本誌感想(+小考察)のコーナーです。






外伝1(2010年10月号)


ついに来ました!!待望の外伝です!!…と叫んでしまう程度には長く待たされる
だろうと思っていた外伝でしたが、予想よりもはるかにお目見えは早かったような
…気がいたしますが(笑)
つい先月の再掲載で108話をお読みになった方々にとっては、まだ物語が終わった
実感が沸かないかも知れませんね。(というか6月11日に読んだ私でもまだ終わっ
た実感があまり沸きません。毎月何かしら載ってますし。笑)
いえいえ、でもどんな鋼成分であっても鋼成分であれば嬉しく摂取したいところv
待望の外伝1(=きっと2話3話と描かれると信じて勝手に1とします!)の詳細
感想、それでは行ってみましょう☆



1:もうひとつの旅路の果て

…↑というのが今回の副題なわけですが。
なるほど…「もうひとつの」。この「別ルート」という感じが深いなぁと。
ついこの間までアルの「容れ物」だったあの鉄の鎧でしたが、それは単に鉄の鎧と
いう無機物だったわけではない、ということですね。それこそアルの魂と一緒に辛
酸甘苦をくぐり抜け、ここまでの旅路を過ごして来た「準肉体」として、肉体アル
と同等にその行く末を描いておきたいという……そんな牛先生の配慮を感じるお話
でした。
最後にまた触れますが、すごいですね!「すべてのキャラに決着をつけたい」とお
っしゃっていた先生ですけど、アルの鎧にまできちんとその思いが及んでおられた
とは…。感動ですvもしかしたら、アニメと同時完結でなければ、あと数話くらい
連載が伸びた末の最終話の中に組み込まれるはずだった部分…なのかも知れません
が。でも、それはもう言わないお約束ですもんねv

冒頭、「約束の日の戦いが終わり、兄弟がリゼンブールに帰ってからのお話…。」
と柱に明記されています。
舞台は大草原の小さな家ならぬ、のどかなリゼンブールのロックベル家。
自分を呼ぶウィンリィの声に「なに?」と答えるアルは、まだ杖を使っていますね。
頬のこけ具合を見ても、これは最終話で兄弟が帰宅してからまだ間もない感じです。
「大きい荷物届いてるよ。中央から」と伝えるウィンリィのかたわらには、荷札の
ついたほんとに大きな木の箱が…。
「兄さん来た!」と嬉しそうなアル。「おっし!」とばかりにバールでベキバキと
箱をこじ開けるエド。「何入ってるの?」といぶかしむウィンリィの耳には、きっ
ちりとピアスが描き込まれてますね(笑)少なくともそれをエドから渡されるイベ
ントは済んでいるということですかv
そして中に入っていたのは……アルの鎧!!
箱の中をのぞき込む3人の図がものすごくかわいいvああ何かホッとしますね!
最終話は少し急ぎ気味だったこともあって、ドタバタしていて彼らの心情に浸る間
もなく完結してしまった感があったのですが、今回のこのフルカラー絵にはとても
癒された気がしますよ…(じーん…涙)。ホントに。
「こっちのアルもおかえり!」というウィンリィのセリフがものすごく秀逸v
ピナコさんとデンも寄ってきて、家族全員で傷だらけの鎧を囲んでいる扉絵には、
不覚にも思わず涙が(ぐすっ)。だってついこの間まで生きるか死ぬかの瀬戸際に
いたアルなのに…あのエドの右腕を取り戻す壮絶なシーンを思い出せば、今でも鳥
肌が立つほどなのに!それがこうして、ほんの2ヶ月ほど前まで自分の魂が入って
いた容れ物を、家族みんなで一緒に眺めている健康なアルを見られる日が来ようと
は…。改めて大団円だった結末を噛みしめる思いです。
またこの鎧のあまりに傷だらけな様子が!ううっ…対比が泣かせますね〜(涙)

「うわ〜〜〜ボロボロじゃないの。よく生きて帰って来れたねアル〜〜〜」
と、鎧の頭部を持って涙ぐむウィン子。
エドがそれを見て「また泣く!」と言ってますから、帰宅してから泣き通しだった
んでしょうねウィンリィ(苦笑)無理もないけど。
でも「いいじゃん嬉し泣きなんだから〜〜」と言い返す彼女。おお、今さらながら
伏線回収してますねーvもうこれから先はプロポーズまで嬉し泣きしか無い、と!
悔しいけど、やはり主人公カップルは羨ましいですね…うーん(苦笑)

「…ついこの間までこれだったのに、なんだかもう懐かしいなぁ」と、鎧の破片を
持ち上げるアル。そう言える結末でほんとに良かったねv牛先生ありがとうv
「目線低くなって大変だろ」とエド。なるほどね!鎧は身長2メートルくらいあっ
たのかな?「あるある!ドアくぐる時につい頭下げちゃったり」と笑うアル。
でも驚いたのは次のセリフですよー!「あと兄さんの目線が上からになったのがち
ょっとムカつくなー」…えええっそうなの!?(笑)どうやら巷の予想に反して、
元に戻ったアルよりもエドの方がいちおう身長は高かったようですよ!?いやはや
事実は奇なりですね(笑)

と、そこへやってきたデン。しかし何を思ったのか鎧の頭部をくわえてどこかへ行
ってしまい、皆であちこち探し回るも姿が見えません。
「しょうがないや、ある分だけ使おう。ウィンリィ、お願いがあるんだけど…」と、
何やら意味深な言葉を口にするアル。いったい兄弟は何をするために鎧を家に送っ
たのでしょうか?(2010/9/11.3:50)



2:「鋼」の錬金術師

さて、そして3人がやってきたのは鍛冶工場。
作業着姿のウィン子が「こんにちはおじさん!」と挨拶すると、顔見知りらしい親
方さんが「おうロックベルの!エドとアルもようこそ!」と答えてます。ウィン子
はおそらく機械鎧の材料関係のことでこの鍛冶工場とは懇意なのでしょう。
でも鍛冶場の他の人々もアルの鎧を見て「お〜〜これかぁ」と言ってますし、彼ら
は昔からエドアルのこともちゃんと知っている人々のようですね。

「……本当にいいのか?」と、真剣な様子でアルに確認する親方さん。
「はい。やってください」…こちらも何か決意を秘めた様子で、しかし毅然と答え
るアル。いったいこの子は自分の鎧をどうしようというのでしょう?
そして幼馴染み組3人の目の前で、かつてアルだった鉄の鎧は炉にくべられ、高熱
によって赤く赤く、やがて白く白く熱されてゆくのでした。(いえもちろん紙面は
モノクロですけどね(笑)でも鎧に貼ってあるトーンがけずられて白くなっている
ので、焼けて光っているんだと思います)
その光に照らされたエドの神妙な表情…そしてアルの決意に満ちた表情…。

ここから「ウィンリィ、お願いがあるんだけど…」の後の回想シーンですね。
実はアルは、自分だった鎧をオートメイルの部品にしてくれとお願いしたのでした。
「だってこれ…アルとずっと一緒に闘ってきたのに残しておかないの?」…戸惑う
ウィンリィに対して、アルは「一緒に闘ってきたからこそだよ」と説明します。
思い出として残しておいても倉庫や部屋のすみに置かれるだけ…それでは死んでい
るのと同じだ、と…。エドはもう何も言いません。きっと兄弟二人、中央であれこ
れと話し合ってすでに納得済みの答えなのでしょう。
「こいつが誰かの手足になって生き続けてくれれば、ボクは嬉しい」
…何かこう、ふと脳死からの臓器提供を想像させるような…そんなアルの決意です。
つまりは「準肉体」としての愛着をそのまま残したかったわけですよね。だって鉄
ですもん、例えば車にしたり鉄骨に使ったり、他にいくらでも使う用途はあるはず。
それをあえて機械鎧に…ということは、誰かに「身体」として使ってほしいがゆえ
の願い。うん…アルの気持ちも分かりますよ。

さぁ、鎧は真っ赤に焼けました。今度はそれを鍛冶屋さんたちが叩く作業です。
3人の目の前で、ガンガンゴンゴンとてんでに叩かれる鎧…。しかしその図はなか
なか心中複雑…??(笑)
ウィン「こうやって叩いたり曲げたり、また焼いたり冷やしたりを繰り返すの」
エド「…アルだった鎧がめためたに叩かれてると悲しくなってくるな…」
アル「あはは…ボクもなんかかわいそうになってきた…」
…うーん;確かにまだ血印の残ってる胴体部分とかが焼かれてるのを見ると何だか
複雑ではありますね;でも、鍛冶を見慣れているウィンリィ曰く、「この作業をし
ないと硬くしなやかな鋼にならないのよ」…なるほど。
「強い機械鎧になるよ」…ときっぱり言い切るウィンリィ。こちらも決意十分v

もちろん牛先生の意図は、この「鋼を鍛える」という行為をエドアルが経てきた試
練と掛けて考えること、ですよね(笑)
そう、真っ赤に焼けた鋼を屈強な男たちが思いっきり叩いて、さらに曲げたりまた
焼いたり、冷やしたりを繰り返す…。傍目には痛めつけているようにしか見えませ
んが、でもこの作業をしないと「しなやかな鋼」にはならない、と。
もちろん「しなやかな鋼」とはエドが手に入れた「鋼の心」のことです。
もともと「錬成する」という行為は「鍛えること」に他なりません。ですから牛先
生は、鍛冶の過程にエドの成長を重ね合わせて描き、最終回のあの言葉、「痛みを
伴わない教訓には意味がない」以下の文句をここに再現してみせたんですね。これ
ぞまさしく本当の意味での鋼の錬金術師ですよ、という風に…。
つまりこの短い鍛冶の描写こそ、物語の縮図(うんと縮尺したやつ笑)でもあると
いうことです。うーむ、匠(たくみ)の技ですね!(笑)

さて一方、デンが持ち去ったアルの頭部はどうなったのかと言いますと…



3:…ハゲぴよ?(笑)

何日か後。
どこからか帰宅したエドは、汗だくで草刈りをしているピナコばっちゃんに新しい
研ぎたての鎌をプレゼント。アルの心遣いで鍛冶屋さんにこっそり頼んであった物
らしいですね。(だから当然、これはアルの鎧の一部…だと思いますが)
「こりゃいい。ありがとうね」…って、ああピナコさんの笑顔に癒されますv
しかし3人ともばっちゃんには救われてますね〜本当に。もともとこの物語、「家
族」がテーマである割りには両親がきちんとそろった家庭があまりにも登場しない
のですが…。(もちろん欠けているからこそ描ける物語というのもあるわけですけ
ど。でもそれにしても天涯孤独のキャラが多いのは事実。)
あと少しで飛び立てるようになる3人のヒナのために、ピナコさんには是が非でも
元気で長生きしてもらわねばなりませんよね〜。

…と、ヒナの話を出したのにはワケがありまして(笑)
新しい鎌でサクサクと草刈りをするピナコさんと、それを手伝おうとするエド。
その時、突然地面から鳥が飛び立って、2人はそこにようやくアルの鎧の頭を発見
するのでしたが…
「おやおや」「デン、おまえの仕業か?」「(しっぽを振るデン)」
なんと鎧の頭の中には鳥の巣が…(笑)うわーこれは最高の再利用ですねvもとも
とアルは鎧の中で猫を飼ってたりしてましたから、これを知ったら喜ぶこと間違い
なしでしょうv
そしてまるでエドアルウィンの3人のように、巣の中には小さな3羽のヒナが…。
まだ羽毛も生えてないから、命名ハゲぴよ(笑)(すみません^^;)

「いい家じゃねぇか。早く大きくなって飛び立てよ」

…その言葉、そっくりあんたたち3人に贈るよvと言いたくなるようなエドのセリ
フがラストを締めてくれました。
いやー、実に「鋼の錬金術師」らしさたっぷりの素敵な小品でしたねv
最後の最後、「元アル」の鎧にまで、こうまで見事な決着を考えて下さったとは…。
平穏な情景の中にもしっかりとした未来への足取りを感じる、いいお話でしたv
まるで外伝というよりも最終回のエピローグのような後味にも思えました。

どうぞこれきりで終わらせず、今後も外伝をたくさん描いて下さいませ牛先生!!
初回は主人公サイド、これは定石ですよね(笑)これからが他キャラのお話ですよ
ね?(笑)どうぞ外伝だけで2、3巻ほどまとまりますように…v(祈)
というわけで初外伝感想でした!(2010/9/12.3:18)







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以下、考察コーナーです。



◆アルの鎧はなぜ、どうやって帰って来たのか

はい。私も最初は「ええっ鎧は真理空間で雲散霧散していたはず!?」と首をかし
げてしまいましたが(笑)でもよくよく考えたら、あの真理空間の場面での鎧は話
を分かりやすくするための言わば「イメージ」にすぎなかったんですよね。
あの絶体絶命のピンチでの「勝てよ、兄さん」「やめろー!!」のシーンで自ら真
理空間へと赴いたアルですが、実際にはもちろんあちらへ行ったのは「魂だけ」。
右腕が戻ったエドが「バッカ野郎ーーー!!!」と叫んでいる時も、お父様が消滅
してリザが「アルフォンス君があちらから戻っていない」とロイに説明した時も、
エドがあーでもないこーでもないと代償について考えていた間もずっと、鎧はちゃ
んとあの場に描かれていました(笑)どうして勘違いしたのかな〜。
そして今回、アルが「兄さん来た!」と言っていることからも、鎧の残骸を彼らの
家に届くよう手配したのは彼ら自身の意思だったことが分かりますね。
108話での帰宅シーンが約束の日から何日後だったのかは不明ですが(アニメでは
2ヶ月後になってましたが)、取りあえず大怪我だったはずの兄弟があそこまで回
復していたということで(瀕死のスカーもあそこまで回復していたことだしね)、
ロイやリザ、少佐など兄弟のまわりの大人たちも同じ程度に動ける状態だったとす
れば、兄弟に頼まれて鎧を手配してくれたのはそのあたりの誰かかな…?
もちろん兄弟自身が箱詰めして、配送の手続きをしてから中央を出発したとも十分
考えられますが、その場合だとこの外伝は彼らの帰宅後2、3日以内のお話という
ことになります。(この時代のアメ国の宅配便事情は知らないけど、いくら何でも
汽車で数時間のところへ荷物が一週間はかからない…ですよね笑)
でもやっぱり誰の名前も出てないところを見ると、自分たちで配送したのかな〜。
ほんの少し…「あ、大佐ちゃんと送ってくれたんだね」程度でも登場してくれたら
嬉しかったですけど(苦笑)