本誌感想(+小考察)のコーナーです。
毎月の日記で書いた分を順次こちらに移動してゆく予定です。
また、コミックスの発売1ヶ月前をめどにその巻の収録分を消してゆきます。






第75話




いやはや、満を持して!!という感じでついに描かれた『クセルクセ
ス最期の日』!!
す、すごいわこれ…話の迫力にただただ呆然と紙面を見つめるばかり
です。牛さまの小宇宙(コスモ)をめらめらと感じますね!!
これで「お父様」「プライド」「ホーエンハイム」という、結末への
鍵を握る3キャラクターの正体がすべて判明しました。(お父様とプ
ライドとの関係についてはまだ少し考察の余地がありますが)
物語上で最大の種明かし…ついにストーリーの全容が明らかになりま
したね。これからが真のラストスパートでしょう。
先月に続いて神懸かり的な面白さの75話、以下プチ詳細モードでv


1:ホーエン少年、大出世!?
先月に続き、若パパのクセルクセス時代です。
少年は読み書きと錬金術を学び、草履取り…違った;奴隷からついに
主である錬金術師の助手へと昇格!
独学だったらすごいけど、全部フラスコのプライドたんが指導してく
れたんですね。「おまえには感謝してるよ」「なんの、礼を言うのは
こちらの方だ」な〜んて彼らのやり取りを聞いてる分にはとても微笑
ましい光景なのですが…この2人が事実上、王国を一夜で滅ぼすこと
になるわけですよね;くわばらくわばら〜…

さて、そろそろ家庭を持ってもいいくらい?なお年頃のホーエンパパ、
「人間は家族とか仲間とかに幸せがある」とプライドたんにお説教し
ています。うーん…彼はごくまっとうな、不遜な野望などかけらも持
たない、暖かな性格の青年なのですねv彼が「賢者の石」を欲しがる
ことなんてあり得なさそう。これならずっと後にトリシャに出逢って、
可愛い2人の子を授かって「やはり老いて死にたい」と決心する彼の
心情にもシンパシーを感じます。というか、ここに来てエドよりもパ
パこそ「縁の下の主人公」だったんだと判明するという…(笑)
牛さまの手の混んだストーリーさばきには心の底から脱帽です。

一方のプライドたんも、「人間」をちょっと見下してはいるものの、
この時点ではまだかわいい存在です。「夢はフラスコから出ること」
「容れ物から出ると死んでしまうから」なんて愛らしいわ〜(苦笑)
でも、もしかしたら小さい身ですでに虎視眈々とチャンスを待ち、フ
ラスコから出る時をこの頃から狙っていたのかも知れませんね。

そして驚きは彼らの「ご主人」ことホムンクルス制作者の錬金術師!
……ぜんぜん、ただの関係ない人だった!(笑)「お父様」ではなく、
しかもマッド・サイエンティストですらない、普通の人に見える…;
じゃあ「お父様」は何処に!?

という訳で、とりあえずクセルクセス時代にも錬金術はあったという
事ですねー。ただし、ホーエンハイムが後にそれをシンにもたらした
ことを考えると、現在のエドたちの術とは違うものでしょう。つまり
龍脈を使う「シン式」の術は、もともとクセルクセスのものだったと
考えて良さそうですね。



2:初めの「傲慢」はクセルクセス王?
そしてある日、ついにプライドたんにチャンスが到来!!
老いたクセルクセス王から「不老不死の法」を所望され、主の錬金術
師はフラスコを抱えて王の御前へ…。どうやらプライドたんは「不死
の存在・ホムンクルス」とか何とか言うふれこみで巷に有名だったよ
うです。じゃなければ王のお召しはないはず。
「どうして権力と栄華を極めたヤツはそっちへ行くのかねぇ」と偉そ
うな口をききながらも、「いいよ。不老不死の法を教えてやろう」と
快諾するプライドたんですが…うーん、もしかしたら「やった!チャ
ンスだv」と内心にんまり笑っていたやも知れません。表向きも確か
に「にぃぃ」と笑ってますが;

そして王に教えられた「不老不死の法」とは、例の遺跡の錬成陣(エ
ドが遺跡で見ていたもの)をもとに国中を網羅する巨大錬成陣を描く、
というもの。うーん…見事に現在と同じです。ただし「地下トンネル」
ではなく、1回目は「灌漑用水路」として掘られたんですね。
しかし、周辺住民を殺戮して水路に血を流すという方法そのものは同
じらしい。
つまり現在の巨大錬成陣もトンネルの完成だけでは完全ではなくて、
それが「血の錬成陣」になることが肝心なわけですね。ということは、
あとはブリッグズ(の地下)だけが血に染まってないということ…
やはり北で何らかの争乱がこれからあるのでしょうか。


3:ラグナロク(ゲームではなく北欧神話)
さて、そして恐らく何年か後、ついに用水路の錬成陣は完成し、虫の
息で生き長らえていた国王を不老不死にする儀式が行われるのでした。
この時点でやっとホーエンハイムの容姿は現在の父さんと同じ、ひげ
面になってますね(笑)思ってたより若いんだなぁこの人。案外30歳
そこそこかも知れない。
「すごいな。世紀の瞬間だ…!!」と興奮した面持ちのホーエンハイ
ムと、その手に持たれたフラスコの中で、ニタニタと笑うプライド…
そして床という床、外では大地という大地から無数の黒い触手が生え
てきた!!
魂を抜かれて次々と倒れる人々…ここでようやく事の異常さに気付き、
ニタニタと笑うフラスコ君を見て「…何をした!?」と真犯人を悟る
ホーエンハイム。「私の中の君の血を使って扉を開けさせてもらった」
とフラスコ君。そうこうするうちに黒い触手は宮殿を飲み込み、ホー
エンも身体を分解されて「真理」のただ中に吸い込まれて…

…す、凄い迫力(笑)。
フラスコ君の「今、君と私がすべての中心だ」のセリフとか、もうな
んか読者の脳髄に響き渡ってくる感じですね!轟々たる擬音もね!!
どうやらこの時開いたのは本当に本物の「真理の扉」みたいです。
これと同じことがエドたちの巨大錬成陣でも起こるわけでしょうね。
やー今からどきどき…すごいなぁ…


4:2人のホーエンハイム
こうしてホーエンハイムが気付いた時、クセルクセスの国民は1人残
らず賢者の石にされていた、というわけです。そして全滅の静けさの
中、国王の衣服をまとって現れた人物こそ、「お父様」!!
この演出とかもすごいなぁ…満を持して、という感じ。
これでやっと秘密が明かされましたね。長かった(笑)
2人が似ているのも道理、ホーエンハイムの血の情報から「入れ物」
つまり肉体を造ってフラスコ君が居座った、というのがお父様の真相
でしたか…!
まさに「人なのに人じゃない(メイ子談)」「あり得ない(リン談)」
を具現化した存在なのですね。人口どのくらいだったか知らないけど、
ホーエンと半分コしていても相当な数の魂が入っているんだろうな…

しかし、「やっと窮屈なフラスコから出られた。協力感謝するよ」と
言ってるということは、やはりこれはフラスコ君の策略というか、意
思だったわけですね。
それにしても、意識の中で犠牲になった人々の阿鼻叫喚がずーっとこ
だましているのって責め苦だろうなぁ…●


5:夢からさめたホーエンハイム
というところで昔の夢から醒める現在のホーエン父さん(笑)
彼を揺り起こした人物こそイズミ女史その人〜vうーん心憎い演出!
そういえば以前も会っているんですよね、この人たち。その時はまだ
お互いにエドアルの関係者であることを知らなかったようですが、今
回の邂逅ですっかり相互理解ができたようです。
その理解はイズミの過去にまで及び…。すごいですね、咳き込むイズ
ミの肩に触れただけで、瞬時に彼女が「真理」を見たことを見抜いて
しまうんですね、ホーエン父さん。でも彼がこれからやろうとしてい
ることのためには、「お父様」同様に「人柱候補」を探す必要がある
わけだから、これはラッキーな遭遇だったはずです。「貴女はまだ倒
れちゃいけない人だ」とは「エドとアルのために」とも受け取れます
が、「人柱候補たちの尽力がなければプライドを倒せない」とも解釈
できますよね。
どちらにしてもイズミ女史は有力な味方。ここでホーエン父さんは自
分の秘密を彼女に明かすのでした。エドにも言わなかった秘密を…!


というわけで、大きな大きな意味を持った75話でした。
やー溜め息モノでした〜。
牛先生、ずっとこの回を描きたかったことでしょうね〜v描いてやっ
た!という達成感みたいなノリが伝わってきますもん。
そして読者の予想は半分くらいは当たっていましたね。ホーエンハイ
ムこそシンの錬金術の始祖・西の賢者で、その身体は賢者の石…!
エドたちの焦がれ続けた賢者の石は、反発し続けた父親そのものでし
た、か。もう心憎いどころの騒ぎじゃありませんね(笑)
圧巻なり!!



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以下考察あれこれー。


◆では結局、この物語の悪役とは誰か
私がずっと考えていたのは、荒川先生が「いかにしてこの物語を勧善
懲悪な結末にもってゆかないつもりか」でした。先生がお父様を単純
な「悪役」として終わらせるはずは到底なかったですから。
いえ、お父様だけじゃありません。どういうキャラであれ、「悪役」
そのものが存在しない結末になるんじゃないかな…と思っていたんで
す。だったらいつ、どうやってエドたちの「倒すべき黒幕」がすり替
えられるのかな、と。
そうしたら、今回の昔話でお父様のとんでもない正体が…!これでそ
の答えが見えてきた気がします。
フラスコ君は確かにあらゆる事件の黒幕ですが、最終的にはそのフラ
スコ君でさえ真の敵ではない…という結末になるんじゃないでしょう
か。突き詰めれば彼の原料はホーエンハイムの血の情報ですよね。さ
らに「君たち、たまたま偶然私を造る事ができたのに」というフラス
コ自身の言葉からは、彼は本来なら人間の到達できない領域の存在で、
それを偶然にも造り出してしまったのは人間の行き過ぎた探求心…で
あるようなニュアンスが窺えます。
しかも原料は人間。結局、すべての原因は人間そのもの…
つまるところは「身から出たサビ」であり、真理の扉の中には人間と
は相容れない世界がある。でもそれは決して「悪役は人間」で、人間
は身の程をわきまえろ!ということではなくて、その真理は最初から
当たり前に人間の中で働いている(例えば血の情報として)というこ
とだと思うんですよね。
だから、悪役はいない、と。
そしてアルは父親の犠牲に免じて元通りになることを赦され、エドは
本当の真理を学んだ代償として失ったものは失ったまま、そのままの
身体で未来を生きてゆくのではないでしょうか。
そんな感じの結末になるのかな〜…と推測した今月号でした☆


◆どうやったらお父様(プライド?)を倒せるか
…キィになるのは、「プライドが元々はホーエンハイムの血から作ら
れた」という事実だと思う。その「血の情報」の持ち主であるがゆえ
に、プライドを消滅させることができるのはホーエンハイムのみなの
でしょうたぶん。もしかしたら、ホーエンとプライドは一心同体で、
ホーエン自身の「死」をもってしかプライドは消滅しない可能性も…。
ホーエンハイムに罪の意識があるとしたら、その「傲慢」な感情はも
ともと彼自身の血が発端だったせいなのかも。
もちろん、クセルクセス滅亡を食い止められなかった事、友人たちの
魂を糧として不死となったことに良心の呵責を感じて…というのは当
然あるでしょうが。


◆その前に、お父様=プライドなのか?
厳密には違うのかな?もともとフラスコにいた奴を「本体」と呼ぶな
ら、その本体は「お父様」とプライド(セリム)の中を行き来できる
のかも知れません。
ただし、プライド(セリム)はリザとの会話で「私は始まりのホムン
クルス」と名乗っていますから、こいつが「本体」の意思の延長であ
るのは確かですよね。口調から類推するとセリム=フラスコと言って
もいいくらいです。事実上の司令塔に見えます。
そうすると、現在の「お父様」は傀儡ということになる…?
でも今月号の描写では、あの時点では「お父様=フラスコ」だったの
もまた確か。ということは、ある時にフラスコの「本体」はその容れ
物を乗り換えてセリム少年の身体に移った…と考えられますよね。
この「移った」が曲者(笑)
オカルト作品のように「乗り移る」ということは、恐らくこの作品で
はあり得ないんです。だから、「本体」を核としてセリムが作られた
…という方が自然だと思います。憑依ではなく。ホーエンハイムの情
報からお父様ができるなら、元クセルクセス人だった1人の少年の情
報からセリムも作れるはず。


◆それなら他のウロボロス組6人と「お父様」との関係は?
うーん……「石」にされたクセルクセスの国民って何人いたのか分か
らないけど、相当数の魂がホーエンハイムと現お父様(当時はフラス
コ)のとの間で半分こされたわけですよね。
仮説だけど、「お父様」に入った魂の「欲望の傾向」によって、各ホ
ムが誕生したのかな、と思います。つまり「強欲な魂」だけを集合さ
せてグリードの核としたり、「色欲狂な魂」だけ選りだしてラストの
核としたり……という具合に。あの中央地下にある、グリードが釜ゆ
でにされた時に使われていた実験器具が、その「魂振り分け機械」な
のかも……??


◆なぜお父様の身体は不老でないのか。
明らかにその点がホーエンハイムと違いますね。
でも、賢者の石のエネルギーをウロボロス組7人(6人?)を生みだ
して動かすのに使ってしまったなら合点がゆくかも??


◆「入れ物」としての人体と、その人体の元々の魂との関係は?
これが今もってよく分からない。
「人なのに人じゃない(メイ子談)」「あり得ない(リン談)」とい
う、お父様を前にした彼らシン組の表現から推察するに、それだとホ
ーエンハイムに会った時も彼らは同じように感じるんでしょうね。
彼らが感じ取っているのは魂の気配。ということは、大総統とまみえ
た彼らが閣下をホムンクルスと見抜けなかった理由は、閣下の中の魂
は1つだったから。このことからも閣下が「人間の時の記憶のまま」
だという推論が成り立つようなv(笑)
…話が逸れたような;


◆お父様=プライドなら、大総統の「反逆」はバレている?





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