Trial & Error




















……

火蜥蜴に触れる私の指先は蒼白だった。

しかし彼女の白い背はもっと青ざめて、ひどく震えていた。















見回せば、部屋には何の火気も用意されていなかった。

無理もないことだ。

理想の火を求めてその命を削りながら、

この家の主はこの世のどんな温もりをもかえりみなかったのだ。

この子はだから、その背に聖なる火を刻まれながら、

あらゆる慈しみの行為から遠ざけられて育ったのだろう。













不意に己の無力を悟った。

彼女の背にすがり、感情のままに泣きたいとさえ思った。


ああ……師匠……師匠……


あなたの清さに値する何を、私が成せるというのですか。

この身の何をもってこの恩に報いることができるのですか。

あなたが刻んだ印こそがこの子への愛情だと知った今、

私に示される道はもう一つしか残されていないではありませんか。

進んでよいのですか師匠……

その道は真理にまで届いていないかも知れないのに、

私の未熟な夢のために彼女を道連れにすることをお許し下さるのですか……



























「もう、いいよ……ありがとう……リザ」

優しく言ったつもりだったのに、私の声はひどくかすれていた。

喪服を抱きしめただけの姿で、小さく整った顔がおそるおそる振り返る。

「……もう……いいのですか?」

「だってこのままじゃ……君が凍えてしまう」

「そんなこと……平気です。どうか……早く解読して下さい!」

そして早く解放して下さい、と言わんばかりに、彼女の瞳に懇願がこもった。

むき出しの白い肩から鎖骨へと続く陰影が、ただ痛々しかった。

その下に隠された部分への欲望など、何も覚えはしなかった。

私は目を逸らすように軍服の上着を脱ぎ、それで彼女をしっかりと包んだ。

「……隣の部屋で、着替えておいで」

「なぜ?……一度見ただけでは、やはり無理なのですか?」

「……そうだな。それもあるし……」

「?」

私はその時、どんな顔をしていたのだろう。

「リザ……君さえ良ければ……一緒に行かないか」

「……どこへ?」







怯えを含み、それでも小鳥のように澄んだ色で問いかける瞳を、私は生涯忘れられないだろう。

答える代わりに彼女を精いっぱい抱きしめたのは、

ただわずかでも彼女の体温の足しになれたらと願う心からだった。



























我々を結びつける絆など、何もありはしなかった。

ゼロよりも少ない……

それはゼロよりもなお少ない始まりだった。

私たちはただあまりに若く、選択の余地のない状況を「運命」と誤認したにすぎなかった。

だからこそ……












































……どこへ?

あの時の彼女の問いに、私は今も答えることができないのだ。


































SSというより断片にすぎませんが(苦笑)
以前下げたSSのタイトルだけ使って、
墓前シーンのあとを捏造してみました。
7月号の考察をもとに、ロイが師匠のメッセージを
どう理解したか…というあたりを模索して。
初回は勇気が出なかったのね〜ロイ…じゃなくて;
やっぱりね、あの陣はパパの愛ですよ。愛。
決して利己的な考えから彫ったものではなくて、
「娘を頼む」の言につながる行為だった気がします。

そしてロイの「答え」はもうすぐ出るはず。うんv