------------------------13巻 ------------------------
これは既巻のうちで最も密度の濃い一冊かも知れませんね。先生ご自身の言
によれば、ストーリーはまさに今が折り返し地点とのこと。今までは伏線にす
ぎなかったことが次々と現実に絡んできて、なんかもう荒川先生が読者を手玉
に取っている様子がありありと目に浮かぶような気がします(笑)
ロイアイ支持者の立場から言えば…「忘れまじ52話」とつぶやきたいところ。
結果として2人が一晩で再会できたからこそ、こうして安心してこの巻を手に
取っている訳ですが、連載の折にはロイアイサイト中を阿鼻叫喚と絶望が飛び
交ったんですから。あの失墜感は忘 れ ま せ ん !(笑)
ともあれ、この巻のポイントは2点に集約されると思います。曰く、
1:マスタング組の解散(今後はロイ個人とウロボロスとの戦いとなる)
2:エドの仮説が証明された(アルの肉体が確かに残っていることが示された)
…より正確さを求めるなら、「ロイ個人」にはどうやらいかなる状況下でも
リザが含まれるようなので、「今後は2人だけの戦いになった」と言うべきで
しょう。たとえ異動でもです。その証拠に、彼女だけちゃんと中央に残されて
いますからねv
…では、前置きはこのくらいにして、以下詳細モードで。
まずエド達ですが…エンヴィーが「リンだけ飲め」と言ったのに、エドとエ
ンヴィーも飲んじゃったグラトニー。かなりギャグを織り交ぜてあるから、あ
んまり緊迫感はないんですけど。ところが着いた場所はびっくり…真理の扉?
ただし「疑似」。失敗作だということは、お父様は本気で本物を作ろうと試み
ていたわけですね。何故……? このあたりに、彼らが異様な執念で「人柱」
の確保を進めている理由が隠されているのかも知れません。
さらにエンヴィーの口から、今後の大いなる伏線となりそうな事実が……!
「穏健派将校」。これについては恐らく、コミックス16巻あたりで大きく触れ
られると思いますが…
そして前巻のグラトニーに続き、ついにエンヴィーも本性化〜! うひー確
かにこれはゲテモノですよ〜。曲がりなりにも人間と呼べる姿を留めてない。
だから「嫉妬」の果てにああいうかわいいナリを好むわけかな。鬼畜だ…。
さて、そして窮地の中で脱出の方法を思いついたエド。この辺の錬金術理論
はとても面白いですねv 雌雄同体とは両性具有のことで、それはギリシャ神
話以前にすでに崇拝の対象だったヘルメス(の原型)とアフロディーテの結合
した状態。物質に変換すると「水銀」、そしてその杖には周知のように蛇がか
らんでいます。まさに水銀こそ錬金術のシンボルだし、それは突き詰めていけ
ば日本にも…高野山や空海にまでつながるキィワードなんですよ!
それは置いておいて、こうした理屈がエドの口から語られるのがとても好き
です。「やればできる」的な精神論で危機を乗り越えるんじゃないところが、
いかにも天才児という感じがしますよねv ついでに「クセルクセス滅亡の真
相」にまで気付いてしまい…さて、どうでしょう。「お父様」の目的とは、や
はりまた国家規模の犠牲で賢者の石を作り出すことなのでしょうか?
そして再び真理の扉を開けるエド…ここでリンが「まるで神への祈りじゃな
いか」と独白するシーン、とても胸にきますね。さらに因縁の扉と相対するエ
ドの「久しぶりだな」という冷静な様子には、母親の件でのトラウマをすでに
乗り越えたことがはっきりうかがえて、ここでもじんとさせられます。この子
ってほんと、痛い傷を何度自分で見なくちゃならないんだろうと思う。
そして!うわ〜アルがいた。本当にちゃんといたんですね!痩せこけながら
も…。でも、アルの前にはもう一枚の扉。素晴らしいです…あれはアルが自分
で開けなくちゃならない扉なんですね!?
今後、あの扉を自ら開けてあの身体を引っ張り出すアルが描かれる可能性が
出てきました♪あそこまで描いておいて「やっぱり無理だった」はないよね!
さて、一方のロイとリザです。何度見ても、この車内での身支度には不埒な
想像を禁じ得ないんですが(笑)長い長い市中視察から戻り、大総統の正体を
見極めに乗り込むロイ。「逃げろ」「いやです」にはもう苦笑もいいとこ(笑)
可愛いなぁ…あれ、絶対じゃれてますよね。遊んでないでよあんたたちー(笑)
とは言え、建物内部では将軍たちが手ぐすねを引いて待っていたのでした。
青二才萌え再びv ヒューズの言葉を思い出し、優等生ぶって将官の好意を得
ようとつとめるロイの浅はかさが愛しいです。敬語だしv今まで将軍クラスは
ほとんど登場しなかっただけあって、会議の威圧感はさすがですね。と言うか、
本当に将官全員がすでに大総統の手先だったんですね!
そしてついに、マスタング組は解散となったのでした…。ほんと、この回の
衝撃は忘れられないですよ(笑)しかもリザの新しい肩書きは大総統補佐!!
その真下のコマの「…という訳だ。悪いねマスタング大佐」という閣下のセリ
フが、当時は「君の女はもらったよ。悪いね」ってニュアンスにしか聞こえな
かったんですからねー!一夜にしてロミオとジュリエットと化した2人の妄想
ばかりが頭を駆けめぐったものです。
でも、閣下は本当にロイの敵でしょうか? この点については、もう思いの
たけを考察#5で述べましたのでここでは繰り返しません。ご興味おありの方は
こちらをご覧下さいねv→
■。
簡潔に言えば…閣下があの壮絶な生い立ちをロイに語ったということは、ホ
ムンクルスの後ろにまだ黒幕がいる、と打ち明けたことになります。「自分も
その駒にすぎない」ことをね。それはつまり「私を倒しても何も解決しない」
という意味なわけで、次に来るのは「私でなく父上を倒せ」でしょうか? 少
なくとも大総統になるにはそれしか道がないことが、ロイにもはっきり理解で
きたはずです。これから先は、彼の個人的な戦いとなるわけですね。ビバ!
それにしても…ロイの優しいのには参る…。「元人間なら、人間として生き
ることはできないのですか」ですよー。駆け引きでそう言ってるならともかく、
本気ですよね。リザを取られた時はあんなに「お先真っ暗」って顔をしたくせ
に、大総統が事実上の被害者だと知ったら、同情したんですね。あの瞬間、閣
下を(だいたいまだ閣下って呼んでるところが良い子すぎ/笑)もう敵視でき
なくなった感じです。まぁ、絶望に打ちひしがれているよりずっとマシだけど、
つくづくいい奴だな…。これから彼、どうやってトップに登りつめるのかしら。
結局、53話の扉絵がこの巻を象徴することになりましたねvマスタング組の
思い出の写真たち…。この時のコピーは「振り返れば眩しき日々よ」でしたが、
連載当時はセンチメンタルな想いで胸いっぱいになったこのコピーも、今はも
う平静に受け止められます。(これも気力回復までに時間かかったけどね!)
さて、それではこの扉絵の解説をして終わりにしましょうv ええ、写真は
すべて、大総統マスタングの所持品です。本編より数年後、あの大総統執務室
の主となったロイが、机の引き出しから取り出してなつかしく過去を振り返っ
ているところを描いた図なんですね。かつてその部屋の壁に掛けられていた5
本の剣は、もちろんその時にはもう存在してません。また、彼の夫人の名は言
うまでもないことv …以上♪
次巻はさらに大きな秘密が明かされそうですよ奥さん!