------------------------ 1巻 ------------------------
それは2004年の年明け。そもそも中学生の姪にこの第1巻を借りなければ、
鋼サイトを作ろうなんて絶対思わなかったはずなのに(笑)。最近人気があ
る漫画といえばコレ〜ってことで、今の子に「錬金術」なんて言って分かる
のかなーと訝りながら読みましたっけ。
すっきりした絵柄はすぐ目に馴染んだし、生意気な物言いの兄弟もすぐ気
に入りました。ほどなくヘキサグラム(6芒星)の中に壊れた物を入れて、
「錬成」を行うシーンが。……ヒザを打ちました。いや、驚くべき発想の転
換!てっきり中世欧州の架空の国で、窯やフラスコがグツグツ煮えてるお話
だと想像してました(笑)。「こんな錬金術があるかい!とつっこみながら」
って、そういう意味だったわけね!これで期待は倍増しました。
「人間の材料」「人体錬成」などの話を経て、次第に作者様の意図すると
ころが見えてきました。「等価交換」「物質の循環」。正直、大きく出たも
のね〜と思いました。それって哲学的にも宗教的にも、アプローチしてゆけ
ば底なし沼のようにキリのない主題だし。大きく出すぎてラスト中途半端に
終わってる漫画は多いでしょ。でもね、無垢な子供たちがお母さんを取り戻
そうとして「作っちゃおう」と結論する自然さというか、無知ゆえの純粋さ
には本気で胸を打たれたんですよね。この兄弟を見守ってあげたい!と感じ
ましたよ。まぁ、自分が実生活で母親になったばかりだったという状況が大
きかったとは思うけど……。
失った身体を「元通りに」するために冒険するというフレーズには、すぐ
さま手塚治虫の『どろろ』をフラッシュバックさせられました。(あれはも
っとずっとエグいけどね。)ふつう、主人公は「もっと上を目指すために」
冒険して「挫折や喪失を乗り越えてゆく」ものだけど、エドとアルは違うん
ですね。最初から「挫折して失って」いるのね。で、今以上になることを目
指すのではなくて、「元通り」になることが目標だと。この辺りも荒川先生
の意気込みを感じました。「自分探し」「自己治癒」とか言うと雑誌のあり
ふれた見出しみたいだけど、これは突き詰めればもっと普遍的なテーマに繋
がるキイ・ワードですね。日本人だけじゃなく、全人類に共通なテーマにな
り得るくらい。もしかして、このお話は「世界」を視野に入れて描かれてる
のか……?と、荒川先生の野望に感嘆した第1巻でありました。
とはいえ、最後の最後で某マスタングさんが登場しなかったら、きっと2
巻を読もうとは思わなかったですよ(笑)。妙齢のいい男は出てこないなー
と結論づけそうになっていた所だったし。まぁ、階級で呼び合う人たちに昔
の記憶(=銀英伝らしい)を呼び覚まされたりもしたしね。しかもマスタン
グさんは黒髪に黒目だったりしたから余計にね。(←分かる方だけ分かって)
結局は『鋼』との出会いというより『焔』との出会いだった訳ですか?