------------------------ 11巻 ------------------------

 これまた、中身の濃い一冊であります。要約すれば「罪と罰と保釈」??
一つの転換点と言いますか、一巻からず〜っと罪の意識を引きずっていたエ
ドが、ようやくお母さんの件に区切りをつけて「真実の奥の奥」に向かい合
う、重いけど希望をはらんだ巻になってますねvというわけで、以下詳細モ
ード。

 まず衝撃の父子ご対面から始まるわけですが、これが思ったより対立が甘
くて、むしろ微笑ましいと言うか(笑)。何でも性別のせいにするつもりは
ないけど、作者様が男性だったらもっとシビアな描写になってたかもねー。
でもしかし、ギャグは多けれど本筋は外してません。そう、ホーエンハイム
氏はどうやら息子のレヴェル、「どこまで分かっているか」を見極めに来た
らしいってことですね。
 息子たちが人体錬成をした事実は、彼にとって道徳的には何の問題でもな
いはず。むしろ、失敗しちゃったこと、あるいはそこまでやったのにエドが
「真実に辿り着いてない」のを見て取って、「逃げたな」と完璧に看破して
いますね。で、そのあとでピナコさんにつぶやく振りをしてエドに重要な助
言を与えているわけです。何のため?エドを「真理に勝たせるため」でしょ
うか?
 ここまで見せてもらっても分からないのが、彼が「お父様」として「酷い
事」を起こそうと(その計画の中には息子を人柱として使うことも含まれて
いるのに)している一方で、エドを鍛えているようにも見えることですね。
スター・●ォーズじゃないけど、やっぱり最後の最後には父子対決が予定さ
れているような予感…?エドって、もしかして計画の安全装置か何かなのか
しら。(←失敗した時のための)
 あと、もう一つのポイント・トリシャさんのことも難しいです。彼ら夫婦
の「約束」とは何だったのでしょう。彼女の伝言、そしてホーエンハイム氏
の「もう少しだったのに待っててくれなかった」という意味の台詞から見る
と、出て行ったのは合意の上だったのね。「家族で不老不死になろう」とで
も約束してたのかなぁ。もしや、異常なほどのマイホームパパだったのか?
本当に、夫婦の間には子供でもうかがい知れない事実がたくさん横たわって
いるものですわね(笑)
 でも、「何ひとつ残ってない」という台詞が家族4人の写真をもらってい
く行為に繋がるとしたら、ホーエンハイム氏はもしかして本当に「一家」を
迎えに来たのかも知れません。

 さて、そして言うまでもなく、この巻のハイライトは「墓あばき」。これ
は本当にすさまじいシーンでしたコトよ…。ただでさえトラウマと向き合う
のは難儀なのに、何もこんな暴力的な方法じゃなくても…ねぇ。恐るべし作
者様(あららさっきと逆ですか(苦笑)でもこれぞ女性的かも?)。
 この行為のあと、エドが真実に気付くところ、そしてイズミ女史にそれを
確かめて、アルと一緒に再出発するところ。ここは作品中、文句なしの白眉
でしょう。「死んだ人間は戻らない」って当たり前のことに、一般庶民より
も格段に知識を持つ人々の方が回り道をして気付いた、というパラドックス
ですね。うーん素晴らしいです(涙)イズミさんの台詞、「あの子を2度殺
してはいなかった」というのが泣けてたまりませんよ。一度でも子供を身ご
もった事のある人間には、マジで皮膚感覚として痛みがわかるというか…。
私の年代だと、流産した友人の話なんかもリアルに周囲に聞こえてるわけで、
なんか本当、こういうの描いて下さって嬉しいって言うか。うん。
 何はともあれ、アルが元に戻れそうで良かったですvここまで展開しとい
て、やっぱり無理でした〜っていうのはないでしょうし。ねv


 一方、罰を実感するもう片方のロイですが…ああなんていぶし銀の魅力な
んでしょうノックスさんv(←文になってない)こういう人が、作品の味わ
いを深いものにしてゆくのよ〜v…しかし、それじゃあのダミー焼死体って
ロイの暗号だったわけ?「昔のよしみで悪だくみに加担して」という(笑)
 イシュヴァールが人体実験場だったのは予想していましたが、その凄惨な
様子に皆が(少佐のように)疑問を持っていたのだとしたら、もう少しロイ
の味方って多くてもいいのにねぇ。まあそもそも、ロイがどの時期から打倒
大総統を志したのかはまだ分からないわけですが。

 そして悲壮感ただようハボさん…(涙)のっぽで陽気な彼だけに、余計に
悲壮です。マルコー氏の件もダメになり(グラトニー…診療所の賢者の石を
きっちり食べてくし(怒))、焦る上司に「捨てて行ってくれ」とヤケを起
こす彼。うーんかなり意外でした。ロイにとって、リザは半身(v)だから
除外するとして、残りの彼らは限りなく「部下」に近いと思ってました。友
情…にも似た思いを持って、彼らは本気で上司と同じ夢を追っているんです
ね。ハボックは「同情なんていらない」と言ったけど、あれはロイの同情で
はなくて自責。前巻のところでも述べましたが、エドがアルに対して自責を
抱いているのと対比させてあるのね。この物語、もちろん主人公はエドなん
ですが、「大人の」葛藤を代表させる人物ということで、半分はロイの成長
物語なんじゃないかと思います。(たとえ30過ぎててもねv←小声)

 その自責から自分の身に鞭打つロイは、…無責任だけどファンにはたまら
なく男前で困るなぁ(溜息)。リザは口では制止してますが、彼を止められ
ないのは分かっていたみたいで。っていうか、彼女に対してロイが強引に我
を通すのって初めて…ですよね?やっぱり恐妻家!?(違うでしょ(笑))
このシーン、言葉になってない部分の感情がメガトン級くらいありそうで、
見てる者は苦しいです。だってリザのあの表情…!もう人目なんかいいから、
構わず触れ合っちゃってほしいですよ…切に!
 それにしても、「バカ」発言はいつものことだけど、他人の前で「あの人」
とは…リザ??皆がそれを自然に聞いてるのも変な感じ。副官だから、とい
う諒解よりも、ある程度「特別な仲」なのを周囲も認めてる…なんて事は?
ないかなぁやっぱり。

 さあそしてターミネーター・スカー。あのコマンチ氏という方は、なんか
イイ味を出しそうだったのにもう亡くなってしまったの?(中背表紙に…)
ちょっと登場する錬金術師が少なすぎますよね。某海賊漫画の悪●の実の能
力者ほど多くなくていいけど、もう少し色々な錬金術師の方々の腕前などを
観てみたいと思いませんか、皆様?(笑)

 というわけで、巻末からごた混ぜ戦線の「第2次・対ウロボロス戦」開始
ですね。傷の癒えてないロイと、彼を守る必死の覚悟がうかがえるリザ。次
巻もロイリザ萌えはそこかしこにv
 …でも、11巻の助演男優賞はブレダにあげたい…かな(笑)ハボさんとペ
アとかで、どうでしょうね?