**** ロイアイ考察第7弾(本誌第58話より) ****
今回も緊急読書感想文の形態でゆきます。
本誌2006年5月号、ついにロイとリザとの絆の全容が明らかに…!
もはや、今までのロイアイ像は完全にリセットされてしまったのでしょうか?
考察サイトとしては、先月号に続きエマージェンシー考察を余儀なくされました。
コミックス第15巻についてのネタバレとなりますのでご注意下さい。
先月号に引き続き、ファンの妄想の中でのみ実現すると思われていた「幼馴染み設定」が事実上の公認…。
荒川神の意図した「深い絆」とは、かくもファン心理に誠実な(笑)、古式ゆかしいロマンティックなもの
だったのでした。
でも一方で、それをとっさには「萌え」と捉えられない感覚も覚えましたね。確かに、ストーリー内ではす
でにエド・アルとウィンリィが幼馴染みですし、リンとランファンも似たような間柄。今までずっと、ロイ
アイだけが大人の事情をはらんだカップリングと信じ、そのスリリングな部分に魅力を感じてきたファンに
とっては、いささか興ざめな種明かしだったことは否めないかも知れません。
荒川先生が「これ以上の絆はあるまい?」と考えた設定は、純粋な男女の恋よりも「疑似家族の親しみ」に
根拠を求めるものだったんですね。
…でも。で も !! (笑)
それではロイアイは、幼馴染み設定によって「大人の」魅力を失ってしまったのでしょうか?
これが、NOなんですよね。
まさにあの背中の秘伝の一件があるために、彼ら2人の仲は盤石とは程遠くて、むしろ長年親しんできた相
手だけに、「絆」というより「足枷」に近いものでつながれている状態に思えるわけです。
これはもう、「相互信頼」とか「忠誠」などの言葉で言い表せるシロモノではありませんよね。
本来ならもっと自然に結ばれたはずの絆を、あのリザ父の計らいで何重にも鎖で巻かれてしまったような、
重苦しい間柄に見えて仕方がないのです。
どうあがいても、2人は最初から用意されてしまった相手同士。あまりにも運命の相手すぎて、かえって乗
り越える障壁が多そうな2人。嫌でもそこには切れない絆があって、見たくもないけれど確かに愛がある。
そう考えたとき……もう悶絶しそうなほどの「大人の」魅力を感じてしまうわけです。
しかし、思えば何と無責任な親でしょう。あのリザ父の言葉は、実際には明らかに矛盾しています。
「君にはまだ早い」などと、軍の狗をやめなければ秘伝はおあずけだ、という意味のことをロイに言いなが
ら、「どうか娘を頼む」と死後のことをすべて託していますね。
実際には、おそらくあの時点ですでにリザの背中にはあれが彫ってあった。
リザ父が秘伝を紙に書いて遺さなかったのは、ロイ以外の誰にもあれを見られてはならなかったからです。
つまり、あの錬成陣はロイのためだけに遺された遺産だった。彼の中ではもう、ロイを後継にすることが決
定済みだったのです。
彼の研究の集大成、秘中の秘。自らがそう言うように、その最凶にもなりうる威力を考えれば、それを操る
術師の道徳観念はもちろん、人間性や品格などすべての点でふさわしい人物でなければ伝授を許されなかっ
たはずです。(もちろんリザ本人の伝授もねv)
おそらくあの父上にとって、ロイに関する唯一の不満が「軍に入ったこと」だったのでしょうね。でも、ま
さにその点こそロイの譲れない信念だった……。師匠があのまま生き続けたとしたら、ロイが彼を納得させ
る道はただ一つ、「軍人であっても大衆のために錬金術を使える」ことを証明して見せるほかなかっただろ
うと思います。
でも、結局は師匠は亡くなってしまった。
若い二人にとって、これほど気まずい状態があるでしょうか……。
葬儀のあと、二人だけになった彼らは一体どんな顔をしていたんでしょうね。
淡い恋が芽生えていたとしても、二人ともそれぞれの責任感で身動きがとれなかったことでしょう。リザは
自分の背に彫られたものの重さに気付いて、ロイに見せるべきではあっても、その行為が彼の未来を拘束し
てしまうと見抜いて、いっそ消してしまいたいと悩んだかも知れない。ロイは軍に入ったばかりで今さら引
き返せるわけもないし、彼女から秘伝を授かって国家資格を取りたいけれど、それはリザを利用する行為だ
とも思えるし、これも悩んだはずですね。
結果として共に生きることを選んで肌を交わすまで、彼らがどのくらい苦悶したか…と考えるだけで、もう
萌えを通り越した思い入れを感じてしまいます。ああ……切ない……
色々と色々とあって、清濁を飲み尽くして、相手を知り尽くして今のロイアイがあるのだったら、もう史上
最高の至高座に据えたいカップリングです。
大好きですv
何度でも言いますよ。大好きv
さて、以降は関連項目について幾つかの小考察を試みました。
しばし屁理屈にお付き合い下さいませね〜☆
1:ロイの修行形態
うーん…住み込みを推奨したいのはやまやまなのですが、どうもリザパパは一人暮らしの可能性が高そうな
ので、実際には「通い」かなと思います。
リザパパ…ちょっと不可解なところが多すぎますね(笑)
大衆のための錬金術を説くわりには、大衆の役に立っているようにも見えない描写でしたし…。研究に没頭
するあまり無職だったのではと思えるくらい。つまり、「極貧」では弟子を家に置くことはほぼ不可能だと
いうわけですね。三度のごはんだって食べさせなきゃいけないし。(まさかロイ…軍の給料で師匠に報いよ
うとしたなんて事はないですよね。自分が稼いで師匠を楽させてあげようとか…それじゃほんとに入り婿だ
よー/笑)
加えて、(多くの方が指摘してますが)どうやらリザママはあの家にいない様子です。生死のほどは分かり
ませんが、少なくとも同居はしていませんね。ロイの「誰かいないか!」は明らかに使用人を呼んでいる風
ですし、それも常にいるとは限らないニュアンスのような。また、リザにはあまり生活苦の雰囲気がなかっ
たので、彼女も普段一緒には住んでいない可能性はおおありでしょう。(通いのお手伝いさんくらいはいた
のでしょうが…)
そうなると、なんとも荒涼としたホークアイ家の実態が浮かんでくるわけですが…。うーん…今後の展開の
ためには、ママが亡くなっていた方が都合がいいような気がしますね(苦笑)次号あたりでグラマンお祖父
ちゃんが登場して、そのへんの事情を語ってくれそうな予感もしますが。
そんなわけで、ロイとリザは5月号の時点で「兄妹のよう」というほどは親密でないのかも知れませんね。
それでも「リザちゃん」ではなく呼び捨てですから、他人行儀な仲でもないでしょうけど。
ああ…あの「リザ!!」の一言は、なんと簡潔にして意味深なのでしょう。素晴らしいv
2:武闘派の修行はどこで?
ええ、不思議です。ロイはどうやって武闘派になったのでしょう(笑)
イズミ女史の家のような修行風景など、とてもじゃないけど想像できませんものね。(あの父上が組み手を
してる姿はギャグです……)
3:背中を錬成陣を焼いたのは誰か
可能性は次のとおり。ロイ、リザ本人、他人、事故…それ以外の状況はまずあり得ないでしょう。
まず「他人」ですが、当サイトの不文律として、「ロイ以外の第三者がリザに触れることを認めない」とい
うのがありますから、これは独断で却下(笑)
そして主にイシュバルでの戦闘時の「事故」、これについては情報不足のため、今は考える足がかりがない
ということで除外します。
さらに「リザ本人」ですが…。これも実際には難しいですよね。火の勢いを操れないと背中の陣だけを焼く
なんて無理でしょうし、下手したら「自殺」になってしまう。すでに彼女が錬金術を使える可能性は否定し
たので、これもやはり現実味がありません。
そんなわけで、誰の意思だったにせよ、焼いたのはロイ……ということで決定的ではないかと。あとは「誰
の意思で焼いたか」ですが、これもロイの意思だけでできることではないですね。リザだけの意思でも無理
でしょう。
すると、残る選択肢は1つ…「2人が同意の上で焼いた」になりますね。
ただし、その理由が難しいのです。
「発動が目的ではない」というのはほぼ決定的としますが、それを前提に先月号以来、「リザに頼まれて」
や「リザの重荷を軽くするために」など、様々な理由を考えていました。その中では、「陣の重要性(最強
最凶)のため、他人に悪用される前に焼いた」というのが一番説得力があるように思えました。
でも……考えてみれば、術師の陣って他人にもバレバレなんですよね。以前おまけ4コマで、エドがロイの
手袋を拾って指ぱっちんで遊ぶ描写がありましたし…優秀な術師なら、他人の陣を使って他人の術を操れる
のも確かみたいです。ロイはもう少し手袋の保管に気を使うべきですね……。
…というわけで、機密保持の理由というのもあやしくなってきてしまいました。
打開案として、「手袋の陣は簡略形であり、リザの背中の方が複雑で何倍もの威力がある。だからこそ最高
機密」という仮説は可能なのですが、「優秀な術師ほど単純な錬成陣から術を発動できる」という設定がす
でにあるため、これも少し難があるんですね…。
また、あの火傷の傷の「中途半端さ」が気になります。本気で消したければ、もっと綺麗に全部を消せると
思うのです。逆に万が一、発動してしまうのを防ぐためなのであれば、3カ所も傷をつけずにほんの少し円
を欠けさせる程度でいいはず。よく見ればけっこうな傷ですよね。一体どんなドラマが……??
そこで、もっと自然な意見として、「ロイが焔の修行中にあやまって陣が発動してしまった」説を新たに挙
げておきます。だってほら、焔の扱いは独習ですよね?きっとロイはリザと二人三脚で、ああだこうだの試
行錯誤の末に習得したのでしょう。背中に手を置いて…!
「ふつう紙に写すのでは」と突っこまれたらおしまいですが(もっともな意見です/笑)
残念ながら、これ以上真相に迫るのは無理そうですね。今のところは。
(…それにしても。5月号の時点では、ロイはまさかリザの背中に秘伝が宿っているとは夢にも知らないわ
けですから、悶々としていたのは最初リザだけだったのでしょうね。背後にロイが立っただけで、背中が意
識されて大変だったのでは…(萌えますねコレv)見えないはずなのに見られている感じで、耐えきれずに
「あのね、実は…」とか告白してしまわないのかな…)
5:ロイはなぜ錬成陣を直接手に描かず、取り外せる手袋なのか
これは頂いたメールで萌えvなご意見をうかがったので、ぜひ皆さまにもご紹介をと思ったのでした。
つまり「ロイは焔の錬金術の恐るべき威力を考慮し、いつでもその重荷から抜け出せるように手袋にしてい
るのでは」という推理!さらにリザが「あなたまで重荷を負わないで」と頼んだというご意見ですv
素敵〜!確かに、常に臨戦状態の戦場でならともかく、大衆のために術を使うなら常に陣を手に描いておか
なくてもいいはず。リザパパへのせめてもの気遣いにも思えますよね。
では、その裏付けはどうでしょうか??
陣を手に彫っているのはキンブリーとコマンチさんですね。少佐は巨大な陣付きナックルを腕に装着します。
あとのパターンは何だろう…陣を描いて手を触れる、のが一応の基本ですか。
こうしてみると、やはり「手と陣が密着していること」は発動の条件なのですね。あと、「陣が空気に露出
していること」も条件でしょうか。
焔の錬金術は気体の濃度を操る術なので、必ず別動の発火装置がいるということで……恐らく実際には、錬
成陣のごく近くにその発火装置があった方が合理的なので、2つの機能を1つにした手袋を作った…という
ことなのかも知れませんね。ちょっとドリームがないですが(苦笑)
でも、少佐といいロイといい、「人間兵器」に反発を覚える術師が2人とも取り外し式の錬成陣、というの
は意味深です。まるで「我々だって普通の人間だ」と声高に主張しているような気もします。
6:「軍のため…」と言った良心青年が、なぜ大総統を目指したか
はい、ロイが大総統の座を奪取しようと決心したその理由です。
今回、それは概ね明らかになったと言って良いかな、と。
若ロイのあの汚れのないまっすぐな様子には、多くの乙女たちが保護欲をそそられたことでしょうが(笑)
軍入隊時には彼、まだ暗い野望など片鱗も抱いていなかったことが証明されましたね。間違いなく、その後
イシュバルで人間兵器にされたことが直接の動機になった様子です。
ロイが豹変したその理由とは、ずばり「大衆のための錬金術を軍が推進する世の中にするため」でしょう。
ロイとしては、せっかくリザから秘伝を伝承して、いわば師匠の軍嫌いを押し切る形で国家資格を取ったの
に、戦争に駆り出されて人間兵器にさせられたということは、これ以上の屈辱はないまでに皮肉な結果なわ
けです。師匠に申し訳が立ちません。やはり青臭いのは自分の方だった。「軍に裏切られた…」と反逆の怒
りがこみあげて当然です。
かくして……ロイは、師匠に納得してもらえるような国軍を自分の手で作ってやろうと決意した。そのため
にはまず、「人間兵器」を推し進めるブラッドレイを元首の座から引きずり下ろすことは必須条件……とい
うあたりが真相でしょう。
リザがロイを「守るべき人」と決めたのも、もちろん愛ゆえvなのは大前提ですが、ロイの目的が自分の父
親の理想と重なるからということも重要な理由なんですよね。そして、父に代わってロイに秘伝を授けた自
分も同罪と考えて、共に彼の野望のために身を捧げる覚悟なのだと思います。
おそらく荒川先生がイシュバル編で最も描きたいことの一つがこのことだと予測しています。
次号以降、これは必ず作品中で描かれるはずだと思うので、ロイの性格が次第にひねくれてゆく過程を楽し
みにしていようと思いますv
(ご意見を参考・引用させていただいた、星夜様、青乃様ほかの方々、ありがとうございました☆)
文責:鈴々
2006/5/6