最新軍部事情





「閣下…実はこのチェス盤はいわく付きの代物でしてね」

「ほう、何だと言うのだね」

「ええ…こうして一局を終えて私が勝利しますと、どうい
 うわけか対戦した方が必ず縁談を持ち出すのですよ」

「なに?はっはっはっは……君は年長者に気に入られやす
 いタイプなのだな、マスタング大佐」

「恐れ入ります。幸いにも懐の深い上司に恵まれてきたと
 いうことでしょう」

「謙遜かね。いや、私に妙齢の娘がなくて実に残念だよ」

「いえ…紹介されたのは別段その方の令嬢とは限りません
 でしたがね」

「ふむ。だがセリムでは君の縁談の相手にならんだろう?」

「は…はは…おたわむれを、閣下」

「いやなに、君がまだ自分の立場を理解していないような
 のでな」

「……見え透いていましたか」

「はは、気にせんよ。君らの若さがうらやましいものだ」

「……あ;」

「それとこれとは別だよ。待ったはなしだ」







そこまで会話を聞いてから、リザは大仰なため息をついた。

彼女は自分の恋愛運についてはとうにあきらめた人間だっ
たが、新たにどうやら上司運についても完全にあきらめね
ばならないらしいことが、最近確実になりつつあった。

仕事がしたい…!と彼女は心から思った。
こんな人たちのお守りで紅茶ばかり飲んでいなくてはなら
ないのなら、激務であちこち駆け回っている方がずっと精
神衛生にいいはずだ。

目下、随臣たちを率いてこの国家元首を捜し回っているで
あろうシュトルヒが、早いところ娯楽室のドアをノックし
てくれないかと、リザは本気で願うのだった。












4コマシリーズ最新軍部事情のSSS版です。
考えてみればメロン持ってお見舞いに来た
閣下って、サボりの鉄人ですよね(笑)
…と悠長にこんな話を書いているうちに、
早く3人とも登場してくれないかな〜。