段通りの詳細感想を書いてゆこうと思います。が、テンションが上が
らないのは許してやって下さい。まだ感想を書ける精神状態ではありません…)




***************************************************************************
以下詳細感想。



1:巻頭カラーと扉絵

冒頭は子エド、子アルの回想シーンから。二人で仲良く錬金術のお勉強中ですね。
テーマは「完全な存在」について。
ちょうど13巻で疑似真理空間から脱出する際にエドが説明した、クセルクセス神殿
の錬成陣の解読のソースとなった部分を読んでいます。こんな小さな頃に勉強した
ことだったとは驚きです。
ちなみに拙宅の104話の考察メモ「13巻のエドの説明を分析する」で書いたことで正
解でしたね(笑)この種の神話的象徴については「元型と象徴の辞典(青土社)」
などを持っていればすぐ分かることなのです。(比較神話学にご興味ある方はぜひ
お読みになってみて下さい)(ちなみにしかし、日本では太陽神は女性、月神は男
性です。これは世界でも興味深い例なんですよ〜)
それにしても、これを見ればやはり「完全な存在になりたいのだ」と言ったお父様
の言葉にウソはないことに…。では、ホーパパの「家族がほしかったのでは?」と
いう指摘に一瞬ゆらいだあの表情は何だったのでしょうか。

扉絵は、椅子にふんぞり返った「若返りお父様」ですが、少し成長したエドにしか
見えないような…。さすがにパパの血の情報だけあって美しいです。
副題は『神の御座』。
「その男、真理を喰らい神として座する…。」というコピーが。
「太陽を飲み込んだ獅子」、それが「金人」、今のお父様というわけですね。
(2010/3/13.2:15)


2:お父様VS人柱チーム

本編は神となったお父様の目の前の人柱チームから。
メイの出血が痛々しい;
「いったい何人犠牲にしたんだい」と言うイズミに、「この国の人口は約5000万人
だ」と答えるロイ。さすがトップの椅子狙い、自国の情報に詳しい!
クセ国の魂の半分を中に入れているホーパパが「約53.6万人分」ですから、これは
比較になりません。
「ご苦労、人柱諸君。おまえ達の役目は終わった」とお父様。セリムもすぐ横にい
ますが、特に何の表情も、情報も読み取れませんね。
「……皆、俺のそばに来い」と呼びかけるホーエンハイム。お父様の攻撃を予測し
ている様子です。もちろんお父様はここで錬金術封じに出ました。軽く指でひじ掛
けを叩いただけで、「ぶあっ」といつぞやの地下シーンの再現…これだけでエドは
もう錬成不能に;
ロイを抱えて安全圏へ逃げてくれるイズミ女史はありがたいのですが、これがリザ
たんだったら…とどうしても思ってしまいます;そういえばゴリさんもリザたんも
まだ地下には来ていません。黒いもくもくは消えたというのに…

「さらばだ人柱諸君」と言って指先に何か球体状のものを出現させ、人柱たちの頭
上に落とすお父様。もう「神」ですし、法則無視もなにもやりたい放題なのでしょ
うね。この球体は何だろう…惑星のようなもの?見た目よりも質量がすごかったら
しいそれは、司令部の建物を突き破ってまで激しい火柱をあげ…
ああここにゴリさんとリザたんが!まだ階上にいますが無事ですね。
そしてやはり無事だった閣下とスカーもいます。
人柱チームは潰されてしまったのか…と思いきや、ホーパパが作ったバリアーの中
で守られていました。
「全員俺のそばを離れるなよ!」ホーパパは腕一本で落ちかかってくるエネルギー
を支えているらしい。
しかしその様子をつまらなそうに見つめたお父様は、再びひじ掛けをトンと叩く。
すると落ちかかるエネルギーは一挙に質量を増しました。
ホーパパ……手の平が焼け焦げてます;支えているのは火の玉のようなものか?
「……頼む…皆………力を貸してくれ!!」
自分の体内の賢者の石、対話によって団結したクセ国の魂たちに語りかけるパパ。
皆が力を貸し、何とか持ちこたえる…!「どんな姿になっても大事なものを守るた
めに闘いたいんだよ」という、23巻でアルに石を託した時のハインケルさんの言葉
が思い出されますね。もう総力戦です。
しかし、今度は足元を狙うお父様。みるみるうちに液状化?する床に、錬金術を使
えないエドたちは為す術もないのか…(2010/3/13.3:28)

窮地を持ちこたえたのはメイの渾身の錬丹術でした。メイ子かっこいい!!
床に円を描くように打ち込んだ得意のくさびは、なんとお父様の攻撃エネルギーを
取り込んで皆を守っています。
「メイ!!」
「地面の防御はお任せくださいアルフォンス様」
「地の力の流れを読み利用するのは錬丹術師の十八番!!しかもその力が大きけれ
ば大きいほド…こちらの利用出来る力も大きくなるんでス!!」
本気の戦闘モード!!メイ・チャン凛々しい!
しかしお父様はこともなげに、手の平の上でまた何か球体を作り始めます。
「……ちょ……おまえそれ……」それを見て驚愕するホーパパ。これは何なのか?
「気付いたか。神を手に入れた私は今や、掌の上で擬似太陽を作ることも可能だ」
な、何ということを!?この球体は太陽(恒星)ですか!!
「神」と言っても具体的にどんな能力をゲットしたのかまったく不明でしたが、本
当に「天地創造」もできてしまうようです。使う物質は法則無視だから無制限、と
はいえ、恒星を作るには引力やら何やら、宇宙法則が必要だと思うんですが…その
「法則」は真理の守備範疇、ということは、そこまで体内に内包しているというこ
とですか!?
「太陽って……核…融…」青ざめるホーパパとエド。(分かってないグリリンが可
愛いです)…はい、核融合反応ですよね。これ、もしかして超新星を作ってます?
何だか色が濃いですもんね;;それを人柱チームに投げつけようと?(ひー;;)
「消えて失せろ。錬金術師」
セリムも黙ったまま、すぐそばで見守っています。見ようによってはお父様を操っ
ているようにも見えますが…まだ何の確証もありません(苦笑)

しかしその時、先月からずっと続いている「ドクン、ドクン」という鼓動がお父様
の意識の邪魔をする。
「気付いたか?さっきからずっと聞こえている心音に」とホーパパ。
やはりこの音は地球の鼓動ではなく、魂を抜かれた人々のまだ生きている心臓の音
だったんですね。その数、5000万人分!!
ホーパパの説明によれば、この国の人々の魂は精神によってまだ肉体と繋がってい
る(へその緒で母体と繋がる赤子のように)ので、まだ完全にお父様の物になって
いない状態なのだそう。つまり肉体が消滅して魂が帰る場所がなくなれば、完全に
お父様のものになるということですよね。
「……何をしたホーエンハイム」とお父様。ようやく焦ってきた?
「長い年月をかけ、計算に計算を重ね、この日のために俺の中の賢者の石を…仲間
を各地に配置しておいたのさ」…とパパが説明。読者も知っている通りですね。

ここでその各地に配置された賢者の石の、中の魂たちの会話が入ります。
「時が来た」
「あのフラスコの中の小人めはやってはならぬ事をやった」
「私たちに戻るべき身体はもう無いけれど、今このアメストリス人たちには戻るべ
き身体がある」
「うむ、今こそ我らの魂を使う時だ」
「そうね、彼らの魂を元の身体に戻してあげましょう」
「あの円が通過するのは一瞬だぞ、ぬかるなよ」
「奴の身体からアメストリス人の魂をひっぺがしてやろうぜ」
…すごい!!まだこんなに会話というか、意思疎通ができるんですね!これなら彼
らをまだ人間扱いするエドアルの気持ちも分かるというもの。

しかしお父様は「それで何ができる?円というファクターが無ければ力は発動せん」
と、まだ余裕。けれどもホーパパが答えるには…
「円ならあるさ。時が来れば勝手に発動するようになっている…空から降ってくる、
とびきりでかくてパワーのあるやつがな!!」
勝手に発動するんですか!?つまり「円」の方が起爆装置なんですね!
ズバリその「円」とは…
「日食によって大地に落ちる月の影……本影だ!!」
なんと、こ こ で 使 っ て き ま す か !!
いや〜〜日食の特徴と言えばその「影」ですが、重なり合う「日と月」が完全な存
在の象徴である以上、それはもう使わないのだと思っていました。
まさか錬成陣の外縁の円として使うとは…。だからさっき、「円が通過するのは一
瞬だからぬかるな」と魂が言ってたんですね!
「先に行くよ、ホーエンハイム」
ああ……クセルクセスの元仲間たちがつぶやいています(涙)
みんな、誰も彼もがホーパパより先に行ってしまうのかな…。やはりラストまでに
パパも皆の後を、トリシャの後を追って世を去るのでしょうか。
そしてついに、「その地点」を通過する本影!!!


3:ホーパパのカウンターついに発動

「邪魔をするかホーエンハイム!!!」
「そのためにここに来たんだよフラスコの中の小人!!!」
にらみ合うお父様とパパが凄まじい。
本当に今こそ因縁の対決の本番なんですね!
「おまえが神とやらを手に入れた時にはすでにわれわれの逆転劇は始まっていた!
!!」
おおおカウンター発動!!
見たところあの逆転陣の外縁と中心部でしか錬成反応が起きていませんが、明らか
にそれは「世界の中心の椅子=神の御座」に座すお父様だけに影響を及ぼしていま
す。ホーパパはそれも計算して、まさにお父様の計画が成功した直後、「偉そうに
中心の椅子で彼がふんぞり返るであろう時」に作られる本影を利用したのでしょう
か。頭いい…;さらにホーパパの説明によれば、
「肉体と絶妙かつ緊密に結びついている魂を、無理やりはがしてよそに定着するに
は相当なエネルギーがいるが、その逆は簡単で、ただ魂を解放してやりさえすれば
魂は勝手に元の健全な肉体へと呼ばれてゆく…磁石のように」
ということですが……ここでは「龍脈」は関係ないのかな?
でも、錬金術封じの中で発動しているからにはこれも錬丹術です。

さあ、5000万人分の魂たちがお父様の中から解放されて帰ってゆく!!
凄まじいですね(笑)ムンクの「叫び」が束になって竜巻のように空へと登ってゆ
く感じです。黒いもくもくのあった空間からそれが飛び出してきたので、ゴリさん
もリザたんもびっくり…。これは閣下も目撃しているはずですね。もちろん、愛す
る奥さんの魂をその中から見つけ出すことはできなくても、これによって彼女がど
こかで息を吹き返すことは確実に分かったはず。これは大事なことだと思うんです。
一瞬だけ彼女の魂は夫とすれ違ったはずなんですが…それを思うと、今は切なくて
また泣いてしまいそうですが(涙)

さて、ドン、ドン、ドン…と、次々に元の身体へと帰ってゆく魂たち。
案外あっさりと早かったな、という気もしますが、5000万人分の肉体が消された後
ではもう遅いわけですものね!
街のどこかで赤ん坊が泣き出し、その母親が起き上がり、人々は次々と元に戻って
ゆきます。
ファルマンも無事。そしてああ、ラジオ局の閣下夫人も生き返りました!!
司令部のブリッグズ兵と、お縄にされた上層部将校さんも無事です。えええ…これ
では上層部将校たちは閣下の死後も生き残ってしまうじゃないですか!?
これは…閣下がこの点を放ってあるとは思えません。恐らく何か、彼らを断罪する
書類などが整えられているのでは…。個人的にはそれを切望します!
さて、そしてピナコさんが!!ウィンリィが息を吹き返しました!!
デンが「??」と言ってますが…これってあくまでも「人間の魂」だけが抜かれた
のかな?犬は最初から無事だったのねv
「俺たち…意識が飛んでたのか?」
「ピナコさんたちも?」と、ウィンリィの護衛で来たブリッグズ兵の二人。
魂が抜かれていたのはほんの数分でしょうか?でも、
「苦しみの渦の中にいるような感じだった…!」とウィンリィ。
さぁ、人々の魂はこれで元通りですが。
問題は…そう!!これでは人柱たちの身体はぜんぜん戻らないことです!!(笑)
103話の「逆転陣考察」で書いたとおり、やはりホーパパとスカーのカウンターは
別の働きをするものだったわけですが、驚いたのはパパのカウンターがまさに中心、
御座に座っているお父様にしか影響を及ぼさないものだったことです。
もっとこう、彼ら人柱チームも巻き込んで錬成反応が起こると思っていたのですが、
真理の扉さえ開かない種類のものだったとは…;
先に言ってしまいますと、この後のスカーのカウンターは「お父様の錬金術封じを
解除する」効果しかなかった様子なんですよね。これは大誤算です;
こうなりますと、人柱たちが元の身体に戻るチャンスはカウンターとは別モノで…
エドが「真理をぶっとばす」時、その時に限られてきたようですね。
いえ、今は感想の先を急ぎますが。


4:お父様、神の能力を使う

さあ、せっかく体内に封じ込めた5000万人分の賢者の石パワーを根こそぎ放出され、
今やもともと持っていた300年前のクセ国の魂の分だけに戻ってしまったお父様。
「それではそのとてつもない「神」とやらを抑え込んでいられまい」
と、ホーパパの指摘。
なるほど、それなら更にお父様のパワーを下げ、「神」を抑え込んでいられないよ
うにすれば「神」はひとりでに元に戻るはず…なのでしょうか。
「ふむ…この状況でこれを解放するのはリスクが高いな」
そう言って、掌中で核融合反応するミニ恒星をパシュっと握りつぶすお父様。
途端にホーパパが支えていた莫大なエネルギーも消え失せ、床に尻もちをつくパパ。
すごかった…パパの手が完全に焼け焦げてますね;まるで天を支えるアトラスみた
いでしたよ〜パパ!

「はっは…どうだ!今は「神」とやらをその身体の内に保ち続けるだけで精一杯な
のではないか?」
パパの指摘どおり、お父様は全身に力を踏んばって「神」を逃がさぬようにしてい
る様子。今、もう少し攻撃すれば保つことができなくなりそうなのに!
「資源はまだまだいくらでもある。また賢者の石を作れば良いだけの事だ。一億で
も十億でも、人間というエネルギーはこの地上に存在するのだから」
もはや強がりに聞こえますが…。
しかし、この時代(もちろんリアル地球とは違いますけど)でも世界の人口はかな
り多いんですね!物語には今までアメ国の隣接国しか登場しなかったので、彼らが
「地球」や「宇宙」といった概念を持って世界を把握していたことそのものが、け
っこう意外だったりしました。天文学もかなり進んでるんですね。(とはいえ、そ
れはお父様だけが把握しているのであって、必ずしもエドたちが「地球」「宇宙」
を理解しているとは断言できませんが…。ただ、日食のシステムを理解するにはそ
れなりの天文学の知識が要りますものね〜)
いや、むしろ不思議なのは、「神」を内包すれば賢者の石のエネルギーなど不要に
なりそうなものなのに(=全能だから)、決してそうはならずに、あくまで異質な
力を体内に「容れて」いるという状態でしかないこと、ですね。「同化」はできず、
あくまで「保つ」しかないのですね。
つまりどこまで行っても、フラスコという存在は世界の中で何か肉的なものと溶け
あうことはできないということでしょうか?

そうこうしているうちにお父様は気圧を操作して雲を作り出し、そこから竜巻を下
ろして人柱チームに投げつけました。
「おじさま正面!!」
メイ子がホーパパに叫んでます。おじさま呼び!!(笑)なんと可愛らしいv
しかしそのエネルギーは凄まじく、どんどん押されてゆくホーパパ…
(くおっ…相殺が…間に合わん…………!!)
「踏んばって下さいおじさマ!!防御の陣が壊れル!!」
地面の防御を担当するメイも、もはやギリギリという感じ;
さらにお父様がエネルギーを追加し、パパがもう押し返せないとあきらめかけた、
その時……エドアルがパパを後ろから支えた!!
「父さん頑張って!!」「てめぇこの野郎!!気ぃ抜くんじゃねぇ!!」
わぁ……息子たちが父親の身体に触れたのって、もしかしたら「あなた、笑って」
の写真を撮った時以来じゃないですか!?あの時は赤ちゃんだったわけだし、彼ら
の意思で触れたのはほんとに初めてだったりして。
息子たちの手を背中に感じて、驚愕するパパが…(ほろり)
「まいったねこりゃ…ボンクラ親父だけど…いいとこ見せたくなっちまうなぁ!!」
パパ、父親の意地を見せた!!うわぁ…初めて息子たちの前でハッスルする機会が
来たんですね!やっとやっと…その心中を思うと泣けます。
「早くしないと父さんの中の賢者の石が尽きる!!」
アルが叫ぶ。そうか、この人の場合はそういう「死」もあるんですね。中の魂を使
い果たす、という…。それはお父様も同じはずですが。

さぁもうメイ子の保たせている防御陣も風前のともしび;人柱チームが全身全霊で
待ちこがれる瞬間、それはスカーの逆転陣の発動!?
「まだか……まだなのかスカー!!!」


5:死闘再開

一方、黒いもくもくも消え、魂の大移動も終わった1つ上の階層では、閣下とスカ
ーの死闘が再開されていました。
(ここからのシーンは…まだ直視するのが辛すぎて…。今また涙腺が決壊してどう
にもなりませんが…。でも恐らくは漫画史にも残りそうなほどの名場面ですし…耐
えながら書きます。)

まさに死闘ですね。互いに切り刻み、切り刻まれ……もうやめて!と顔を覆いたく
なるくらいに;
すでに解禁されたとあって「再構築」を使いまくるスカーに、閣下が激しい皮肉を
叫びます。
「イシュヴァール人よ!!物質の構築は万物の創造主たるイシュヴァラへの冒涜で
はなかったのか!?神を捨てたか!?」
「貴様らにとって神とは所詮その程度の存在か!?否!!!」
「あの内乱で絶望を知った貴様は心のどこかで思っていたはず!!」
「神などこの世のどこにもおらぬと!!!」

なんと……何 と い う セ リ フ で す か ! ?
15巻でのローグ=ロウとの問答が、こんな形でもう一度繰り返されようとは!!
ああまさに『クオ・ヴァディス(Quo Vadis?)』…それとも日本人の我々が思い起
こすのは『沈黙(遠藤周作著)』か…。
ああ閣下……あなたという方は……!!(ああもう涙止まりません)
すぐ下の階で「神を体内に保つ」欲望に捕らわれているお父様がいるのですよ!?
けれど、けれど、この血を吐くような怒号を叫ぶ閣下がそんなお父様を本気で信じ、
尽力してきたはずがないではありませんか……!!!!!!
神などこの世のどこにもいないと…そう独り悟りつつ、その上で自らに化け物だと
言い聞かせながら、「神を手に入れる計画」を手伝ったというのですか…。
もう、身悶えます。その哀しさと歯がゆさと、彼が覚えた屈辱に身悶える;
なぜならそれこそは、人間の心を持っていなければできない生き方だから。
このスカーに向けた怒号こそ、はからずも閣下の心を最もピュアな形で読者に示し
た、彼の哀しみの告白なのではありませんか?

しかし…
「神などこの世のどこにもいない」と言い放った途端、空の高みから一条の光が!
ダイヤモンドリング……!!!!
本来なら地下3階に相当する彼らのいる場所から太陽など見えないはず。ですが、
先刻のお父様の暴挙で司令部の3階分の階層に穴があき、なんと空が…!!
今まさに皆既状態を脱した太陽と月が、つまり交尾を終えた2頭の竜が、それぞれ
の軌道に戻らんと離れてゆくところでした。
その神々しい光が閣下の視力を奪うとは…;
そして一瞬の隙をついてスカーが放ったのは「人体破壊」。ああ閣下の両腕が…;
(もう目を覆いたいです涙)
スカー……。彼は恐らく復讐意外の方法で「国を変える」と決心して以来、ここま
での閣下との闘いでも人体破壊を封印してきたはず。ですが、やはり神を否定され
たことが彼の憎しみを再び煽ってしまったのでしょうか…(涙)
いいえ。あるいはそれも、閣下の意図だったのかも知れませんね。

両腕を失い、それでも剣を口にくわえてスカーに一矢を報いるも、ついに床にあお
のいて倒れる閣下。その頭上にきらめく、中空のダイヤモンド……
「ふっふ…天運も神も信じてはいなかったが…こういうのを天は我に味方せず…と
言うのかね?」
もう話さないで…力を使わないで……と言いたかったです(涙)無意味だけど。
そこへ誰かの足音が……奥さま!?…と一瞬期待したけれど、それがランファンだ
と分かった時には本当にもう……申し訳ないけど無念さでいっぱいになりました。
「ほう…天は粋な客をよこしたものだ」
閣下も事態を悟っています。「仇を討たれるのだな」と…。
ただ、23巻でロイの復讐を阻止してきた牛先生なので、ここでランファンの復讐が
成功するとは思わなかったんですけど…でも展開が読めなくて、ここからページを
なかなかめくれなかった(涙)
ええ、まさか……
まさかこれほどの神シーンが降臨しようとは夢にも…!!!!


6:閣下、どうか安らかに…

冒頭の考察ですでに思いの丈を語れたと…自分では思うので、ここではもう繰り返
して述べることはいたしません。
これ以上語れば語るほど、自分の中の閣下への思いを使ってしまって勿体ない気も
しますし(苦笑)、初読の夜に気が済むまで泣いたし…。もう、あとは言葉に尽く
せない感慨を一人で噛みしめていたい…気がします。
(また奥さまのターンになったら改めて泣いてしまうだろうけど。)

ただ、本当にランファンには、その仮面をはずして閣下にまみえてくれた事といい、
憎くても一国の王として礼節をわきまえてくれた事といい、感謝したい思いです。
そして、一瞬でも「仇討ちに来たか」と思ってしまってごめんね、と言いたい。
ランファンには初めからそんな気は無かったんですよね。
「くだらぬ問答をしているうちに敵を討ち損ねたな、娘よ」と閣下が言った時、彼
女は慌ててもいないし、むしろ痛ましいという表情ですものね。
恐らくはフーさんが逝った時、賢者の石を身体に持ちながらも無力だったリンの姿
を見たこと、そしてその後グリードの力を借りて無双に闘うリンの姿を見たことで、
彼女の中で「ホムンクルスという生き物」についての考えが変化していった…のか
も知れません。
あるいは…閣下の中に純然たる愛が息づいていることを知って、彼女は少し安心し
たかも知れませんね。リンもまた人間ベースのホムとして、人間離れした戦闘能力
を身につけながらも、それでも閣下と同じように人間の心までは失わずにいること
も可能なのだと分かって…。
そして私がさらに泣けて仕方がなかったのはスカーの表情を見た時でした。
彼はもしや、人体破壊を使ったことを後悔しているのでは…。せっかく復讐を捨て、
再構築の力を身につけたところなのに、また人を殺してしまった自分を恥じている
のでは…と思えてならない。(まぁ自分の傷の痛みに耐えているとも見える??)
だけど、やはりスカーにも「もういいよ」と言ってやりたい気持ちですね。
だって……閣下、大往生だと思うんです。
殺された、のではないんですよ。これはもうごく自然な死だと思うんです。
冒頭の考察で「自死だ」と書きましたが、それすらも閣下の魂に組み込まれていた
DNA…であるようにも思えて。
それは、最後の最期まで自らの命を自らの意思で全うする、という、誰よりも誇り
高く一点の曇りもない魂のありようではなかったかと…。

「用意されたレールの上だったが」
「おまえたち人間のおかげで まぁ 最後の方は 多少」
「やりごたえのある 良い人生であったよ…」

……閣下(涙)
陽光が、まるで彼の魂を祝福してくれているかのようではないですか?
もう闘わなくていいんですよ。
どうぞゆっくり、ゆっくり、お休みになって下さいね。
幾多の感情が渦巻きますが……でも、何よりも彼が、満足して逝けたことが本当に
良かったと思います。


7:逆転錬成陣発動

黒髪が白く変化し、わずかにその体内の賢者の石が尽きた兆候を見せた閣下ですが、
やはり他のホムたちのように霧散してしまったりはしないのですね。
それがせめてもの、奥さまへの慰めになるといいな…(涙)

しかしランファンは、閣下が逝ってなおまだ命の気配を察知。
それは閣下のポケットに入っていた、あの金歯が持っていた賢者の石!!
「これガ!?」と驚愕するランファン。
無理もありませんよね!その小瓶があれば、リンが元どおりの人間に戻っても問題
なく国に帰れることになりますし。
と、そこで激しく血を吐くスカー。この人も…内臓をえぐられてますし、恐らく長
くは保たない感じですね。しかし彼には絶対にやらねばならない使命が!!
「すまんが…あそこまで連れて行ってくれないか」
褐色の指が示したのは、金歯が5つの研究所錬成陣を発動させた時の陣ですね。
恐らく真上から見れば、下の階層の、その陣の真下にお父様の椅子があるはずです。
スカーの心の声はこんな風らしい。
(兄者…正直、己れの中の憎しみの感情は消えていない。なのにその憎しみの相手
を…アメストリスを助けようとしている。兄者は「正の流れ」「負の流れ」と言っ
たが、矛盾したそれらを両方抱えている己れは、どこへ流れて行くのだろうか…)
そう思い悩みつつも、その両手は錬成陣へと触れる。
ここに……逆 転 の 錬 成 陣 発 動 ! !

司令部鳥瞰図、発動したエネルギーが見事に星状に伸びてゆきます。
各所に錬成ポイントを置いていたイシュ人たちですが、次々とそのポイントにエネ
ルギー波が届いていますね!
そしておお……大地に浮かび上がる、逆転錬成陣の全景!!ついに陣全体のパワー
が神の御座にも届きましたか!!
「 来 た ! ! ! 」
絶叫するホーパパ……そして同時にエドとアルが錬成ポーズを作る!!
錬金術封じ、解除ですね!!もうここぞとばかりに凄まじい錬成攻撃を浴びせるエ
ドとアル。セリムももう必死で逃げ回るしか為す術がありません。
そしてついに…椅子が!(笑)
「ざまぁみやがれ。えらっそーにふんぞり返ってた椅子が粉々だ」
おお、エドアルイズミが本気の喧嘩モードです!!
「好き放題やってくれやがったなこの野郎」
「クソ真理と一緒にぶっとばす!!!」

次号からやっと反撃開始ですね!!



というわけで、今までぼんやりとした像でしかなかった「終局」が、次第にはっき
りとした輪郭を持って迫ってくるような、そんな105話でした。
何よりも逆転錬成陣の威力が「錬金術封じ解除」のみに限定されていたことは意外
でしたが……こうなると人柱たちが各々の身体を元通りに取り戻すためには、あと
もう一度、それぞれの真理の扉が開かねばならないということでしょうか。
エドの最後のセリフが本当に頼もしいですね!!
是が非でも真理をぶっとばしてもらいましょう!!

しかし、先月の104話と今月とで100ページほど…。来月も60ページ強とすれば、次
の106話分までで26巻1冊にまとまりそうです。
どうやら鋼の錬金術師、全27巻ということで決まり……ですか牛先生!?
ああ……そのグランドフィナーレをこんなにも切望しつつ、寂しさに絶望しそうな
自分がおりますよ(苦笑)




***************************************************************************

以下、考察コーナーです。



◆閣下が遺したかも知れないこと。

読後3週間を経て、冒頭の追悼文ではとても言い表せなかった感情がようやく形を
取りつつある次号発売前…。なのですが、その辺りについては思う所がありすぎま
すので後日独立した長文考察としてまとめることにしまして。
ここでは今後の展開に絡んできそうな部分のみに焦点を絞って書いてみます。

冒頭部分でも触れましたが、「最後の方は多少、やりごたえのある良い人生だった」
という閣下の最期の言葉は、今まさにホムンクルスとして命を全うしようという人
が口にするにはあまりにも意味深長すぎるセリフでしたよね。
その「やりごたえのあった事」というのがもしも「人間側の勝利を阻止すること」
あるいは「人間側との死闘」を指しているのだとすれば、それを「良い人生」と表
現するのはこの場合明らかに皮肉で不自然ですし、不毛すぎると思うのです。
とすれば、彼は一体何を指して「良い人生だった」と言ったのでしょうか。
12巻で描かれていたように、イシュヴァールでロイを見出したのを皮切りに「若者
たちの時代が迫ってきている」のを知って喜んだ結果、彼が命尽きるまでに成し遂
げた「何か」が、すでに水面下にはあるということでしょうか?
個人的にはそれこそ、閣下の死後に明らかになる社会への遺産……彼が「人間のた
めに遺した何か」ではないかと考えています。
以下、それにはどんな可能性があるのかを具体的に書いてゆきますね。

1:ロイの将官への昇進(書類)
これは牛先生ご自身が過去のインタビューで「ロイは将軍と呼ばれる身分にはなる」
と発言されていることが第一の根拠ですが…。
現在のように次期大総統狙いが複数いる状態でクーデターが完了し、閣下の逝去が
明らかになった場合、恐らく「ロイ昇進」の辞令は閣下以外の人間からは与えられ
ないと思うのです。姉上、グラマン、ロイの3候補のうち、階級が最も低いのはロ
イですし、他の上層部将校たちはすでに一般兵たちから見捨てられて権限を無くし
ていますからね。
そして3候補のうち、閣下が自分の後継者として最も気に掛けていたのがロイだっ
た…(愛する奥さまを託したことや、「優しすぎるのが長所であり弱点」の件、そ
してリザに大総統補佐の仕事を教えたこと等からも分かりますね)…という点を考
えても、ロイに「准将」以上の辞令を与える書類が整っている公算は大だと思いま
す。(昇進の名目はもちろんクーデター軍討伐。)
そして姉上率いるブリッグズ兵が中央軍を容赦なく殺していること、ブレダが戦略
として「クーデターの首謀者はアームストロング少将。マスタン組は閣下を救うた
めに動いている!」とすでに国民へ向けてアピールしていることも考え合わせると、
周囲の伏線的にもどうやら閣下亡きあとの中央軍をまとめるのはロイ、という流れ
になっているように思えますね。(ロス少尉は「正義」という言葉を使っています
し、その方が国民に対しても矛盾がなくて済みますからね。)
つまり、閣下やセリムがホムンクルスであったことは、国民に知らされずに終わる
可能性がかなり高いということです。ラジオを聞いている人々の間でも大総統一家
の人気は決して低くありませんし、恐らく閣下は惜しまれつつ「王」としての名誉
を守られたまま、皆の記憶に残るのではないでしょうか。そして大切なのは、そう
あることが奥さまの未来をも守ることになるという事実ですね。

2:「列車爆破の首謀者はグラマン中将だ」的証言(書類)
はい、これは大事ですよー(笑)しかも正真正銘、嘘はありません。
閣下自身の証言が公式書類になっていれば、とにもかくにもおじーちゃんが中央へ
と「正義の味方」として乗り込んでくることは不可能。しかも3人の次期大総統候
補のうち、最も階級が高い(=つまり何もなければ閣下亡き後の中央軍を牛耳るこ
とができる)グラマン中将を脱落させれば、ロイの行動の自由を確保することにな
りますからね。同時にマイルズさんがおじーちゃんを拘束するなり証言するなりを
すれば姉上は叛逆者の汚名から救われますし、効果は絶大です。
問題は、ロイの階級などの書類は事前に用意してあればよしとして、列車爆破の被
害者である閣下が、城へ帰ってくるまでにそのような証言をまとめる時間が果たし
てあったかどうか?というところですが…これがあるのです。

爆破の実行犯であるチャーリー隊は、翌日(約束の日)の早朝、ロイのクーデター
開始時にはすでに中央での作戦に参加していました。(合流したのはあの「撃つか
ね?」の時だったかも知れませんが)
そしてご存知のように、閣下が帰城したのはそのもう少し後、ブリッグズ兵が地下
から出撃してイズミのトンネルで司令部へと侵入し、司令部を制圧した後でしたね。
ですが、爆破現場を出発したのはチャーリー隊も閣下もほぼ同時刻だったと思われ
るわけです。閣下は特に傷も負っていませんでしたし、その身体能力を考えれば、
チャーリー隊と同じ頃かもっと早い時刻に中央へと帰って来ていても良いはず。
とすれば、司令部に現れるまでの数時間のあいだ、彼には誰にも邪魔されない(つ
まりホム組にも監視されない)自由な時間があったのではないでしょうか?
そう、首席補佐官のシュトルヒさんと公式書類を整えるための時間が、です。

そもそもクーデターの可能性を知りつつ演習に行った閣下が、グラマンをマークし
ているのにハクロの密告を聞いてあっさり騙されるわけがないんです。
2009年6月発行の「キャラクターガイド」P175には、「あっけないほど容易に嵌め
られたブラッドレイ。これも何かの策なのだろうか」と書いてありますが、その通
り。これは策だったのだと思いますね。つまり閣下は、身内のホムンクルスたちか
らも逃れて自由に行動できる「生死不明」の時間が欲しかったのです。だからこそ
わざとグラマンに騙されてみせたのでしょう。
1巻からずっと見てきても、閣下は大総統として思うがままに行動しているようで
いて、実際には常に他のホム兄弟たちが近くに(自宅にまで!笑)うろついている
状態で過ごして来ているんですよね。特にセリム=プライドの存在はとても複雑そ
う…(色んな意味で。笑)
それ以外にも人間の随身たちが常に彼を護衛しますし、1人で自由に動ける時間と
いうのは実はあまり無いように思える。そして、恐らくはずっと以前から「約束の
日」に自らの死を決意していた閣下は、城へ帰ることが何を意味するかを熟知して
いたわけですし…。
閣下の赴くところならどこへでも随行するはずのシュトルヒさんが、この演習に限
って中央に残っていたのも示唆的です。すべてはこの空白の数時間を作るための閣
下の策であり、この貴重な時間に未来を左右する重要な書類が用意され、または確
認されたのではないかと…考えて良いように思います。
はい、もちろんブレダたちのラジオ局の放送も、閣下はどこかで耳にしていた可能
性があるんですよね。あの時間にはもう街中に放送が流れていたでしょうし。
愛妻が無事でいる声を聞き、彼はどんな思いを胸に城へと帰還したのでしょうか…
2度とその城を出ない覚悟で(涙)(ああダメ…考えたらまた泣いてしまう;)

3:上層部将校たちの処分(書類)
これも大事なことですね。閣下が人間側の勝利を確信していたとすれば、「約束の
日」のあとまで上層部将校たちが生き残ってしまう可能性にも気付いていたはず。
(「閣下が人間側の勝利を確信していた」件とは、お父様に抜かれた皆の魂が人間
側のカウンターによって元通りに戻ることを閣下が予想していた…という仮説で、
104話の考察で書いたものです。)
彼ら上層部将校たちは24巻の中で一般兵にはすでに見限られていましたが、公的に
も彼らの将官としての権限を無くしておく処置があればなおさら確実でしょう。
従って、彼らを処分するための書類も用意されている可能性があると予想します。

4:大総統職廃止(書類)
ここまでは無理だろうとは思いますが、閣下がロイに期待をかけた理由のひとつに
「(ロイが)軍事政権から民主制へと権力のあり方を変えようとしている」ことが
含まれていたのは確かだと思うので、一応これも挙げておきます。
ええ、閣下はもちろんそこまで見抜いていたはず。(そうでなければ「すでにその
先を見ているか」という15巻での言葉は出てこないのです。)
そして、これは優しすぎる予想かも知れませんが…ロイがその座に就く前に大総統
職を廃止することで、ロイが早急に民主制を敷くこと(つまりロイが自分の戦争責
任を自ら断罪すること)を食い止める…という意味もあるのかも。
16巻でのリザの言葉を引用すれば、ロイたちに軍服を着せ続けることで彼らを守ろ
うというわけですが…そこまで閣下に夢を抱くのはひいきの引き倒しかな?(笑)
もちろん、その場合に「じゃあイシュ戦の戦争責任は誰が?」という意見が出てく
るのは目に見えてますが、個人的にはもう物語の中でイシュヴァール関連の裁判等
が行われることはないと予想しています。閣下亡き後、スカーの左腕…あの再構築
のしるしがすべてを象徴するのではないかと…。
閣下自身があれを目にして何を思ったのかを想像してみて下さい。


…と、こんなところでしょうか?
もちろんすべては私の推測にすぎないのですが(笑)でも以前も言いましたように、
閣下が何らかの形で「人間のために」行った布石があるはず…というささやかな信
念は、最後まで捨てないと誓ったので…。一縷の望みをつなぎますv

そしてここに来て注目度急浮上、忘れてはならない人物がいるんですよね。
ええ、それは無論シュトルヒさん……!
地味ながら、彼は今後の重要人物となる可能性大だと確信しています。
以下、その根拠を拙宅の過去の感想類の中から引用してみましょうか(笑)

最近になって本誌でも再登場した彼ですが、どうなのかな、閣下のことをどこまで
理解してくれているのかしら。もしも…「誰がなんと言おうと閣下だけに付いてゆ
きます」的な忠義の人だったら萌えるなぁ…。というのも、他の上層部の奴らは忠
臣ではないから。本当の意味で閣下に尽くしてくれるのは、もしかしたらシュトル
ヒさんだけなのかも知れません。(アニメ第25話感想より抜粋)


さらにその再登場時、本誌98話感想の中ではこんな風に考察しました。

(中略)ここで唐突に正門の外に現れたのはシュトルヒさんでした!
えーーっ!?ぎゃ〜〜〜嬉しい(笑)(うちのサイトではエドアルよりも珍重され
ているシュトルヒさん。ロイアイに横恋慕したり、閣下のオモチャにされたり…笑)
と言うか、今までどこにいたんですか彼!?
閣下の東部演習にも随行していなかったのはあまりにも不自然ですよね。
しかも「閣下が戻ったと!?」…って、あまり意外でもない様子ですし。
そして「閣下の戦いには手を出すな」と言ってます。加勢は不必要ってことですね。
うーむ……すごく閣下を理解してる感じ。
まぁ確かに側近のうちでは最も階級が高いであろう彼ですが(恐らく中佐or大佐ク
ラスですよね。姉上に少佐階級のマイルズさんが付いてるんだし、尉官ということ
はあり得ません。しかし将官会議にはもちろん出ていないから…)、補佐官ではあ
るけど「上層部」には属さないということで、どの程度まで閣下のことを知ってい
るのか今まで全く情報がなかったわけですが。
でもどうでしょうね、閣下が列車事故で死ぬはずがないのを分かっていた風だし、
「加勢するとかえって邪魔」と知っている感じだし、そもそも閣下が演習に彼を連
れて行かなかったのも、クーデターを「予想済み」だった閣下があらかじめ今後の
指示を与えていたからなのでは…?


以上のような理由で、もしも閣下の布石が遺されていた場合、最も重要な役を演じ
るのはシュトルヒさんなのではないかと思います。
また、書類などを預かっている可能性以外にも彼の能力はお役立ちです。何より、
大総統の主席補佐官として「トップの仕事」というものを熟知しているのは大きい。
実際のトップが居なくとも、リザたんともども政治手続きの段取りを暫定執行部に
伝えれば、何とか国の機能は停止せずにすむわけですから。

そんなわけで、ロイとはウマが合わなさそうではありますが…今後のことはシュト
ルヒさんにも大いに託したいと思います。
どうかお願い…!!閣下の思いを決して無駄にはしないで下さいね!!




◆セリムはピノキオになれるか?(ラスボス考察)

(拙宅の考察#15「ラスボスをめぐる考察」の中の「セリム=ピノキオ説」を前提に
書いております。ご興味おありの方はぜひご参照下さいませ☆)

さて、もうこうなりますと当然の流れですが……セリムだけは是が非でも奥さまの
手元に残ってほしい!と切実に祈ってやまない管理人です。なぜなら、あの陽気な
彼女が家族をすべて失って悲嘆に暮れる姿をどうしても見たくないから…!
お願いです牛先生!!今すぐセリムをピノキオにして下さい!!
というのは無理にしても……もしも奥さまがセリムについてもうすうす正体を察し
ているかも知れないにしても……そして残虐な本性のままに人間を利用してきた存
在だと分かっていても……。やはり生きて奥さまの手元に残ってほしいと願います。
どこかにこの子の魂が帰る、適切な肉体がないものでしょうか…?

はい。これはこの物語の最後に残された大きなテーマ「母性」と、「果たして魂は
不滅なのか」というテーマ、その壮大な2つの主題を越えてゆくエピソードになる
のだと思います。閣下夫人は今や物語全体の、いえ人間の「母性」を代表する存在
として、父性のみで誕生した人造人間の最後の1人=プライドと対峙するのでしょ
う。(って以前も書きましたね;)
今月号を見て、すでに「フラスコの本体かどうか」という条件はラスボスの判定と
は関係ないのでは…と思えてきました。どう見ても、どう考えても、雌雄同体であ
る日食を飲み込んだお父様はそれでもまだ「完全な存在」ではないのです。あれだ
けの犠牲と労力を払ってなお、彼はそれを手に入れられなかったのです。
恐らく牛先生の考えでは、「完全な存在」とは宇宙のシステムすべてを内包した存
在ではなく……「父性と母性」の双方を手に入れた存在。つまりさほど特別な存在
ではなく、「当たり前の人間」である……。そのように定義したいのではないかと
思います。
あの土ドームの中でセリムが吐露した、閣下夫人の母としてのぬくもり。
それは図らずもアニメ49話で「自分だけが良ければいいのではなく、他者をも思う
心」という定義をされていましたが、それこそが人間が母から受け継ぐ「母性」、
自我を超えて他者を包みこむ心であり、彼らホムンクルスがどうしてもお父様から
受け継ぐことのできなかったものなんですよね。
さらにそれこそが……!「完全な存在」になるために必要な最後の1ピースであり、
お父様がついに手に入れられなかったもの、なのです。
つまり、この物語のラスボスの条件とは「母性を手に入れた者」…!!
セリム=プライドが初めて他者の命を大切だと感じ、(恐らくは)駆けつけた閣下
夫人を危機から救おうとした時、彼はお父様でさえ手に入れられなかった貴重な宝
をその魂の中にゲットするのです。
その意味で、お父様は人間側に敗退し、セリム=プライドこそが最後に、真のラス
ボスである「完全な存在」になるのではないかと、ここに予想いたします。

ただし、セリムが「当たり前の人間」になるのは簡単なことではありません。
万が一、セリムの容れ物の中にアルと同じような血印があって、どこか真理の扉の
前で彼を待っている肉体が(=例えば300年前のクセ国の子供のものとか)あるのな
らまだ可能性はありますが。
あるいは牛先生が魂だけは不死だとする考え、つまり「魂の不滅」「輪廻転生」を
描くおつもり…という可能性も無くは無いですね。(一種の奇跡ですが、ものすご
く救いのある結末になると思います。感動的です)
とはいえ、どちらにせよセリムには新しい肉体が必要になります。鋼世界では肉体、
精神、魂のうち、どれか1つでも欠ければ「当たり前の人間」ではいられませんし、
「当たり前の人間」でなければ今後おかあさんと一緒の生活は送れません。
けれど、真理の扉はもう一度開いた後(=皆が元通りになる最後のチャンス)、恐
らくは2度と人間界との接点を持つことなく閉ざされると思いますので…(エドが
「真理の野郎をぶっとばす」ため、そしてこの国の錬金術そのものが無くなるため
ですね)。
その最後のチャンスに、奇跡的に真理の扉の向こうから何らかの肉体を引っ張り出
せなければ、あるいはその瞬間に生まれる赤子がいるとか、魂が転生するための肉
体が無ければ、セリムはピノキオにはなれません。(かなり無茶な思考になってき
てますが;)
また、現在セリムの中にある「血の情報」も気になるところです。食べてしまった
ゾルフともともと持っているはずのホーパパのもの、恐らく二人分の血の情報を持
っているセリム。(あ、金歯もですか?)そしてゾルフが持ったまま飲まれたイシ
ュ人由来の賢者の石…。さらには金歯とゾルフから得た錬金術師の能力…。
もしもあの「世界の中心」の錬成陣を使い、セリムが金歯の能力を使って己自身を
人体錬成しようとした場合に……母親への愛情によって魂と肉体とをつなぐ精神が
芽生える等の奇跡が起こり、「何か」が残りはしないものでしょうか。(変な物体
ができても困るんですが;;)

…と、もはや考察でも何でもなく強引な予想でしかなくなってきましたが(笑)
しかし「セリムが最後に完全な存在になる」こと、そして「人並みに家族がほしか
った」というフラスコの秘めた夢は一応の実現を見る…ということだけは、99%確
かだと思います。もしもピノキオ=人間の子供として生き残れなかったとしても、
セリムは恐らく一瞬だけは紛れもない人間の「我が子」としておかあさんの胸に抱
かれ、それを「救い」として消滅してゆくとは思いますが…。
でもできることなら…!ピノキオのエンディングを切望してやみませんが…!!!
展開としては、先月号104話の考察でも書きましたが、夫人の母性によるセリムの心
の変化こそが閣下の作戦であり、その変化こそが最終的にお父様が滅ぶ要因となる
…というからくりであれば、これはもう神懸かり的な面白さだと思います。
それによってもしもセリムが夫人の手元に残れば、閣下は家族を守り抜いたことに
なりますし、家族だけでなく彼の人生そのものが大いに救われることになるんです
が…牛先生!!!(←結局はそこ。笑)←もちろんそこですv
だからこそ、今や全身全霊をこめてこの子にすべてを託すのです。
まるでユング派で言うところの始原児ですね、セリム!
果たしてその少年の姿は物語の「希望」を象徴するのか、否か。

追記。
もしこうなったらどうしよう、という仮説を1つ(苦笑)
プライドがアルの血印に干渉した時、アルの真理空間に入り込んでいたような描写
があったことがどうしても気になるんですよね。「奴らは俺の分身の分身」という
パパのセリフと、エドとアルの精神が混線していることも考慮に入れれば、もしか
したらプライドはエド、アル、パパ、3人の真理空間に干渉することが可能なのか
も知れません。
体内の賢者の石を使い果たした時、もしくは真理の扉がもう一度開いた時に、パパ
が即「人間」に戻れるのかどうかは分からないのですが…もしも何かの作用の結果、
彼の肉体が赤児の状態に作り直されるようなことがあったとしたら…。その時に、
もしも何かの作用の結果としてプライド(=フラスコである可能性も捨てきれず)
の魂が混線して宿ってしまったとしたら…!?新生セリムはパパのコピー、金髪金
目という可能性もあり得ますよね!?
そもそもセリムの容れ物はどこの誰の血の情報をもとに作られているのかさえ不明
なんですが、もしもセリムがピノキオとなれたとして、もともとの姿と全く違う子
供になってしまったとしても、奥さまはそれで救われるのでしょうか…。
それとも、肉体に惑わされずに「セリムの魂」を見抜けるのでしょうか。

どうしても、この物語の最後には1人の赤児の登場が必要であるように思えます。
「命」の象徴であり、新たな循環の始まりの象徴として…。それがロイアイベビー
でももちろん200%万々歳vなのですが、「始まりのホムンクルス」が「始まりの人
間」になるのもファンタジーだなぁと…(苦笑)
ホーパパが「生まれた所へ還れ」と言うその場所とは、母の胎内なのか、それとも
原初の物質なのか……やはり真理の扉の向こうなのでしょうか。神秘ですね…。




◆奥さまに与えられる「救い」とは(閣下夫人考察)

大変くどくて恐縮ですが、閣下に続きセリムまでも失ってしまった場合、奥さまに
はこの物語の中で何も救いが無かったことになりますよね。たとえ人柱たちがハッ
ピーエンドで終わっても、あの奥さまが悲嘆に暮れているのは後味が悪すぎると思
うんです。
私は牛先生の人間性を信じておりますので、そのようなことにはならないと思いま
すが……とはいえ、何事にも万一というものはある(苦笑)
というわけで、ここでは個人的な「非常時の心構え」として、万一セリムが残らな
かった場合、ほかに奥さまにとってどういった「救い」の可能性が有り得るのかを
考えてみました。

1:セリムの容れ物が手元に残る。
これはまず無いとは思いますが…。(救いどころか悲しすぎますよねー涙)
それ以前にあの容れ物はもう穴があいてしまって、今にも崩壊してしまいそうだし。
加えて奥さまが「穴のあいたセリム」を見たら仰天してしまうでしょうし;;
それなら「セリムは行方不明」のまま終わる方がまだ救いがありそうではあります。

2:「セリムは行方不明」のまま終わる。
でも、これもあり得ませんよね;セリムと奥さまがもう一度まみえなければ、セリ
ム=プライドに「人間の心」が芽生える見せ場が描けませんから。
万が一再会しなかった場合でも、その先ずっと彼女が息子を捜し続けて年老いて
ゆくなんて酷すぎる…救いなんてどこにもない;;;
ということはやはり、「セリムの生死は白黒がはっきりつく」という結論ですね。
彼女もしっかりそれを目の当たりにする、という。

3:二人とも失うが、新しい国の「母」的存在として(ファーストレディとして)
夫の遺したこの国を見守る。

ファーストレディーとは言っても、我々が考える現代の大統領夫人のように、夫の
隣りでマスコミやメディアに登場する…といった風でもないアメ国の社会ですが。
しかし、ロイが「我々が正しかったことを証明して頂くために」と言い切ったこと
は確かな伏線ですよね。ブレダがラジオ局で持ち出した「我々は閣下の味方として
闘っている」という姿勢をマスタン組が最後まで貫くのであれば、最終的に「閣下
その人がホムンクルスだった」という事実は奥さまにも国民にも知らされずに終わ
るわけです。その時、奥さまがファーストレディーとして国民に対し、何かしらの
声明をするのかどうか…。とても注目されるところですね。
ただし、「新しい国の母(偉大な王の妻)」という位置づけは彼女個人にとっては
さほどの救いにならないのでは…という気もしますが。
いや、それよりも前に彼女は司令部へと駆けつけ、地下で夫と息子に会わねばなら
ないんでしたっけ;あああ胃が痛い;(←私の胃が)

4:二人とも失うが、夫と愛息がホムンクルスであったことに最後まで気付かず、
また知らされず(もちろん国民も皆その事実を知らされず)、それによって最後ま
で夫の名誉を守り通し、国民からも敬愛されたままでその後を過ごす。

唯一の妥協案があるとすればこの辺でしょうか。とにかく「閣下の名誉」が奥さま
の今後を左右するのだと思います。
だけど……105話の、閣下に対する牛先生の渾身の思い入れを見れば、今後彼がその
矜持を穢される展開など絶対あり得ませんよね。(私、確信しましたもん。牛先生
が「最高に漢前な男」と意識して描いてるのって閣下ですよね。おやじだしv)

…こんなところでしょうか。
ふと、5:セリムと一緒に奥さまも他界……という項目が脳裏をよぎりましたが、
全力で追い払いました;(ぶんぶん;)いえ、ロイが「証言を」と言っている以上
はそれもまたあり得ません。奥さまには確かに未来が来ます。
ああでもどうか!
彼女の胸に飛び込んでゆくセリムたんの姿が見られますように!もう祈ります。
この物語には抱き合う親子の図というのが希少価値なので、なおさら!!




◆勝敗を決するのはロイの最凶の焔か?(ロイ考察)

いえ、「最凶」はもし実現したとすれば対エンヴィーの時に放っていたはずの焔だ
と思うので、この最終決戦では「最強」と言うべきでしょうか?
なぜこの期に及んでロイの錬金術が鍵になると思ったかと言えば、今月号でお父様
が「核融合反応」を持ち出してきたためです。つまり超新星爆発ですね。
ロイの能力については失明時直後にも、プライドによって「都合がいい」「君の能
力が最もやっかいだったから」と評されていました。つまり人柱5人の中では、ロ
イの錬金術が最もお父様にとって強敵だということですよね。
そして今月号で5000万人分の賢者の石パワーを失ったお父様がつぶやいた、「いま
(掌中のぷち超新星を)解放するのはリスクがある」…というセリフ。ここで言う
リスクとはもちろん、その核融合反応で自分も消滅してしまうリスクでしょう。現
にすぐさまその超新星をつぶしてしまいました。つまりこれは、作中で初めて示さ
れた「お父様のやっつけ方」なのです。
ひるがえって、錬金術師の中で唯一、物質の核融合反応を起こせる能力を持つのが
ロイだとしたら…どうでしょう?来 ま す よ ね 最 強 の 焔 ! !
もう確信に近いです。ここでロイを使わずしてどうする!!という感じです(笑)
ホーパパの中の石が尽きようとしている今、現在最強の能力を持つのはロイですし、
核融合反応を起こすだけなら「炎を撃ち分ける」必要もない。つまり視覚は必要な
いのです。(もちろんリザたんが駆けつけた方が萌えますけど;)
どうですか?最後のおいしいところは、ロイが持ってゆくような気がしませんか?
頑張れロイ・マスタング!

ちなみに自分の考察で恐縮ですが、ロイの「最強最凶の焔」については89話感想
考察コーナーですでに書いていますので、そこから一部を引用してみます。

…………今まで色々と考えた結果、ホークアイ師匠の言った「最強最凶」とは、
核融合反応を指すのかなと予想します。恒星の寿命の最後に起こる超新星爆発と同
じですね。あらゆるものを原初のチリ…初めの初めへと返してやる力なんですよ。
最強のリセットパワーです。どんなに込み入って、ホムンクルスのように誤って生
み出された存在でも、汚れのない最初の物質へと戻してやれる力です。
そしてそのチリからまた新たな物質が生まれる…という連鎖こそ、リザの背中に刻
まれた「リベラ・メ(我を解き放ちたまえ)」の言葉にピッタリだし、あのホーク
アイ師匠がそれこそ人生全部注ぎ込んで、「最高の錬金術だ」と満足しただけのこ
とはあると思うんですよ。崇高じゃない?(使いようによっては最凶というのにも
当てはまりますし)皆さまいかがでしょう。
もしこの予想が当たっているなら、ホム退治の最重要人物となるのはロイです。

私はバケ学については全くの門外漢ですが、一応「錬金術で核融合反応を起こすの
が可能か?」というあたりを検証してみましょう。
ええと、取りあえず水素があれば可能なはずですよね。水素→ヘリウムが核融合の
基本のはず。ですから気体を扱うロイの錬金術にとっては恐らくまさに専門分野で
す。
そして大事なのがその規模ですが…これは、要するに「水爆を作るイメージ」でい
いと思うんですよね。ただし、起爆に放射性物質を使わないで作らないと(なぜな
らまだ原爆は発明されていないだろうから;)いけないとすると、プラズマの状態
を錬金術で整える必要がある。
でもこれって、そのプラズマこそ「炎」ではありませんか!?ロイは火力を操れる
わけだから、絶対可能でしょう!そして気体の圧縮から炎の温度まで、全て錬金術
で制御できるとしたら…
なんかもう無敵かも!?
というわけで、きっと余裕で可能そうな感じがしてきました。
これ…もしこの考えがビンゴだったとして、この錬金術を編みだしたホークアイ師
匠のどこがスゴイって、これがアインシュタイン級の発見だというところかもね;
まだ原爆のない世界ですから。

…以上が引用です。私はもう99%は確信しております。
ただ、問題は「他にも人々がいる空間でお父様のみを超新星にするコントロール」
が必要ということですが…。うーん、やはりリザたんの目が必要かな?
(でもここまでロイはずっと、リザたんの必死の助言による「抑制の活躍」しか活
躍が無かったですからね。最後くらい自分の意思で、100%国のためになる錬金術を
使ってからおしまいにしてほしい、という思いはあります。我慢ばっかりではやっ
ぱりロイ・マスタングの男の名折れじゃない!?笑)
しかし、こうやって最後に「ロイの焔が人々を救う決定打」になればホークアイ師
匠も浮かばれるし、それによってまさに「ロイとリザとの贖罪」が終わるのなら、
本当に神展開ですね。




◆もう一度開くのか真理の扉!?

はい、開きます。開かないと困りますよね!(笑)
地味ながら驚きだったのは、お父様が国土錬成陣を発動させた際、人柱5人がそれ
ぞれの真理空間へと赴くのではなく、ただ腹部のあたりに「空間の入り口」のみが
開いていたことでした。もちろん何度空間が開いても、あの状態では彼らの身体は
元に戻りません。
ですから次に扉が開く際には、当然ながら5人が5人とも、それぞれの真理君と対
面して対決する…ということになるはず。エドの言葉を借りれば「真理の野郎をぶ
っ飛ばす」わけですが……これが具体的にどういうからくりになるのかは全く予想
がつきませんね(苦笑)
以前の考察でも書きましたが、個人的にはこの場合の「身体を取り戻す」という行
為は、扉をくぐって暴力で「奪い返す」のではなく、もう一人の自分であるそれぞ
れの真理と「一体化する」or「合一する」というニュアンスだと思っているのです
が、実際にはどうなりますことやら(笑)
ただ、ホーパパの真理とフラスコの真理は同一の存在だと考えられるため、次に扉
が開いた際には必ずや「フラスコの正体」が明かされることでしょうね。どうやっ
て形を成し、どこから来たのか。(扉の向こうから来たといわれても抽象的すぎま
すものね;)その魂とはどんな存在なのか。これが描かれずに物語が終わるはずは
ありませんから!
牛先生ならではの、鋼の世界観を損なわない素晴らしいロジックが用意されている
ことと信じていますvすでに感激する準備が整っていますv(笑)



第104話へ