------------------------ 6巻 ------------------------

 さぁ6巻。これは本当に素晴らしい巻でした〜。無人島での兄弟の描写か
ら始まって、彼らがどうやってお母さんを再生しようとしてできなかったの
か、どうやって国家資格を取るに至ったのか、全て具体的に読者に見せてく
れていますね。これで今までの巻が全部「腑に落ちた」というか、すごくリ
アリティに満ちたものになって、ますますお話が輝いてくるような。おまけ
に気になって仕方がなかったホークアイ嬢とロイとの絆の深さまでもうかが
えて、大満足の一冊ですねv

 まず驚いたのは「全は一、一は全」のセリフ。これはねー……久々に、来
たって感じでしたね。これをお書きになる方の作品ならば、最後まで読まね
ばと思わせるセリフでした。
 作者様が同じ文献をお読みなのかは全く不明ですが、サンスクリット語の
ヴェーダ文献の中に「ウパニシャッド」という部分があります。(同じく一
部を成すリグ・ヴェーダはCLAMPさんの某作品で嫌というほど出てきたから、
ご存じの人は多いかも。)これは当時のバラモン階級の人々の「奥義書」、
つまりこの世の真理のエッセンスを詰め込んだような部分なのですが。そし
てその奥義中の奥義に、「梵我一如」という思想があります。「梵」はまぁ
宇宙そのもの。「我」は私。だから「全は宇宙、一はオレ」そのままなので
すねー(笑)。印度哲学は形を変えながら仏教とも深い関係にあるので、こ
れは私たちが広汎に言う「東洋思想」の基本と見てもいいのかも知れません。
曼陀羅とかもね。(ただし、西洋哲学の一部にも同様な考え方がない訳じゃ
ない。ライプニッツとかさ。)
 それがエドたちの「錬金術」の基本とは!すごいです。面白いです。しか
も、それを悟るにいたる少年たちの生き生きした描写ときたらv本当に素敵
です。「真理」をめぐる、あの等価交換のやりとりも凄まじいですよね。イ
ズミ女史は内臓を持って行かれた、とかグロい事を言うしー。あれ?でもそ
うすると、「人体錬成」を試みたことのない術師は「真理」を見たことがな
いのでしょうね。とすると当然、錬成陣なしでは術が使えないということ?
何だか禁忌を犯した術師の方が、代償を払った分だけ優秀そうな感じがする
のですが、いかがでしょう。

 その禁忌。ロイがあれほど最初からエドに関わっていたとは予想外でした
が、「人体錬成」ってほんとにバレたらおしまいな程の禁忌なんですね。エ
ドはタッカー氏にも自分から教えていたし、ロイはアームストロング少佐に
漏らしていたりしたから、公然の秘密なのかと思った。隻眼の大総統はだま
し通せる相手には見えませんが……。(この試験模様も圧巻でしたねー!)
 でも、一番胸にきゅーんときたのは「守るべき人がいるから」でしょ!!
ああリザ……ここまでロイを想っていたのね。もちろんロイもそれを受けて
彼女に応えているのがよく分かります。やっぱり「デート」はフリに間違い
ありません。彼ら、こんなに信頼し合っているんですから〜。
 それにしても、2人だけの時に「まいったな」などと肩の力の抜けた物言
いをするロイは素敵……。ホークアイ嬢もこういう時だけは自然な表情をし
てくれるしねv

 ところで、不思議な一致。ホークアイ嬢もエドも、どうやら同じ頃から髪
をのばし始めているみたいな気がするんですが。??