------------------------ 5巻 ------------------------

 では先に「軍の狗」の感想を。この話についてはもう「リザ、笑顔をありが
とう!」の一言に尽きますねぇ。ほら、ロイだって言ってるんですから「ああ
見えても」って。いかに彼女が普段にっこりしてくれないかが分かりますよね。
しかし、「ブラックハヤテ」という玄武岩のような命名センスは何というか、
彼女の洒落っ気のない生真面目さを露呈していて可愛いです。まるで米国人の
つけた戦闘機の愛称みたいな……。(同じノリで、白い犬にホワイトフジヤマ
とかって名前どうですか?だめ?)

 5巻はとにかく、「出産のお話」ですねネックは。いずれそう来るだろうと
思ってはいました。だって「人工的生命の創造」ときたら「それを自然にやっ
てのける女性たち」が描かれるのは必至ですものね。サテラさんを見たときに、
もうピンと来たんだけど……抗体出てたんだけど(笑)……それでもほろりと
してしまいました。やっぱり自分が出産したばかりだったし、もう思い出され
て思い出されて〜。少年誌にしてはけっこうリアルな表現(というか省略の少
ない表現?)だったと思うけど、やはり作者様が女性のせいなのでしょうか。
思春期の子などには、どうかすると出産話は強烈すぎるみたいなのですが、こ
うして正面から出産を肯定する表現を公にして下さって、一人の母親としてと
ても嬉しかったです。私も経験して初めて分かったのですが、これだけ情報社
会と叫ばれながら、出産育児のことって表面に出なさすぎ!否定的な面ばかり
強調されてるんだもん〜。プラスの情報不足のために世の女性たちが出産を敬
遠するのって、絶対あると思う。(聞いてますか厚生労働省!)

 しかし、漫画だと赤ちゃんってすぐ生まれますね(笑)。妊婦さんがハッと
してお腹に手を当てて、「う、生まれる!」という黄金パターン。実際はさ〜
初めはそれが陣痛かどうかも分からないし、始まってから早くて7,8時間、
ふつう20時間くらいは苦しむんですよ。そうか……リアルに描写してたらペ
ージが足りないか(爆)。その最後の1時間の痛さと言ったら!!本気で死に
そう+呼吸のしかたも忘れるくらいなんだけど、産まれた途端にうれしさでそ
んな痛みは忘却の彼方に飛んでいってしまうのです。一生忘れません……あの
瞬間。立ち会った夫は防菌服のまま感激して泣き出すわ、赤ちゃんも泣くわ、
私は安堵でVサインを作っておりました。助産婦さん、ほんとに有難うござい
ました!(ってこんなとこ見てるはずないけども〜。)医院の先生よりも、実
際に助けてくれるのはこの助産婦さんなのですよv陣痛が始まってから常に赤
ちゃんの心拍数を調べてくれたり、不安な妊婦を冷静にリードしてくれるの。
だから、ドミニクおじいちゃんがウィンリィに感謝する気持ちはよく分かりま
す。「命の恩人」だよ!
 あ、ごめんなさい体験談になってる。でもまぁ、ちょっとあまりに画期的な
出来事だったのでね〜。おほほ。

 さ、そしてウィンリィの決意が語られていますね。本気でエドのサポート役
を務める決意。こうなると、今後彼女は危険な目に遭う可能性もあることでし
ょうが。ウィンリィとの電話を切ったあとのピナコおばあちゃんが、ちょっと
じんとくるなぁ。デンは出来すぎの犬だわー。
 そしてエドとアルはお師匠様のもとを訪ねます。2人の尋常ならぬ様子から、
どんな鬼のようなお師匠かと思いきや……こんな美女とは!確かに迫力満点だ
けども(笑)。この病弱に見えないイズミ女史の言葉の数々こそ、荒川先生の
「想い」と受け取っていいのかも知れませんね。彼らの世界の錬金術の、根底
に流れる思想を語ってくれています。「あらゆるものは循環している。人の命
もまたしかり」と理解しつつ、それでも彼女もまたエドたちのように、一度は
禁忌を犯した経験があるようです。う〜ん、人体錬成をやりたくてもやれない
ジレンマというのは、某作品でアマテラスがバランシェを蘇らせたくてもでき
ないジレンマと似てますかね……。(←分かる方だけ分かって)
 でも、経験者にはエドたちが隠し事をしているのはバレバレだったようで、
難なく秘密を吐かされる羽目になるエルリック兄弟。ここからようやく、彼ら
の「出発点」が詳細に明かされるわけですね。

 そのすさまじい過去話は6巻分に回すとして、この巻の白眉シーンがもう一
つありました。「先生のとこには子供いないですけど」の爆弾発言(笑)です。
もー、読んでてヒヤヒヤ!あなたが子供だから許されるのよ〜〜ベイビ〜??
って感じです。これがどれほどのストレスを与える発言か…。しかも悪気がな
いのよ!余計始末に負えない。よい子の皆さんは口が裂けても言ってはいけま
せんよぉ〜(笑)。
 こういうの、さらっと描いてしまうあたりもスゴイ。