ロイアイに最後の注文



◆ファンからのラストオーダー◆



ロイアイ考察番外編・ロイとリザに最後の注文!


皆さまこんにちは。
急ごしらえの4周年企画ではありますが、皆さまにはわずかでも楽しんで頂いておりますでしょうか。
(ってまだコンテンツが少ないですよね;すみませっ;そのうちもう少し増えると思うんですが)
唐突ながらこの機会に、考察サイトとしてこの4年半、私がネット上で見てきた「ロイアイ史」のよ
うなものをまとめてみてはと思い立ちました。
刻一刻と物語の幕が近づいてきつつある今、我々がロイとリザに対して最後に望むものは何なのか?
一足早くカウントダウンSSとして先日UPしました「The Last Order」と微妙にリンクさせ、ロイアイ
ストからの最後の注文……「ファンからのラストオーダー」と銘打ちました。
恐らくはこれが最後のロイアイ考察・総決算バージョン、しばしお付き合い下さいませ☆
あ、もちろん「主観でしか語れないけれど」というのが前置きとなりますv




2004年

思い起こせば2004年のお正月のこと、姪に借りて読んだ鋼1巻こそがすべての始まりでありました。
すぐに当時発売されていたコミックス(6巻まででしたが)を大人買いして読みまして。
とにかくまだ出産の記憶も新しかった私にとって、年端もゆかない兄弟が「母さんを作っちゃおう」
という発想はものすごく衝撃的だったんですよね。あとは学生時代から西洋の神秘思想に興味があっ
たので、「錬金術をこう(=魔法として)解釈するんだ!」という驚きもありました。
しかし、何より1巻の最後に出てきた良い感じの男女ペア(しかも上司部下v)の関係が気になって
仕方なく…(笑)ロイアイへの恋は1巻からもう始まっていたのかも。
ネット検索すると、すでにカプ名「ロイアイ」にてジャンル確立していたこの2人。ほどなくして素
敵なサイトさんがいくつも見つかりました。そしてBBSなどで交流させて頂きました。

当時の二次創作の特徴を挙げるとすれば、まずとにかくロイがめちゃくちゃ格好良かった!!(笑)
もう惚れ惚れするくらい、自信家で気障で女好きで斜に構えている…が基本だったように思います。
何しろイシュヴァール編なんてまだ霧の彼方でしたし、アニメの影響も大きかったのでしょう。
そしてリザたんはもちろん「できる女」の代名詞。上司だって足蹴りしちゃう、「無能」と呼んじゃ
う、怖いものなしの女の子。
でも傾向としてはやはりロイが優位と言うのでしょうか、まだまだロイのデートは本当に「女たらし
の無節操デート」と解釈されていたので、リザたんが「振り向いてほしい」とロイの背中を切なく見
ている系の作品は今より多かったですね。
実際にチャットなどで語り合ってみますと、「この2人はデキてるよね」と仰る方々はたくさんいら
したのですが。しかしまだまだ「夫婦設定」などは100%ドリームとして書かれていたと思います。

でもしかし。人生経験を重ねた者(つまり年増ですが;)が読めば、この2人のやりとりの中にはそ
れこそ「これでデキてなきゃおかしい!」という表現が多々あるわけですよ。確かに「今夜の火力」
などはストレートに嫉妬(かわいいv)ですし、分かりやすくて萌えます。でもそれより、リザに呼
ばれたロイが何気なく「うん?」と返す、この返し方の方が雄弁なんですね。相当親しくなければこ
うは返さないでしょう。そう、お互いが空気と同じ自然さなんです。
同じように足蹴りも無能呼ばわりも、リザが強いからこういう演出になってる訳ではないわけです。
「そういうひどい事をしても言っても仲には影響しない仲」だからこそ、こう描かれたんですよねv
(いやそりゃリザたんは強いけど!でも男勝りではないと思うんです)
つまりここだけ見てもロイアイ2人は、相当長い付き合いがあって絆も深いことが見て取れる。加え
て妙齢の美男美女です。これで何もないはずがないでしょう…!?

という心の叫びは強くなるばかりでした(笑)ああ、どこかに思いの丈を叫べる場所はないものか?
なければ自分で作ってしまうというのは…?
かくして2004年の8月、「ロイアイ考察サイト」としてこのサイトは地味〜に船出したのでした。
HTMLも何もかも初めてだったけど、必死でタグを打ちました。ほんと苦労したなぁ(笑)
でも悲しいかな、考察と感想コンテンツだけではサーチ様に登録ができなかったんですね。そこで仕
方なく昔を思い出してイラストを描きました。CGはまだ使えず、色鉛筆でアナログ塗りで。



2005年

前年の秋にアニメ第一期が終わり、それを機に多くの素敵サイトさんが去ってゆかれました。
しかし、私はアニメ放送を観ていなかったもぐりでしたので、原作にますます惹かれてゆきました。
(まぁちらほらは無料動画とかで観ましたが…)

それにしてもこの頃のロイアイ的展開ときたら!!もう毎月、毎回萌え殺されてましたね(笑)
前年度にラスト戦があり、リザの美しい涙とロイの死闘に萌え昇天v
続く病室のシーンが描かれた後には、入院妄想(動けないロイにキスをするリザのお話とかv)が流
行して文字通り萌え昇天v
さらに「孫娘設定」が解禁!!一夜にして「将軍家の令嬢」となったリザたんはこれ以上ないまでの
シンデレラ妄想のヒロインとなり、ネット上の二次創作パワーはうなぎ登りでした(笑)(その後、
「極貧のホークアイ家」が描かれるまではね…。しかし牛先生も翻弄して下さることです;)
個人的にはこのあたりからネタを漫画で描くことに限界を感じ、SSに手を染めるようになりました。
もともと私はオリジナル小説を書いていた頃もあったので、二次創作小説もとても楽しくてvコンテ
ンツはますます何でもアリ状態に…あああ。

さて、そして「アニメ劇場版」「フィギア・ブルー」を経て、秋にロイアイ的大事件が勃発!!
そうです、大総統による「マスタン組異動事件」ですね。この時のネット上の衝撃と言ったら…!!
悲鳴、悲鳴、悲鳴(笑)いや笑い事ではありませんでした。皆さん本気で食欲はおろか夢も希望も失
って(←一時的に)叫んでいたんですよー!(私もそうでした)
でも、ここでふと気付いたんですね。これが壮大な伏線だとしたら?前々から随所に疑問点はあった
けれど、もしかしたら閣下は本当に味方で、いずれホム側を裏切るのではないかと…。
そこで錬成したのがロイアイ考察#5「自らに憤怒する男」です(そしてSS「ダーク・ホース」)。
いや〜この時の必死さを思い出すとほんとに苦笑いが(笑)
結局、次の号でロイの無事は確認されたわけですが、本当にそれまでは皆が皆「ロイはきっと監禁さ
れてるに違いない」「閣下に殺されるかも」「左遷でリザと生き別れか?」と、食欲がなくなるほど
心配していたんですよ〜一ヶ月間!(ほんっと幸せな男ですね)

結果的にこの考察は多くの方々に賛同して頂けて、その後少しずつ「閣下=ロイアイの味方説」を支
持して下さる方が増えたのは嬉しかったです。最初は「そんなことあり得ないと思います」とかいう
メールが来たりして凹んだけど(笑)
この頃は健全ブラリザ(と可哀相なシュトルヒさん)ネタが個人的にお気に入りでした。
そしてロイアイを見守り、導いてゆく閣下像が私の中で定着してしまいました。



2006年

さて、この年はもう「ロイアイ革命」という表現がぴったりの一年でしたね!
リザたんの衝撃の「背中の火蜥蜴」、そしてああ、我らが聖典・15巻イシュヴァール編……!!
今やこれがなければ正しいロイアイ像は描けませんが、しかし連載当初は読者の想像をはるかに超え
た展開ゆえに、それまでのロイアイ妄想を根本から壊されてとまどう声もかなり聞かれました。
実際「幼馴染み」で「師匠の娘」と来れば、それまで二次創作の中心を占めていたオフィスラブ的な
出会い設定はすべて嘘になってしまうわけです。
そしてこうなればもう、若かりしロイが少女リザの肌(背中)を直に見ていることは100%確実!
牛先生をして「リザのハイネックの秘密は少年誌では描けない」と言わしめた2人の関係の一端が、
こうして読者に解禁されたのでした。
でも、この鼻血モノの事実は彼らの相愛度(慣れ度?)を押し上げた一方で、「相思相愛ならむしろ
冷める」という効果も引き出したのが興味深いところでしたね(苦笑)
確かに二次創作の上では、くっついてるのかくっついてないのかが不分明だからこそ萌えネタになる
わけで…最初から夫婦ではスリルも何もないというのも確かです。うーん難しい。
かくして、急遽コンテンツを消したり書き直す、という管理人さんが増えました。(そればかりでな
く、イシュ編を「萌え」とは思えずに結局ロイアイ界を去った管理人さんも…;)
この時点で、アニメのロイアイと原作ロイアイとはきっぱりイメージが分かれたのでした。

そんな革命的な15巻は、個人的にはそれこそ萌えのあまり気を失いそうな毎月でした。(←連載時)
考察も書きに書きまくりましたね(笑)とにかくひと月に1本のペースで、#6〜#8あたりを錬成
しておりました。もう次号が待てなかったんですよ、本当に!(考えても見て下さい!あのリザたん
の背中を見せられて、そのあと1ヶ月も続きを読めなかったわけですよ!?妄想だけが先走るったら
ありませんでしたよ〜!!)
他の管理人さん方も毎号叫びどおしで…(笑)週末は毎週のようにどなたかがチャットを催しておら
れました。いや、萌えてましたね〜この頃は…心底楽しかったですv

そんなわけで、15巻の感想は渾身の思いをこめて書きました。真摯すぎて恥ずかしいくらいに(笑)
でも、今でもあの「道を踏み外したら撃ち殺せ」というセリフは、私の知るかぎり最も壮絶で切実な
求愛の言葉だなぁと思います。ロイ…あんたって…(涙)ほんとに泣ける。
このあたりから、牛先生にとってロイアイの結末というのは、この物語で絶対に描きたいことの一つ
なんだ、という確信が生まれました。
エドアルやウィンリィを通してでは表現しきれないものがきっとおありなんですよね。



2007年

こうしてご存じの通り、15巻以降のロイアイエピソードはどんどん公認度を増してゆきます。
まず「エリザベスちゃんとぱーっと遊びに行きゃいいじゃない」「エリザベスちゃんは他の男に取ら
れてしまいましたよー」というロイとマダムの会話には本当に萌えましたねv
これによって軍以外のプライベートな場所には、彼ら2人の仲をきちんと公認している人々がいるこ
とが判明。いや〜大きかったですねマダムの登場はv(その後もっと大きくなるけど笑)
そしてセリムの正体を知って怯えるリザにかかってきた「ごひいきの花屋です電話」では、なんとロ
イは私用電話の際、リザに名乗りもしないことが判明。またこの時のリザの安堵しきった表情が可愛
らしすぎvしかもロイは彼女の変化を声だけで察してしまうし…v

この辺を見ても、明らかにそれまでよりも演出に遠慮がなくなってきていますよね(笑)特にロイの。
これは作中の彼の性格が変わったためではなくて、15巻で2人の決定的な過去を描いてスッキリなさ
った牛先生が、「このくらいまではいいかな?」とロイアイ・ラブラブ財布のひもを少しゆるめて下
さったためだと勝手に解釈しています。
そのくらい、彼らの相愛を示す描写は今までケチられていたということですよね!(すみません笑)
深く勘ぐるなら、今後ラストへ向けての描写は「相愛と思って見ないと理解不能」となるため、今か
らラブラブ度を強調している…とも読み取れるかも。

この辺りは本誌上では出番の少なかったロイアイでしたが、某神サイト様(すでに閉鎖されてます)
が企画された「お風呂でロイアイ」、通称「風呂イアイ(2611)」は本当に素晴らしく、また愛
にあふれたWeb企画だったと思いますv(2007年2月開催。拙サイトの参加作品はまだ閲覧可です。バ
トンが一つ、イラスト一つです。)
そしてやはりこの年はセリム=プライドの脅威が大きなポイントだったと言えそうですね。
現時点で未だその伏線は回収されていませんが、果たして今後…??
個人的にはセリムこそラスボスではないかと見当をつけているだけに、少々心配ではあります。が、
閣下も再登場してくれるでしょうし、ロイアイ2人が無事に物語を生き抜くことだけは100%確実だと
思っていますので、大丈夫ですねv



2008年

もうこの辺りからは記憶に新しいので取り上げません。(この辺は出番もなかったしね;)
食堂暗号会話も、ハボック病室でのカーテン越しのニアミスも可愛かったですねv
そしてこの終盤にきてからのマダム=養母設定にはロイアイ界が久々に沸き立ちました。文字通りの
神設定!!公認度もだめ押しですv
いやはや、たかが漫画、されど漫画(笑)長期にわたってここまで一カップルの動向に一喜一憂でき
るというのも素敵なことだと思います。ホント。



2009年、そして今後…?

さて、そして連載も残すところあと十数話?という現在なわけですが。
いま、改めてロイアイを眺めてみて、ファンとして彼らに最後の注文をつけるとしたら、何を言えば
よいでしょうか?
こうしてじわじわと2人の関係が詳細に明かされてゆき、切っても切れない仲……いやもっとはっき
り言えば親も公認の婚前カップルvだと確認された今、それでもまだロイアイに足りないものとは、
一体何なのでしょうか。

それはズバリ、幸せになろうとする意志だと断言します。
リザからロイへの想いも、ロイからリザへの愛情も、こんなにも十分に紙面から伝わって来るという
のに、どうしても致命的に欠けている1点があるんですね。それは彼らが作中で、2人一緒の未来を
まったく想定していないこと。つまり幸せになろうとする意志が見られないのです。
それもそのはず、彼らにとっての未来とは新しい国への捧げ物、「供物」だからなんですよね。

確かに16巻でリザが言っていたように、彼らにはイシュ戦での戦争責任があります。いくら立案した
のはホムンクルスでも、「実行したのは私たち」と言い放つリザは実際に正しい。
今後お父様の野望が阻止され、国に平和が訪れたとしても、誰かがその責任を引き受けなければ物語
が終わらないのは確かなのです。

でも、しかし!しかしですよ。
それではあの16巻のセリフどおりに彼ら2人が戦争犯罪人として新しい政府に裁かれ、尊い犠牲(リ
ザはけじめと言っていますが)となって未来を奪われつつも、「ああ次の世代のために良い世の中を
残せて良かった」と微笑みながら極刑に処される……などという結末こそ、彼らにふさわしいと言え
るでしょうか。「作り話だからこそ救いのない話にも救いを作ってあげられる」とコメントする牛先
生が、そのような結末を彼らに用意するでしょうか?
…否、ですよねvきっと。

私はいつも、牛先生はロイアイを通して何を表現したいのだろうと考えます。そして、ロイとリザと
いうキャラクターの、作中での役目は何だろうかと。
一体何のためにロイアイは作中で唯一の適齢期男女カップルで、何のために物語の終盤まで幸せをあ
きらめたカップルとして描かれているのでしょうか。
答えは一つ。
彼らが最終的には自分たちの幸せを受け入れるから、だと思います。
彼らの不毛なまでのストイックさこそ、彼らが真に結ばれる結末への伏線なのです。
なぜなら……

この物語のテーマの一つは、言うまでもなく「家族」ですよね。
これまで何組もの家族の、その様々なありようが描かれてきました。
家族を捨てた冷酷人間に思えたホーエンハイムが、実はトリシャとの間にまさに時間を超越した愛を
はぐくんでいたこと、ヒューズ家の絵に描いたような幸せとその悲劇、イシュ戦での罪の意識から幸
せになる資格を捨てたノックスさんが、家族のおかげでまたそれを思い出すエピソード、そしてうわ
べは「家族ごっこ」でありながらも、母親の無償の愛があれば人造人間でさえも本物の家族になれる
ことを示した大総統一家の話などなど…。

でも、ここまで見事な「家族像」あれこれの中には、なぜか重要なサンプルが抜けていますよね?
そう、それは「これから家族となろうとする男女の話」です。
まさにその挿話のモデルとして、ロイアイは登場しているのだと思います。
もちろん他にも未婚のカップルは登場しているのですが、エドとウィンリィでは若すぎるし、オリヴ
ィエ様とマイルズさんでは大人すぎて事情が複雑そう(笑)その他のキャラでは脇役すぎる。
やはり年齢的に見ても役の重みから見ても、ロイアイしかないのです。
つまりロイとリザは、牛先生が「家族とは最初は血のつながらない他人同士から始まる」ということ
を表現したいがために登場したキャラなのではないでしょうか。
そういえば申し合わせたように彼らは孤児(恐らくはロイも)ですし、世間一般の基準から見て家族
の暖かみに飢えながら成長した設定になっているのも、その辺りを強調する伏線かも知れませんよね。

(さらに深く考えてゆけば、賢者の石=血の連鎖から逃れられないホムンクルスたちと、血と同等な
結びつきの力を持つ「仲間」を唱えるリン、さらには血の母体となる「家族」という結びつき…これ
らに「等価交換」を交えて語るのも面白そうですが、それはまた別の機会に。)

そして、次に来るのはもちろん新しい命…。
すでに15巻の感想の中で思いの丈を書いておりますが、この物語を締めくくるのにふさわしいのは、
やはり一つの新しい命なのではないかと思います。そしてそれを生み出すのに最も自然な人物は、こ
れまたやはりロイアイしか見あたらないのです。
かつてチャットの席で、ある管理人さんが「ロイアイはアダムとイブのよう」と仰ったのですが、ま
さにそれこそ言い得て妙、閣下がその命を賭けて彼らを守るのも、新しい時代のアダムとイブであれ
との願いから出たもののように思えてなりません。
彼らはその「禁断の実」である火蜥蜴の錬成陣を手に入れ、イシュヴァールで多くの命を奪った罪で
一度は楽園を去るのですが、世を変えるために尽力したことで最後に許されて、もう一度楽園に戻っ
てこられるのです。ね、ぴったりでしょう?
その代わり、彼らの奪った人命への責任を肩代わりするのが閣下、その人なのだと思います。



閣下が握る鍵

閣下は初めから、ロイが単なる私欲の野望ではなく、戦争責任を負うためにトップの椅子を狙ってい
ることを見抜いていたのでしょうね。
なぜなら、「優しすぎる」ロイが国の頂点を目指す理由として考えられるのは、大総統としての全権
を駆使してイシュヴァールに関する軍の過ちをただすこと、以外に見あたりませんから。
(すでに15巻の中でも言ってますよね、「その先を見ているか、焔の錬金術師!」と。ただ、ご存じ
の通りロイの軍での出世については牛先生自ら「将軍にはなります(将軍どまり)」と名言しており、
物語の中で彼の大総統就任が見られないことはほぼ確実視されますが…(涙)しかし私にはそれが、
現職大総統である閣下自らが「大総統」という職を廃止してしまう伏線に思えます。あるいはロイは
民間、つまり軍部でない場所から政治家としてトップに就く、という可能性も残されていますね。民
主制になるなら。どちらにせよ本編ではそこまで描かれない公算大かも…)

そして人間としての心を失っていない閣下は、もちろん人間の社会的心情をも理解しているはずなの
です。
つまり、人間側がホムンクルスたちを排除したとしてもそれだけでは国民が納得しないこと、誰かが
全ての責任を負わねばならないことは百も承知だということ。(付け加えるなら、クーデターについ
てグラマンおじいちゃんが心配した点、「今のままではロイは国民の支持を得られない」こともお見
通しでしょう。)
ではそう気付いたとき、閣下は何を目論んだのでしょうか?
恐らく彼は、自分こそがその汚れ役……すべての責任を一手に引き受ける役目に最も適した存在であ
ることを自覚したのだと思います。
そしてそれこそ、ホムンクルスに翻弄された彼の人生を賭けるにふさわしい役目だと。
なぜなら閣下は「キング」、国の最高責任者であり、恐らくはその器こそ「真の王」なんです。

フラスコの野望を阻止して国を守るためには、最後まで人間側の敵であり続けながら人間たちの反抗
の意志を守らねばならなかった。皮肉なことに、そのためにはすでに身体的に人間ではなくなった閣
下の中で、唯一残った人間らしい部分をも殺さなければならなかったのでしょうね。
仲間を助けようとか、人間特有のセンチメンタリズムは一切捨て去らねばならなかった。
そうでなければ「ホムンクルス側の者」として生きられなかったのです。
すべては「種としての人間」を守るために…。
そして来るべき時がきたなら、ホムンクルスとしてのプライドを全うして世を去るのでしょう。
恐らく彼は、真実を知るのは自分だけでいいと考えるはずです。
なぜなら、真実を明かせばロイを始めとする「優しい」人間たちのセンチメンタリズム(というか人
間の習性ですよね。人間らしさ)が彼を引き留め、責任の行方についてをまたふりだしに戻してしま
うのが目に見えていますから。
(ロイなんか生い立ちを聞いただけで閣下に「人間に戻ってはどうです」なんて勧めてますしねぇ。
それに愛する奥さんの潔白を守るためには、彼女は真実を知らない方がベターなのです。…とは言っ
ても、ロイ・リザ・奥さん、あと中央地下の面々くらいは最後に真実を知ると思うけど。)

思い出されるのは過去に描かれた2つの問答ですね。
かつてロイとの会話の中では「この目と身体能力は人間を超越した。私にもホムンクルスとしての矜
持がある」と言い切り、皇子リンとの会話の中では「そうして生きてきた、そこに何の迷いもない」
と断言した閣下。
実はこの物語の中での閣下の言葉には、一つも嘘がありません。彼のセリフの一つ一つは、それこそ
すべて真実ですし、一つとして彼自身を偽っていないのですね。
だから、彼は表向きは悪役のまま、プライドを全うして逝くと思います。
それでこそ閣下にとって最も満足のゆく、最も人間らしく、最も「王」らしい生き方になるのだと思
うから。(グリード=リンも最後にはそれを認めるのでは。「真の王」の問答の結末として。)
もちろん読者から見れば最も貧乏くじを引いた人。
でも、文字通りの救世主。それが閣下だと思います。
ホーエンハイムが救うのが国土そのものなら、閣下が救うのはその上に乗った人間社会、という言い
方もできるかも知れませんね。(両方ヒゲだしねv)
何よりきっと、閣下の守りたかったものはただ1人愛した女性と、次世代の「命」の土壌となる幾多
の家族、だったのでしょう。
何と真っ当で、自然で、登場人物の誰よりも人間らしい思考なのか…。
閣下の人間らしさは、閣下が人間としての人生を取り上げられたのと同時に芽生えたような気がして
仕方がありません。
それこそがまさに、牛先生の意図した強烈なアイロニーなのでしょうね。



結びに

さて、思わぬ長広舌になってしまいました(笑)
どうも私は閣下に思い入れが強すぎて困ります。

そんなわけでこの物語、幸せになる資格などないと思い込んでいたロイとリザが、どうやって「幸せ
を受け入れて」国の未来のために尽くすのか…という結末も、エドアル兄弟が元の身体を取り戻すか
どうかと同じくらい大切なテーマだと思うのでした。
かつて16巻でエドがリザに言った「自己犠牲なんて単なる自己満足」という言葉は、ロイアイ2人に
必ずやもう一度つきつけられるはず。
「家族とは最初は血のつながらない他人同士から始まる」…そのサンプルが彼ら2人だなんて、もう
この上なく素敵なことじゃありませんか?
さぁ、ファンからのラスト・オーダーはずばり「幸せ」!!
どうするロイリザ!?
ほんの一歩の向こう岸へ、彼らはジャンプできるのかできないのか!?

見守り続けた4年半の答えが、もうすぐ読めますねv




文責:結城鈴々
2009/2/2





******************************************************************************************
追記。

この考察は、サイト4周年の記念考察として22巻収録分が本誌連載中だった頃に書いたものです。
まさかこの後に、ロイの復讐劇やリザたん首切り事件、ロイの失明といった大試練が待ち受けていよ
うとは!思いもよりませんでしたね(笑)
そして2010年3月、閣下が天に召されたことも、今は受け入れなければなりません…。
そういったことも含め、現在の管理人の考えとは若干の落差もございますが、約1年前当時の考えと
してそのままここに置いておきます。

2010/4/1