ラスト・スノウ




何ゆえだろうか。
雪に気付くのは、いつだとて子供が先である。
そして窓にぴったりと額をつけて眺めねば気が
済まぬのもまた、子供の不思議な習性である。



最後にここセントラルに雪が降ったのは、忘れ
もしない一昨年の2月だ。
何かの都合で早めに帰宅した私は、ふと中庭か
ら笑い声が聞こえてくるのをいぶかしく思い、
物陰からそっと覗いてみたのだった。

家内はブーツをはいて子供のように髪を乱し、
セリムと一緒に一心に雪だるまを作っていた。

どこから調達したものか、右目に小さな黒石、
そして左には大きな平べったい石をはめこむ。
仕上げに鼻の下辺りに細長い石を押しこむと、
二人は後ろに下がって完成しただるまを眺め、
手を叩いて幸せそうに大笑いした。

人生で初めて雪だるまのモデルにされた私は、
胸中に満ちてゆく感情のままにしばし立ち尽く
していた。



来年の冬は、私には無い。
めずらしいセントラルの雪は、今宵が見納めと
なるに相違なかった。

だがそれは私が享受した幸せへの報いであり、
私が支払うべき当然の代価だ。




降るがいい、雪よ。
音もなく。
時のかけらのように。
そして世の理不尽を白く覆い隠すがいい。

世のすべての子供たちを喜ばせるために。












- Fin. -








lastは最も最近のことでもあり、最終のことでも
あるので、まさにそういう意味で☆
閣下は自分の境遇をただ納得して受け入れていた
と思うのですが、どうしても読者としては感傷的
になってしまうのが自己嫌悪です;
某方がおっしゃるように、この一家について真剣
に考えるとしんみりしてしまうばかりなので、
本当はギャグでなんとかしたいのですが(苦笑)
まぁうちのサイトのカラーだと思って下さい^^;
閣下の雪だるまは実際に作ってみたいなぁv

すごく似たシチュでもう一つ、長めのSSを書い
ているのですが…そちらは今しばし時間をかけて
推敲したいと思います☆