◆傲慢と偏見◆

**** ロイアイ考察第10弾(本誌第70話より) ****


久しぶりに緊急読書感想文をいってみます。
本誌2007年5月号、かねてより大総統の人質となっていたリザが、ロイに先んじてプライドと対面へ…!
「扉」の緊張感が高まる中、セリム=プライドは閣下の秘めた思惑の中からロイアイを引きずり出そうと画
策するのか否か!?
この4キャラの今後の絡みについて、エマージェンシー考察を試みました。
コミックス第18巻収録分のネタバレとなりますのでご注意下さい。



ええと、まず考察の前提として、管理人が機会あるごとに唱えてきた「閣下は最終的にお父様を裏切る」説
を踏み台とすることを初めに申し上げておきます。(閣下考察は考察#5を始め、各所に散らばっておりまし
て…;一カ所にまとまっておりませんので、ピックアップしたい方はお手数ですが文字列検索をかけてみて
下さいませ…すみません;)
また、ご意見や考察を参考にさせて頂いた方々に御礼を申し上げますv
(土井咲耶さん、龍華さん、星夜さん、いつも興味深く考察拝見してます。有難うございます…v/深々)
では以下、トピックごとに参りましょう☆





◆プライドとリザとの邂逅は偶然のものなのか


まずはこれ。今回ああいった展開が描かれたことで、最も心配されるのは「プライドがリザをおびき寄せた
のではないか」という疑惑ですよね。更に、もしもそれが閣下を介しての計画ではなくて、プライド独自の
計画による行動だった場合、リザの身は最高度の危険に晒されます。
今月号の2人の出会いの可能性のバリエーションを書きだしてみますと、
1:プライドのみの計画
2:閣下のみの計画
3:プライド+閣下の共同計画
4:どちらの計画でもない、完全な偶然
…こういったところでしょうか。この4つを1つずつ検討してゆきますね。

このうちまず2の場合は、自分の留守中にリザと自分の家族の顔合わせをしておきたい、あるいは暗にプラ
イドにリザの顔を覚えてもらい、リザに少々のクギを刺しておく…という閣下の意図が考えられ、特に危険
はありません。(ロイにプライドの正体を伝えるため、は恐らく考えすぎ?)ただしあまり意味深い展開で
はなく、従って可能性もほとんど無さそうです。

そしてもしも3だった場合、いよいよ「扉」の計画が始動すると考えられる。ただしこの場合も、以前の考
察(#9)でも書きましたが、エンヴィーあたりがリザに化けることはあっても、リザ本人が殺傷される可能
性はほとんどないと思われます。そもそもなぜ夜に書類を届けさせるのか…?彼女を拘束するなら、もっと
単純でスマートなやり方は他にもあるような気がしますよね(笑)

そして、最も恐ろしいのは1です。この場合、以前から閣下の言動に不信感を強めていたプライドが、閣下
の手ぬるさに業を煮やして独自に動き始めた…という予想が成り立ちます。ロイに余計な感情移入のないプ
ライドにとっては、リザの利用価値はただ1つ…ロイに扉を開けさせるための生け贄でしかありません。人
間に感化されつつありそうなラースに任せるよりも、手っ取りばやく自分がロイを人柱にしてしまおうと思
っても、それはそれでストーリー上の無理はありません。(ひぃぃ牛神さま!!)

…でも、私の結論は4です。
これはきっと完全に偶発的なできごと。なぜならリザが訪問した時、明らかにプライドは外出中だったから
です。仕組んだ計画であれば待機しているはずだと思いますし、何より表立っては「セリム」であるプライ
ドには、リザに緊急書類を届けさせるように軍の内部から(閣下に知られず)働きかけることは難しそうだ
からです。誰彼かまわず憑依できるなら別ですが…。(この件についてはまた後ほど。)
さらに、今までプライドは「ホークアイ」の名だけは聞いて知っていたが、顔は知らなかった…という伏線
が過去にあります。
グラトニーがロイとリンの手に落ちた時、それに加担したロイの部下としてプライドは閣下の口から「ホー
クアイ」の名を聞いています。北のトンネルにあって、何らかの方法でその夜の来客の名を知ったプライド
が、子供の姿を利用して彼女とロイの動きを探ろうと考えた(エドたちをスパイしたように)としても、と
ても自然だと思うのです。彼女がすぐ帰ると聞いて残念がったのも、情報を得る機会だったのに惜しい、と
いう意味。嘘は言ってないのよ(笑)
ただし、逆に彼女に正体を悟られたことは誤算でした。このままでは焔の錬金術師をまた一歩有利にさせて
しまう…。そこで急いで渡り廊下に姿を現し、本来の力を見せつけてリザにクギを刺したのです。恐らくは
暗に、このことをロイに知らせないようにと…。
そして今回、大がかりにも閣下の奥さんまで登場させたのには、まず彼女が人間であることの証明、そして
何も知らない彼女の口から、リザと読者にだけセリムの正体が分かるように、との牛先生のネームの意図が
読めます。つまり「奥さんがセリムの正体(+閣下の正体)をまだ知らない」ことも、先生が描きたいこと
の1つだった。それは今後への伏線としてまだ生き続けるわけです。必ずや用意されているドラマのために
ね…(うーん辛い;「化け物だなんて言わないで。あなたはあなたよ。一緒に老いてゆきましょうよ…」と
か言いそうですよね…あの奥さん;悲しませたくないなぁ…)

…というわけで、まだ今月号の段階では、閣下とプライドの信頼関係は壊れきってはいないように思います。
プライドに独自で行動する意思は今のところ見られず、リザの扱いもまだ閣下の思惑に沿っている。だから
リザは無事です!
でも、近いうちに必ずプライドが閣下に「ホークアイにバレた」と報告するシーンがありますよね。ここま
で「飼い殺し」を理由にロイを泳がせてきた閣下を、プライドはどう思っているんでしょう…。この疑似親
子=本当はホム兄弟には興味津々です。お父様との板挟みで、案外プライドは中間管理職なのかしら(笑)

そしてリザの動きも楽しみv直接ロイに会えないとなれば、マダム・クリスマスの再登場も望み大ですよね。
タイミングの良いことに、ロイにもマダムを介して是が非でもグラマン中将に伝えねばならない情報があり
ます。来月号で来るか、エリザベスちゃん!?





◆プライドは人間に憑依するのか否か


次にこの重要なトピックにいってみましょう。
まだ情報が少なすぎるのですが、第70話までの材料でということで憶測してみます。

まずプライドが他のホムンクルスと違う点は、誕生当初は恐らく肉体を持っていなかっただろうということ
ですよね。「セリム」として人間の中に混じることになったのは、ほんのここ10年といったところ。それま
では恐らく魂のみ(精神体?)の存在として過ごしてきたのだと思います。(セリムはどう見ても中学生以
下ですよね。でも幼稚園児には見えないので、8〜10歳程度と推測します。)
一方、閣下は現在60歳。奥さんも同程度か多少若いくらいとして。閣下が賢者の石を身体に入れられて「ラ
ース」となったのが25歳前後というところでしょうか。一般的に考えて、恐らくその後数年以内くらいに2
人は結婚していそうです。奥さんの言う「ビンタ事件」などを経てね(笑)
そして武勲を重ね、40歳過ぎで独裁者の椅子をゲット。さらに50歳前後の頃に、架空の親戚から養子として
大総統邸に「セリム」がやってきた、と。いえ赤子の時に来たとは限りませんが、奥さんが「育てた」と表
現しているのを見るとかなり小さかったらしい。
閣下の「家族史」を振り返ってみると、こんな感じです。セリムとしてブラッドレイ家に居着くまでは、プ
ライドは恐らくあの黒いにょろにょろの状態で生きてきたのでしょう。過去の考察で、プライドは閣下の監
視役なのでは?という仮説を書きましたが、その件と「セリム」が養子になったことは直接の関連はないよ
うですね。時期が違う。まぁ監視はにょろにょろでもできますが(笑)

次に、セリムの身体について考えてみましょう。
「セリム」は奥さんのあずかり知らぬ、閣下の架空の親戚から連れてこられました。(ただし奥さんはきっ
と親戚に会ったことがあるはずですし、一応の体裁は整っているというか、「お父様」が用意した親戚がい
るんだと思いますが。)
正真正銘の人間なのかは全くの不明ですが、人間に触れられつつ身近に接するのですから、傷の治り方など
は瞬時に回復するホムンクルスと同じではない…つまり「石」が核になった存在ではないはず。ですから、
残るは閣下のように年を取るホムか、どこかから連れてきた正真正銘の人間だ、ということになります。

さて、では正真正銘の人間であった場合、問題のネックとなるのは「本体の意思(魂)は残っているのか」
ですよね。というのも、セリムの表立っての言動はあまりにも無邪気で自然体であり、時としてホムンクル
スにしては「演出過剰」とも思えるほどだからです。いくら暗黒計画の成功に向けて、義理の母に可愛がっ
てもらうためとはいえ、あんなにもまっすぐで母性愛をくすぐる演技をプライドがしている…というのは何
だか不自然な気もします。エドに憧れ、口癖のように「お義父さんを助けたい」と殊勝なことを言うのも、
すべて演技なのでしょうか?疑問が残ります。
作者の立場から見れば、最も無邪気な者が最も邪悪である…という演出は確かに効果的だと思うのですが、
度を越しすぎると見ていて痛々しいのも事実ですよね。
あの好人物の奥さんのためにも、もしセリム本体が人間であるなら、プライドの「仕事」の範囲外での言動
はすべてあの子本来の意思によるものだと信じてあげたいものです。そしてやがてプライドが「消滅」した
後にはその記憶などは一切残らず、晴れて本来のセリムに完全に戻れたらいいのに、と…。
つまり「憑依説」又は「傀儡説」の方が、優しい読者には受け入れやすいということですねv

実際、今までのセリムの登場シーンを見ると、結論としてあのセリムの状態は憑依されているのに非常に近
いと言うほかないと思います。
まず、北のトンネルには黒い影だけで「セリム」は現れていないという事実をどう説明したらいいのか。こ
れはやはり、セリムが意識を持って行動している時はその身体を離れられない、要は寝ている時にしか離れ
られない、という仮説が有力です。だから家庭教師がいたら街へは行けないし、少々行動には制約がある。
ではなぜ寝ている時にしか離れられないのか…。プライドが身体を離れてしまうと、セリムは抜け殻になっ
てしまうから?野放しのセリムはプライドが制御している時とパーソナリティが別人のようだから?
どちらにしても、黒い影とセリム少年が別々の場所で別々に行動している図を見ない限り、「憑依説」を覆
す決定打はなかなか見つかりません。

ただし、「憑依説」が疑わしいと思われる材料もないわけではないんです。
まず、セリム以外の他人を同じように操れるのかどうかの証拠がありません。セリムを操りつつ、他人も意
のままに動かせるのか否かも分かりません。また、今まで「セリムのいなかった時代」にもその憑依能力を
駆使してきたのかは大いに疑問です。なぜならそれは、エンヴィーの能力と非常に似たものになってしまう
から、です。
そもそも彼が人間を自在に操れるなら、わざわざお父様が年を取るホムンクルスを作る必要はなかったはず。
人間である閣下に憑依すればそれで事足りたと思うのです。また、今までエンヴィーが変身することで行っ
てきた数々の悪事(リオールとかヒューズ殺害とか)も、プライドが憑依することで可能ならもっとスムー
ズに行えたことでしょう。なぜなら本人の身体を丸ごと使えるんですから、ホクロを付け忘れる心配もない
しね(笑)
でも実際には、そういう能力を使ってきた描写が一切ありません。
そして、物語の最初から一貫しているプライドの「声(口調)」も疑問です。今までにプライドが登場した
どんな場面でも、あの口調は同じなのです。リンとエンヴィーが街の中で闘った時は、恐らくセリム本体は
その場にいなかったはず…にも関わらず、公共スピーカーのようなプライドの口調はセリムと同じでした。
もしもあの場面、プライドが「思念波」のようなもので人物の脳内に直接語りかけていたのだとすれば、あ
の口調は黒い影の発したもの。つまりこの場合、セリム本体は普段「声帯を乗っ取られて」いるのではなく
て、常にプライド本体が喋っている…あれはプライドの声だということになります。(もちろん紙面からは
声質までは分かりませんけどね;)
これだと、セリムの身体は文字通り抜け殻というか、肉でできた「張りぼて」に近いですよね。もはや本体
が人間なのかどうかも怪しい。ちょうどグリード(リン)と同じ作り方で、「傲慢」の魂が勝ったホムンク
ルスなのではないかとも思えます。時期的に言っても、セリムが必要になったのは閣下の後ですから、お父
様の「年を取るホム」を作る技術もばっちり確立した後です。
これだと黒い影はグリードやグラトニーと同様に「本性化」ということになり、あれが北のトンネルへ出没
していた時の大総統邸のセリムのベッドには誰もいなかったことになります。

また、これは描写に沿った推論ではありませんが、セリムが「誰でも操れる」となると、途端に物語がオカ
ルトになりかねない…という危険がありますよね。陰陽師か何かが必要になってしまう(笑)
「精神体」という存在は確かに鋼世界にはあり得ますが、それが人間を支配できるなら、今まで「血液と賢
者の石が混じり、石の魂が本体の魂とせめぎあう」「細胞の再生力として石のエネルギーを使う」という説
明で科学とオカルトのギリギリの線を保ってきたストーリーが、途端に何でもありになってしまうんです。
その点から見ても、憑依よりももっと納得のゆく説明が用意されていてほしいと思うのですが…。

そして「始まりのホムンクルス」というからには、プライドはエンヴィーたちと同等ではなく、もっと重要
な役目を担っていると思われます。
セリムとしての役目は本来の役目では恐らくありません。「真理」に似た姿からみても、物語の根源である
お父様の野望と密接なところに本来の役割があると思うのです。
日記内の考察で書いた、「アメストリスの錬金術の発動エネルギーの素」という推論も、もう少し進めてみ
たいものですね。




というわけで、いかがでしょうか。屁理屈をこねてみたものの、まだ憑依説も憑依しない説もどちらも決定
打に欠けるような気がします。
ただし、私の結論は「憑依しない」説です。
なぜなら当サイトの考察は、すべてロイとリザにとって有利なように結論づけるのが鉄則ですから!(笑)
リザが憑依されるより、誰かがリザに化けてくれた方がまだマシ!ですもん!

…と、強い偏見をもってこの考察をおしまいにいたします☆






文責:鈴々
2007/4/20